2015年税制関連法案が3月31日参議院本会議で可決成立いたしました。
2015年税制「改正」は、法人税の減税や結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置など、大企業と富裕層を優遇し格差を助長する税制「改正」であると指摘せざるを得ません。その中でも、消費税を「景気判断条項」を付さずに2017年4月より10%に引き上げるとしたことは、国民の生活破壊、中小企業の経営破壊に繋がる暴挙です。
消費税は収入の少ない人ほど負担が重い不公平な税制です。現在、貯蓄ゼロの世帯は全世帯の三割を超え、年収二百万円以下のワーキングプアも千百万人を超えています。生活保護世帯も過去最高の百六十二万所帯に達しています。これらの人々を直撃する消費税の増税は、死活問題であり認めることはできません。
消費税は消費者・購買者からみれば商品の価格の一部です。政府の政策的円安誘導により輸入価格が上昇し、その影響で諸物価が上昇しています。「賃上げで経済の好循環」の掛け声は経団連の一部企業には届くが、下請け単価の据え置き、原材料の価格上昇に苦しむ中小企業には賃上げのできる環境はありません。4月3日に発表された「毎月勤労統計調査(速報)」でも2月の実質賃金指数が前年同月比2.0%減と下落が22ヶ月連続となっています。消費税の増税は、税込の物価を引き上げ実質賃金の下落、購買力の低下に拍車をかけることになり、景気の好循環に逆行するものです。
事業者にとっても、購買力の低下は売価の引き下げ圧力となります。消費税込の売価の据え置き、引き下げは、形式的には転嫁しても実質的には利益を削ることになります。民間調査会社の調査によれば、円安倒産が昨年11月まで3ヶ月連続で最多を更新。企業の廃業も増加の傾向が続き13年は過去最高を記録しています。企業利益が二年連続前年比マイナスという厳しい経営を続ける中小企業の経営を一層困難にし、地域経済にも重大な影響をもたらすものです。
昨年4月の消費税8%への引き上げは、個人消費の大幅な落ち込みにより国内総生産(GDP)は2四半期連続のマイナスとなりました。10月〜12月期はプラスに転じましたが、中身は公共事業支出の押し上げによるものであり個人消費は回復していません。消費税増税は、自治体の調達コストを押し上げ、地方財政の悪化や必要な公共投資の抑制を招き、再び国内総生産のマイナス成長・消費税不況に陥ることになるでしょう。
百害あって一利なし。ただちに消費税増税廃止の税制改正を行うよう要望いたします。 |