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特集  第45回佐渡全国研究集会  分科会テキスト
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事業承継・事業譲渡(M&A)から見た時価
神戸税経新人会  プロジェクトチーム

I  はじめに

1.研究の動機

今回の研究発表にあたり、まず事業の承継とは会社の財産・営業権・株式を引き継いでいくものと考え、この事業の承継の中には代表者の親族等や従業員等に引き継ぎ、世代交代していくものとして事業承継があり、他人(企業関連者を含む)に会社の譲渡又は事業の譲渡をしていく事により事業の承継をしていくものとして事業譲渡(M&A)があるものしてと定義する。

顧問先の事業承継等のために自社株の評価の依頼を受け、その会社の株価を算定することも多い。そのようなときに自分の評価した金額があれだけで良かったのかといろいろ考えさせられる事が多い。一つ間違えば責任問題になることも考えられる。

我々は普段から税務上の時価を意識して、税務当局に対抗すべく評価額の算定を行っている。しかし、事業承継の場合、税務上の評価額を算出したときに税務上の評価額だけではなく、その会社の事業承継時に売却するものとした場合における取引価格の算出が出来れば、事業承継する次世代継承者にとってその会社の現状・規模・収益力を把握することで前向きな誇りを持った事業承継が行える。また、事業譲渡(M&A)などは第三者間取引となり、その取引価格は双方の合意のもと決定されるものであり、税務上の評価額で算出した評価額との間にそれぞれ差額が生じるのである。

これらの差額は一般に企業の価値増加部分と考えられているが、この差額の金額を算定できれば事業承継・事業譲渡の時に顧問先に有用な資料として提供できると思われる。そこで、この差額の金額について考えてみたいと思ったのである。
2.事業承継等を取り巻く現状と必要性

中小企業は我が国の企業全体の約90%を占めているとともに、雇用の面で約70%を支えている。また高度な技術を有している企業が多数あり、その中小企業のほとんどがオーナー企業であるため経営者の存在の大きさは大企業の比ではない。したがって、中小企業にとって、経営者が交代して事業を継続していくことがきわめて重大な事項であることは明らかである。

また、我が国は総人口の減少、少子化・高齢化の進展により、今後の生産年齢人口は大幅に減少することが予想される。それに伴い企業の代表者も高齢化が進んでおり、大企業を含めた全代表者の平均年齢が約50歳上昇している。特に資本金1000万円未満の中小企業ほど平均年齢が上昇している。

前述のように、社会全体の少子高齢化及び中小企業の経営者の高齢化が進行しているが、ただこれだけが単純に問題なわけではない。資本金1000万円以下の中小企業では、代表者(経営者)の平均年齢が上昇しており、確実に高齢化しているが、他方、資本金10億円以上の大企業では、経営者の平均年齢はあまり変化していない。つまり中小企業の場合、大企業と違って経営者が高齢化しているにもかかわらずその交代が進んでいないということであり、そのことが一番の問題である。

また、経営者自身の引退予想年齢の平均は約67歳となっており、中小企業の経営者の大多数を占めると思われる男性の生存率は、60歳前後から大きく低下し始める。つまり中小企業では、今後10年間程度の間に経営者の引退又は死亡という事態に直面することが、避けられない状況になっている。

このように、経営者の高齢化が着実に進行しているにもかかわらず、後継者の不在や相続等の問題によって、円滑に経営者の交代が進んでいないのが現状である。

次に、企業の営業譲渡はゼロから独自に事業を作り上げる時間の短縮を行い自社のビジネスとの相乗効果を発揮させ、競合に対する優位性を早期に確立することに狙いがある、昨今、事業譲渡(M&A)が増えてきた背景には、企業間競争の激化や、諸外国との競争も展開される中、従来のように自社の競合に対する優位性を作り上げる時間が無くなったことがあげられる。

また、90年代に持株会社が認められてからは、事業単位での吸収・合併が行われやすくなった。さらに新会社法により三角合併(消滅会社の株主に対して、存続会社ではなく、親会社の株式を交付する合併)が認められたことにより大企業・中小企業を問わず事業譲渡(M&A)が加速的に増加しているのである。
3.事業承継等の問題点

前述のように、経営者の高齢化が進む一方で、事業承継の対応はさほど進んでいない。代表者が60代の中小企業でも約半数が着手しておらず、高齢の代表者においても事業承継への着手が進んでいない状況である。
このように、事業承継が進んでいかない問題点には、経営権の承継と財産権の承継という二面があると思われる。

(1)経営権の承継
最も大きな問題は「後継者の不在」である。このことについて最も大きな要因で考えられるのは承継を希望する後継者がいないということである。

中小企業の場合、後継者の第一候補は経営者の子だと考えられるが、すでに他に自ら生活基盤を築いているケースや経営者として得られる収入が雇用者の収入を下回っているという現状から、経営を承継するという選択が現実的に困難となっている。また、仮に事業承継が行われたとしても中小企業の経営が代表者に依存しているケースが多く、経営を承継した当初はどうしても企業全体の収益力が低下するというリスクは避けられない。

(2)財産権の承継
中小企業はほとんどがオーナー企業であり承継後の会社の安定した経営のためには、自社株式や事業資産などを後継者に集中して承継する必要がある。

まず、後継者が親族内(子供等の相続人)である場合、自社株式等を遺産分割によって承継させるという方法があるが、経営者の個人資産の大半が事業用に投入されているということが多く、この場合、法定相続分を基礎とする遺産分割では後継者に自社株式等を集中させることが困難となる。そこで、経営者が生前贈与や遺贈等により、自社株式等を後継者に集中的に承継させるという方法をとることになる。しかしながら、この場合、前述のとおり経営者の個人資産の大半が自社株式等であるため、これらを集中的に承継させようとすると他の相続人の遺留分による制約を受けることになる。

また、後継者が親族外である場合では、後継者が自社株式等を経営者から有償で取得することとなるため資金調達が困難となり、経営者も高額な譲渡所得税等が課せられることにある。その他にはM&A等により第三者に売却するという選択肢も考えられる。

II  適正な自社株評価(企業価値算定)

1.適正な時価

事業承継等の場合、自社株の贈与及び譲渡をすることが想定されるが、はたして自社株に適正な時価は存在するのだろうか。

非上場会社においては、その株式を自由に取引するような市場はなく、さらに取引が制限(譲渡制限付株式)されている場合もある。このような状況では客観的な交換価値という意味における「時価」は存在しないと言える。

時価がないと言いながらも非上場株式に係る取引は行われている。その取引に係る非上場株式の金額は、何らかの方法で評価した金額が基準となっている場合がほとんどであろう。換言すれば、評価に頼らざるを得ないということである。評価に頼らざるを得ないがゆえに精度を高めて評価額を算定することが求められる。
2.各種評価方法

評価を行う上で参考になるのが、中小企業庁の「経営承継法における非上場株式等評価ガイドライン」であるが、これには大別すると3つの手法(収益方式、純資産方式及び比準方式)が記載されており、それぞれの方法により算定した金額を併用するも選択肢として存在するとしている。

(1)純資産方式
純資産方式には、簿価純資産方式と時価純資産方式があるが、前者は客観性には優れているものの、各資産の価額が帳簿価額と乖離していることも多く存在しているため、実際には帳簿価額を採用して株式の評価を行うことは少ないと考えられる。

(2)比準方式
似会社比準方式
対比する上場会社については、(ア)事業内容、(イ)会社の規模、(ウ)収益性等において、評価対象会社に類似しているか否かを基準として選定することが必要である。また、客観性を高めるため、複数の上場会社を選択し、その価額を按分することが望ましい。

類似業種比準方式
一般的には、国税庁方式を採用することが考えられるが、同方式を一部修正する方法も考えられる。

取引事例方式
対比する取引事例については、(ア)取引の時点、(イ)買主の特性、(ウ)対象株式の発行済株式総数に対する割合等が近似しているか否か、(エ)過去の取引事例における価額が、合理的な方法で評価されたものであるかを検討した上で選定することが必要である。

(3)収益方式
収益還元方式又はDCF(デスカウンテッド・キャッシュ・フロー)方式
収益方式のうち、収益還元方式及びDCF方式は、評価対象会社が将来獲得することが期待される利益又はFCF(フリー・キャッシュ・フロー) を基に株式評価を行う方式である。評価の基礎となる利益又はFCF の算定に当たっては、過去数事業年度の利益又はFCF の平均値をベースとすることが想定される。ただし、評価時点において、客観的事情によって評価対象会社の成長(当該会社の価値の上昇)が確実視される場合などにおいては、将来の事業計画に基づき、評価対象会社が将来獲得することが期待される利益又はFCF を基礎とすることも考えられる。また、逆に、客観的事情によって経営が悪化することが見込まれる場合にも同様である。

なお、将来の事業計画を用いる場合においても、事業計画によって評価結果は大きく異なることに留意し、事業計画については慎重に採用すべきである。

配当還元方式
収益方式のうち、配当還元方式は、少数株主のように主に配当目的で株式を所有する場合の評価に用いられているが、支配株であっても還元率を適正にすることで、妥当な価額を得ることも可能であり、かつ、非後継者にとっては、現実の配当による評価の必要性もあるので、他の方式との併用として採用することは想定される。
項目 収益方式 純資産方式 比準方式
客観性
将来の収益獲得能力の反映
固有の性質の反映
3  純資産方式による評価

(1)通常業務で使用する評価方法
我々が税理士として通常業務で評価額算定に使用する評価方法はどうしても税務当局を意識して評価額を算定する為、純資産方式により評価された評価額を絶対的な評価額として使用している。当然、これらの評価額を算定する為にはその会社の保有不動産の時価評価が重要なポイントになる。

(2)土地の時価
正常価格
自社株算定において、特に純資産方式を用いる場合に重要になってくるのが、企業の保有資産の時価評価である。特に保有資産のうち土地の時価はどのように捉えればよいのだろうか。

土地の時価については、固定資産評価基準や減損会計基準で正常価格と定義されている。土地の正常価格については「不動産鑑定評価基準」の中で次の通り説明されている。「正常価格とは市場性を有する不動産について、現実の社会的経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。」

つまり土地の正常価格とは、合理的と考えられる市場を前提とする一般の取引当事者にとって妥当する価格をいい、更にいえば正常価格とは現実の取引当事者のみではなく、社会一般に妥当する価格をいう。

しかし一般的社会感情からしても、そもそも土地の時価として第一に考えられるのは測定価値としての正常価格ではなく「観察可能な市場価格」ではないのか、との疑問が生じる。この問題については「不動産鑑定評価基準」の中で次のように答えている。

不動産は、地理的位地の固定性、土地の永久性、非代替性、用途の多様性等一般の諸財と異なる諸特性を持つ。これら諸特性を反映して、現実の不動産取引は取引の必要に応じて、局地的限定的な市場において個別的・相対的に行われる。また当事者について能力の多様性と特別の動機により特殊な事情が存在する場合もある。従って不動産の現実の取引価格は個別不動産及び取引当事者間でのみ妥当する価格といえ、これから、不動産及び不動産市場の特性を勘案しつつ、個人的、主観的な特殊事情を捨象した、社会一般にとって妥当する価格(適正な価格)を見出すことは一般人には非常に困難である。

以上より「不動産鑑定評価基準」によれば、不動産については一般人が適正な価格(時価)を判別しうる「観察可能な市場価格」は無く、正常価格(鑑定評価額)として3手法等を併用の上、測定するものとの結論になる。

土地評価法いろいろ
イ)公示地価を利用して自己測定する方法
土地評価理論上次の式が成立する。
対象地の価格 = 対象地類似の公示地価格 × 時点修正率 ÷ 公示地前面道路路線価 × 対象地前面道路路線価 × 対象地の個別格差率
* 時点修正率は公示価格の変動率をそのまま採用する。
* 対象地の個別格差率は、国土庁土地局地価調査課監修「土地価格比準表」(住宅新報社)の中の個別格差率を採用すれば良い。

判例審判を踏まえるとかなり安全性が高く、かつ使いやすい方法である。なお個別的要因の見落としには充分注意を要する。

公示地の種別:ex . 垂水- 〇(住宅地)、垂水5- 〇(商業地)、垂水9- 〇(工場地)、垂水10- 〇(調整区域内住宅地)、対象地と同種別の公示地を使うことに留意する。

ロ)取引事例を集めて立証する方法
もし相手に疑義が生じた場合、相手側は自己が立証したい価格帯の事例を集めて反証してくるので、泥仕合となりがち。説得力の面でリスクが伴う。

ハ)不動産業者の無料査定による方法
大手の業者複数社に依頼して、同じような価格が出てくるのであれば有効性は高い。業者によって査定額に大きな乖離が生じる場合がある。

ニ)不動産鑑定士の鑑定評価による方法
公示価格は公示地についての正常価格である。対象不動産についての正常価格を求める場合は鑑定評価によるべきである。昨今簡易鑑定は行われなくなってきており、簡易な評価については調査報告書や意見書等で対応するようになってきている。これらは鑑定評価額(正常価格)を求めたものではなく、調査報告価格、意見価格等を求めたものであり、時価を求めたものではない点に留意が必要である。

ホ)簡便な方法
固定資産税評価額は個別不動産の価格で個別格差修正も行っている建前であるので ÷ 0.70で極めて大雑把だが対象地そのもの公示(時価)レベルの価格が出せる。大量評価という制約の中で、市役所が推測した対象地そのものの公示価格レベルの価格を求めることができる。税務署に対してこのまま通ればもうけものという程度の価格である。ただ対象地の時価について、概測値を知る上で重宝な方法である。

(3)自社株式の評価不足額
純資産方式で算出した自社株式の評価額は、通常は税務申告等で使用する目的で行う為、それ以外の評価額を意識しないのであるが、実際にその会社の評価額を考えると、純資産方式で算出した適正金額を超える金額が考えられる。ここに生じる評価不足額は企業価値が増加している為に生じたものと考えられ、一般的にはこれらの部分の金額はのれんと考えられている。しかし、その部分の金額の算定を行うのは困難なものである。
4  収益方式による評価

(1)純資産方式との違い
収益方式で算出された金額が純資産方式で算出された金額を超える場合がある。これは、収益方式で算出される評価額が会社の将来の収益獲得能力やその会社の特有の性質が反映されているからである。つまり、その会社の超過収益力が上乗せされた金額と言える。この差額の部分が通常のれんと言われるものである。
上記の純資産方式で評価不足額とされたのれんは算出が困難なものであるが、収益方式では会社の自社株式の価格がのれんを含んだものとして算出できるのではないだろうか。では、のれんとはどのようなものか考える。

(2)のれん
適正評価以外の価値
自社株算定方法を考察したが、それだけで本当の企業価値を捉えることができているのだろうか。経験上、実際の取引現場においては、それだけでは「何か」が存在し、取引金額に影響をあたえているものと推測される。それはいわゆる「のれん」と呼ばれるものであるのか。「のれん」以外の何かであるのだろうか。

のれんとは
企業会計において、のれんとは営業権、企業の超過収益力、無体財産権等、色々な呼び名で呼ばれているが、その企業が長年営業してきたことによる企業価値の増加部分と考えられる。例えば、以下の要因より生じてくるものと考えられる。

イ)商品の名称・企業の名称が広く知れ渡っていること
ロ)経営の組織(従業員や経営方法)が優れていること
ハ)商品の製造技術やサービスが優れていること
ニ)ネット等における市場・販売ルート・ノウハウ等を持っていること
ホ)得意先と特殊な関係があること

のれんの評価額
のれんの評価額は算定しにくいものであるが、一定の基準を設けて算定することができる。たとえばブランド名を付した商品とブランド名を付さない商品を一定期間販売し、その商品の販売額の差額を求め、また企業名を隠して商品の販売を行った場合の販売額の差額等にこれらの効果の及ぶ期間を見積もりその期間に応じた評価額を算定することが出来る。しかし大半ののれんは客観的な算定はできず目測の算定をしなければならない場合が多い。またその効果の及ぶ期間についても目測になってしまうのである。

企業の組織の違いや製造技術の差を評価額として選定する為にはその企業の販売能力や製造能力及び類似業種の事業成績等により見積もるのである。

のれんの評価に関しては不確定要素が多いため、その算定額は客観性に乏しくその金額を直接算定することは困難なのである。

のれん以外の要因
上記ののれんは企業の長年の営業活動により超過収益力として企業価値を増加させるものであるが、これらの要因以外のもので企業価値を構成するものもあるように思われる。

イ)M&A における買取会社の不動産が自社に隣接する土地である為通常価格より高額で買い取る場合のその高額部分
ロ)支配目的・独占目的で行われる買収等における積み増し部分
ハ)のれん以外の要因の評価額

これらの評価額は一定の基準が無く、買い取会社の意思が影響するため、その算定については困難な部分も多いと思われる。
5  最適な評価方法とは

評価方法を選択するにあたり、企業価値算定という視点に着目すれば、収益方式をはずすわけにはいかないだろう。収益方式は企業の将来価値を反映させる点において他の方式より優れており、とりわけ事業譲渡の取引では、対象会社の将来性の吟味は欠かせないものとなっている。ただし収益方式は、将来の獲得予想利益又はキャッシュフローを適正な割引率によって現在価値に割り戻すという難易度の計算式を用いる必要がある。

しかし難易度が高いからといって、この方式を検討しない訳にはいかない。(検討した結果、不採用とした場合とは異なる。)今後、税理士もこの方式で算定することが求められるケースが増えてくるのではないだろうか。

また、純資産方式は、企業の現在の財産状況に着目した方式であり、いわば企業の過去からの蓄積価値を反映させているといえる。所有資産の評価も簿価ではなく、時価評価した金額を用いるのが合理的であろう。純資産方式は取引時点の財産価値を的確に表現している点で優れていると言える。

逆に比準方式は比較対象とするもの(類似会社、類似業種及び取引事例)が本当に比較しるものか不明瞭であると思われる。上場企業の数値を比較対象とすることは合理性に不安があり、取引事例などは、把握すること自体が困難である。

III  おわりに

外国との競争も激しくなり、商品の価格競争、新会社法その他の理由により会社の維持・成長のため買収・合併等の事業譲渡(M&A)が多く行われるようになってきている、またその半面、経営者の高齢化等により事業を承継していくか他企業に売却するか、選択を余儀なくしている会社も少なくない。事業の維持・拡大・引継のため、事業承継・事業譲渡(M&A)はこれからも増加していくと思われる。

このように事業承継・事業譲渡(M&A)を行う会社であっても長年の営業活動による企業価値の増加額(不動産の値上がりを含む)の部分について表現できるものであれば、会社の隠れた財産として、また、高額売却の判断材料になる資料として顧問先に提供できるのである。累積赤字がある為に取引価格が0円となってしまった会社でも買い手があると言うことは、それなりの評価額があることであり、取引価格が存在することになるのである。

税理士業務の中で高齢化等により事業を終了してしまう得意先や事業を早く次の世代へ引き継ぎたい等、その他の理由により、事業の継続のために自社株式の評価額の算定する場面が増えてくるものと思われる。また事業承継について納税猶予の規定が定められたこと等、我々税理士が手掛ける可能性も多くなってくるのではないか。

このように得意先の求めに応じて自社株式の評価額の算定をしなければならない時に、その妥当な価格を算定できるようになることが必要である。

第6分科会  これで税務調査に強くなれる
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