論文


特集第41回大阪全国研究集会・分科会テキスト(2005.7.8合併号)
会計参与制度を検証する 実録「今津事件」
滞納処分 NPO法人の税務・会計
所得税法第56条を斬る 民法と税法の接点
10年後の税理士業務 岐路に立つ社会福祉法人経営


特集第41回大阪全国研究集会・分科会テキスト
10年後の税理士業務
千葉税経新人会

III. インターネットをフル活用・税理士事務所の先進事例紹介
実録「税金のくろちゃん」の舞台裏

1. 「税金のくろちゃん」って、どんなホームページなの?
2000年5月に独立した際に、まず最初に「これだ!」と思い作成したのが、ホームページでした。現在では、例えば「税金のくろちゃん」のホームページでの6/20の月曜日の一日だけで、全ページのクリック合計は【740】クリック そして、TOPペ−ジは【181】クリック!がありました。
また、【税理士事務所】でグーグル検索で574,000ヒット中1ページ目の【10番】で検索が引っかかります(過去最高は3番目)。
2. 半分以上はインターネットがきっかけのお客様
現在関与させていただいているお客様の全体の半分以上はインターネットからの問い合わせがあったお客様でした。また、ネット経由のお客様は良質な方々が多いのです。
(例えば、病院の先生や新ビジネスで成功をしている社長方々など・・・)
3. メールの相談案件、求人案件の紹介
いままでのメールで質問をされたり、こちらから返信をしたりといったような相談案件のやり取りは、【1000通】を超えてます。そして、求人案件の紹介のやり取りは【593通】!そんな一例を発表会当日にご紹介します。
4. お客様も選ばさせてもらっています
毎月問い合わせがあります。だから、お客様まで選んでいます?
そんな一例のメールを発表会当日にご紹介します。
5. ネットを見ている人はどのくらいいるの?なにがおきているの?
(1)オーバーチュアを使用して、グーグルやヤフーでの広告競争激化
(2)キーワードの販売合戦
(3)税理士紹介サイトの力、そして魅力
(4)月々3,000円からの顧問契約の実態などを発表会当日にご紹介します。
6. HPでどんなことをしているかの紹介
(1)各種便利な計算機能の提供
(2)くろちゃんのブログ(千葉で働く社長のブログ?)
(3)丁寧な掲示板公開
(4)予定表公開
(5)1000文書ダウンロード
(6)web監査の実施
などを発表会当日にご紹介します。
7. 事務所でのサービスの一部ご紹介
(1)会計ソフトの無料立上げ、その後の指導
(2)月次決算案内
(3)決算案内
(4)中途での税務案内
(5)無料ドメイン取得、サーバーレンタルご紹介
(6)そして、HPの無料作成
(7)無料講演会の実施
(8)メルマガ・・・etc
などを発表会当日にご紹介します。
8. お客様の傾向がどうなっているか
(1)価額競争の激化
(2)移動スパンが短い。ネットで即見つけることができる。
(3)部分依頼が多くなる⇒決算のみとか…
(4)プレステ、1980円パソコンソフトで申告書の作成が出来る。
などを発表会当日にご紹介します。
9. 私の考える今後の会計事務所像
価格低下の行く末は、自分で自分の首を絞める!だから、○○○○重視で(当日参加までの秘密)・・・?などを発表会当日にご紹介します。

さらに詳しい内容については、k0001.com/2005に今すぐアクセスを!
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きっと貴方のなにかが変わる…

IV. 税理士業の今後を考える

1. ITや規制緩和が業界に与えた影響
IT(情報技術)という言葉が広く認知されようになり、決して目新しい言葉ではなくなった現在、IT分野で活躍する企業は今や日本経済の牽引役ともなっている。
ITや規制緩和が税理士業界へ与えた影響のうち以下の4つについて本章で考察する。
(1)自計化
「自計化」という言葉は一種の業界用語ではないだろうか。パソコン等を使用し、それまで税理士に依頼していた会計帳簿の作成を中小企業自らが行うようになることが、「自計化」の意味といえる。税理士法上は付随業務である会計帳簿の作成は、実質的には私たちの主要業務として長年に渡って君臨してきたのが実情である。

「自計化」は今に始まったことではないが、最近その流れが特に顕著になっている。市販の会計ソフトの普及やパソコンの操作に不慣れな経営者の減少はその大きな要因ではないだろうか。「自計化」が私たちにもたらしたものは、会計帳簿作成業務のマーケットの縮小である。私たちは「自計化」により新たなマーケットの開拓の必要性や業務の見直しを迫られているのである。
(2)電子申告制度
2001年1月に日本政府が決定したe-Japan戦略の一環として電子申告がスタートした。電子申告はITなしでは始まらないが、現実にはかなり普及が遅れているようである。電子申告を行うには情報インフラを整備しなければならないため、コスト面を考えると現状では差ほどメリットが感じられないというのが実情かもしれない。

いずれにしても、電子申告時代が到来した現在、全く無視しえる存在でないことは確かである。セキュリティ対策など電子申告を行うにあたって重要な事項について早めに認識しておくことが必要ではないだろうか。
(3)電子商取引
インターネット上のWebサイトや電子メールを利用した電子商取引が広がりつつある。

電子商取引が一般化することにより、国際間の取引が容易になったり電子マネーを使った決済が可能になるなど、今まで私たちが経験してこなかった取引形態が発生することになる。今後、税務的判断を行うにあたりIT関連の知識が必要となってくることも十分考えられる。
 
(4)ワンストップサービス(他士業との連携)
改定規制緩和推進3か年計画「総合的法律・経済関係事務所の開設について」は、現行法上においても他士業と連携し事務所を設立することについて、問題なしとしている。

ワンストップサービス型の事務所は相談に赴く手間が省けるなど顧客にとって有益なものであるが、また、同時に専門資格者にとっても知識・情報を共有できるという点において有益なものと考えられる。

各専門資格者の業務の独立性が確保されなければならないなどの問題点はあるが、総合的法律・経済関係事務所の開設は、サービスの幅を広げることのできるひとつの方法であることは間違いない。
2. 10年後の税理士事務所
10年後の税理士事務所はいったいどのようになっているのであろうか。さまざまな形態が予想されるが、想定できる範囲内で下記の通りいくつかのパターンを列挙した。

今後、どのような形態で税理士業を行っていくべきなのか。今まさに私たちの税理士業に対する理念や信念が改めて問われている時なのかもしれない。
(1) 低価格な既成の会計ソフトを利用し、会計業務については自社で行う中小企業を主な顧問先とする事務所
(2) 原始記録から会計帳簿の作成(記帳代行)を依頼する小規模な個人事業主などを主な顧問先とする事務所
(3) 経営相談や管理会計を駆使した資料作りなどを希望する比較的規模の大きい中小企業を主な顧問先とする事務所
(4) 資産税や税務訴訟など高度な専門分野に特化した事務所
(5) 保険の代理業や不動産の仲介業など、副業に特化した事務所
(6) FCなどに加盟した事務所
(7) IT関連などのコンサルティングを中心とした業務を行う事務所
3. 最後に
税理士業は、製品のライフサイクルという点から考えると成長性、収益性共に低下していくであろうと考えられている。米国型の大規模な記帳代行会社は、税理士事務所のチェーン化を計画し、会計ソフトの製作販売会社はユーザーに税理士を紹介することで収益を上げる仕組みを構築している。

シャウプ勧告以来、納税者の代理制度として発展してきた税理士制度は規制緩和と競争原理の中で大きく様変わりしようとしている。税理士は納税者の権利を擁護する法律家であり専門家であるということは、税理士である以上、決して忘れてはならないが、また、市場原理の中にある職業という認識も忘れてはならない。税理士業の関連業務として注目を浴びている経営コンサルティングやファイナンシャルプランナー、ITコーディネーターなどの業務に積極的に乗り出しているものが増加しているのもその現われといえる。

納税者の権利を擁護するためにも私たちは常に納税者にとって身近な存在であり続けなければならない。納税者のニーズに常に敏感であり続けること。それも、私たちにとって重要な使命のひとつではないだろうか。

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