論文
【特集 地域会からの新年の挨拶】
"政党助成金の廃止" と公約違反政党へ「政党助成金返還請求」の国民的運動を!
新年のご挨拶
2013年の関信会
さよなら原発!そして新たな年を
新しいチャレンジが始まる消費税「懇談」
隗より始めよう!!
〜2013年私の課題〜「行き当たりばったりの行動」から「さよなら」
新春に寄せて
名古屋会の現況と新年の抱負
新年雑感
新年のご挨拶と神戸会の現状報告
消費税に思いを馳せる
九州税経新人会 2013年度の抱負
2012年を振り返って
新春に寄せて
静岡税経新人会 栗原 幸夫
明けましておめでとうございます。
『税経新報』が発行される頃には、巷の雑誌などで、この1年の抱負などの記事が溢れることと思いますが、原稿依頼を受けたこの機会を前向きに捉え自分を整理するつもりで書いてみたいと思います。

仕事や自らの生活を通して最近つくづく感じるのは、人口問題です。
世界の人口は爆発的に増えているのに、日本は高齢化社会を迎え、その人数も収縮の方向です。
私の住む沼津でも人口減から世帯減になりつつあるのか、空き家が目立ちます。固定資産税を意識してか、建物を取り壊し土台だけを残した敷地も随所にみられるようになりました。

1955年頃、全国から視察に来たアーケード街は、ご多聞にもれずシャッター街となっています。町に活気がないのはもちろんですが景観も悪く、防災や防犯上も危惧されます。
国立社会保障・人口問題研究所の予測では2005年の1億2,770万人をピークに、2055年頃には、9,000万人になるという予測が出ているようです。
人口減少率は30%、高齢化率も現在の20%から40%になるとか。
2055年には、日本人一人当たりのGDPは、ほぼ現在の半分との予測で、これは高度成長たけなわの1970年頃への規模へと戻って行くと推定されています。

しかし、当時と決定的に違うのは、年齢別人口比がピラミッド型、将来に向けては逆ピラミッド型となっていくことです。一昨年私が旅行した、30歳代の国民が相当数を占めるベトナムの雰囲気とは大違いで、その勢いの違いは歴然です。

税務の仕事を通して身近なお客の状況を見聞きしていますが、自動車部品などの製造業者は海外の動向や経済状態が瞬時に反映し、忙しくなったり、暇になったり一喜一憂の状況です。
これが経済のグローバル化というものでしょうが、私たち税理士の業務にも多大な影響を与えています。
加えて一昨年の3.11大震災以来、海岸線近くの不動産の取引はぱったりで建築や不動産業など関連する業者の仕事量は激減したままです。

"円高で大変だ" という、財界人の発言はニュースなどでしばしば聞かれ、落ちは人件費を下げろとか、外注費を削れ、人材派遣を使え、非正規雇用を増やせだとかの決まり文句が叫ばれています。
一方で円高となって企業買収が安くやれるとする報道はそれほど大々的には報道されていません。
現在日本企業の海外現地法人は、8,000社もあるとのこと。これは日本の証券市場で上場されている企業は約2,300ですから、この数より多いことになります。

対外投資からの所得収支は、既に貿易収支を上回る黒字を記録、対外進出を遂げた製造企業は、国内本社の常勤雇用者を増やしているとか!既に海外で名前の通った大企業は、従来のような銀行借入による間接金融でなく、資金コストの安い社債発行などによる直接金融が増えているようです。
これがかつて言われた「金融ビッグバン」と呼ばれる金融制度改革の結果でしょうか。

私たちのお客である中小零細企業は金融の面でも依然と厳しく、消費税の転嫁問題は言うに及ばす、サブプライム対策で中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)として導入された制度が今年の3月末で終了だと言われています。

借入金の返済の猶予を受けているリスケ企業だけでなく、顧客の取引先がこの影響により貸倒損失などによる重大な影響が出ることを懸念しています。
経済の国際化を押しとどめることは現実問題として中々できないでしょうが、大企業と零細企業の格差やそこに勤める従業員の格差は、今を生きる人々だけでなく老後の年金生活にまで引き継がれることを思うとこのまま "良し" というわけにはいきません。

ではどう生きて行けばいいのでしょうか?日本に関する限り、一人当たりの実質GNPが増加しても国民の生活満足度は横ばいという状態が10年以上も続いていると言います。
『国民生活に関する世論調査』という政府の統計によれば、やや満足を含めた満足が60%、やや不満を含めた不満が38%です。統計の母集団の所得が分からないのでその関連性は不明ですがそのような結果となっています。

又、客観的指標として、教育、健康、所得などを取り入れた国連の人間開発指数によるランキングによれば、日本はここ数年世界で10位以内に入っていると言います。

日本国民の主観的な調査結果と、世界の人が見る客観的な調査とでは差が出るのは当然と思いますが、私個人の問題として捉えたとき、労働時間と収入がそこそこであるのなら、後は人間らしく生きられるような環境を求めたいと思います。
睡眠や食事などの生理的時間の確保、家族や友人を含む適度な距離を保った人間関係、趣味も含む文化的欲求の充実ができれば最高と思います。

(くりはら・ゆきお)

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