1. NPO法人に対する法人税課税について |
(1) |
法人税法上、非営利法人の区分と課税関係 |
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公共法人(別表1)・・・非課税
公益法人等(別表2)・・収益事業(33業種)課税
上記以外の法人・・・・・・原則課税 |
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(2) |
公益法人等の意義 |
別表2(公益法人等の表)(法2VI)
特定非営利活動促進法第46条「特定非営利活動法人は法人税法その他法人税に関する法令の規定の適用については、公益法人等とみなす。」 |
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(3) |
NPO法人は法人税法上の収益事業 |
(法2XIII、令5)を行った場合に法人税が課税される。 |
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(4) |
収益事業の意義(法2XIII) |
販売業、製造業その他の法人税施行令第5条第1項に掲げる事業で、継続して事業場を設けて営まれるものをいう。 |
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(5) |
収益事業の種類(33業種) |
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(6) |
法人税率 |
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所得800万円以下・・・22%
所得800万円超部分・・30% |
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(7) |
NPO法人が支出した寄付金の損金算入限度額 |
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(8) |
NPO法人が支出した交際費の損金算入限度額に用いられる資本金等の額 |
(総資産の帳簿価額−総負債の帳簿価額−当期収支差額)×60/100=A
A×収益事業に係る資産の価額÷期末総資産価額=期末資本金等とされる額 |
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(9) |
みなし寄付金(認定NPO法人) |
非営利法人は、本来事業の公益事業を行うために、その資金獲得の一助として収益事業を行っており、この事業から生じる剰余は本来の公益事業の資金に充当する事となるべきものである。このような収益事業から公益事業に支出する金額について、法人税法は寄付金とみなしている。
その場合収益事業における資金を公益事業の資金に充当したとして区分経理をしたときに、実際に支出したか否かにかかわらず「みなし寄付金」として取り扱う事になる。逆に、公益事業から収益事業への資金や費用の振替は、収益事業から見れば公益事業からの寄付金とは考えず、資本元入れと取り扱うことになっている。
みなし寄付金の恩恵を享受すべく収益事業から公益事業に資金移動があったものとして区分経理したとしても、公益事業から収益事業にその資金移動に見合う額の資本の元入れがあったものとして経理した場合には、実質的にはこれら経理は相殺し合うため「みなし寄付金」の適用がないことに注意を要する。
法人税法は寄付金を次の4つに分類しており、このうち「みなし寄付金」はの一般寄付金として取り扱う事になる。
国または地方公共団体に対する寄付金
財務大臣が指定した寄付金(指定寄付金)
特定公益増進法人等に対する寄付金
一般寄付金
非営利法人の寄付金の損金算入限度額 |
・ |
及び に対する寄付金は全額損金算入 |
・ |
に対する寄付金は、の一般限度額と比較して低い方を一般限度額と別枠で損金算入となる。 |
・ |
すなわち一般寄付金に対する損金算入限度額
(所得金額(別表4仮計の金額+損金経理の寄付金の額)×20%=一般限度額 |
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注) |
なお、この「みなし寄附金」制度の適用が認められているのは認定NPO法人のみであり、それ以外のNPO法人は適用除外となっている。ただし、認定NPO法人以外のNPOであっても「みなし寄附金」以外の上記寄附金の損金限度額計算は適用される。
(「非営利法人の会計・税務要点解説」) |
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国や地方公共団体の特別会計、公共法人や公益法人又は人格のない社団、NPO法人などの収入のうち、資産の譲渡等の対価としての収入以外の収入、すなわち対価性のない収入のことを特定収入という。ただし、借入金や債権の発行による収入、出資金や預貯金、預かり金として受け入れたもの、貸付金の回収金、還付金、法令や補助金の交付者の指示によって、利子の支払いや人件費などの非課税支出に充てられる収入、借入金の返済や債務の償還以外の支出に充てられるものは除く。 |
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5. 特定収入の意義と消費税額計算の特徴 |
特定収入とは、「不課税収入のうち借入金等、出資金、預貯金、預かり金、貸付回収金、返還金、還付金等以外の収入で明確に不課税支出、又は非課税仕入のみに使用されたものを除いたもの」となり、課税仕入に使用された可能性のあるものとなる。したがって、不課税収入である特定収入を原資とした課税仕入税額は、控除仕入税額から除外しなければならない。
その課税仕入等に使用された可能性のあるものの中から、さらに課税仕入等のみに使用されたものを特定して、特定収入に係る課税仕入税額を控除仕入税額から除外計算するのが特徴である。さらに、たとえ特定収入からの支出であっても、使途不特定の可能性のあるものについての消費税額についても、控除しないという趣旨から、これらを課税仕入税額から除外するものである。これを、「調整割合」というものを使って算定する。いずれにせよ、特定収入に少しでも関係の可能性のある消費税額については、消費税を控除しないというのが趣旨である。 |
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6. 特定収入にかかる消費税を控除仕入税額から除外する理由 |
(1)特定収入と課税仕入との間に対価性が無い。 |
NPOは市場原理では成り立たない公共性のある事業を行っており、その課税仕入には対価性が無い。
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(2)NPO法人は特定収入による課税仕入の最終消費者である。 |
特定収入によって課税仕入をまかなったとき、NPO法人は、「仕入れはするが、仕入の原資となった特定収入自体が不課税収入のため、仕入れに対する課税売上は無い」という最終消費者の立場に立ち、これを自己負担することになる。
(不課税収入である特定収入に、特例を適用しないと、消費税が恒常的還付になる場合がある。)
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(3)NPOは、相対的に課税売上が少ないのが通常だが、全部の課税仕入税額を課税売上にかかる消費税から控除すると、仕入控除税額のほうが大きくなって、恒常的に消費税還付が生じる場合もある。これを避けるため特定収入(不課税収入)で賄われる課税仕入税額を除外し、通常の課税仕入にかかる消費税額のみを控除する特例が設けられた。 |
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7. 特例を適用しない場合 |
(1)免税業者の場合(消費税とは無関係)
(2) 簡易課税制度を選択する場合(課税売上から、特定収入を除いて計算)
(3)特定収入割合が、5%以下の場合(少額につき、あえて煩雑な特例計算をしない) |
特定収入割合 |
= |
特定収入額
税抜課税売上 + 非課税売上 + 免税売上 + 特定収入額 |
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8. 控除対象仕入税額の計算 |
控除対象仕入税額=特例計算適用前の控除消費税額―使途特定の特定収入に係る消費税額―使途不特定の特定収入に係る消費税額 |
*** 使途特定と使途不特定 *** |
使途特定の特定収入とは政令あるいは、補助金や助成金の交付要綱などにより、支出目的が特定されているものであり、使途不特定の特定収入とは、使途が特定されていない補助金、寄付金、会費収入などをいう。 |
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9. 特定収入割合が、5%を超える場合の特例計算 |
通常の課税仕入税額(特定収入から現実に支出された課税仕入控除税額を含む)―特定収入にかかる消費税額=控除対象消費税額となる。もし、この算式の結果が、マイナスとなった場合には、そのマイナス金額を課税標準税額に加算する。これは、上記「7.特定収入に係る消費税額を控除仕入税額から除外する理由(3)」による。
これは特定収入割合が非常に高い場合に起こると考えられる(資料編の具体的計算例、課税売上が95%以上の場合の表5参照→課税仕入等にかかる消費税額を除外するのではなく、特定収入は不課税収入であるが、特定収入金額(課税仕入ではない)に含まれるものとした消費税額を除外することに注意)。マイナスとなった税額は、通常の課税資産の譲渡等に係る消費税とみなして、課税標準額に対する消費税額に加算します。(消費税法60)すなわち、下記算式の、Bがマイナスになった場合(特定収入課税仕入税額のほうが、特例適用前課税仕入税額より多くなった場合)には、納付消費税額は=A+Bとなる。
A=課税標準に対する消費税額
B=特例適用前課税仕入税額―特定収入課税仕入税額
納付消費税額=A―B |
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10. 課税売上割合 |
課税売上割合 |
= |
税抜課税売上 + 免税売上
税抜課税売上 + 非課税売上 + 免税売上 + 非課税売上 |
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課税売上割合が、95%以上・・・全額控除
課税売上割合が、95%未満・・・一部のみの控除・・・個別対応方式と一括比例配分方式の選択適用 |
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11. 全額控除(課税売上割合95%以上の場合)の場合の控除仕入税額 |
特定収入にかかる課税仕入税額= +
課税仕入にのみ使用される特定収入× 4/105
特例適用前課税仕入税額 ― )× 調整割合 |
調整割合 |
= |
使途不特定の特定収入
税抜課税売上 + 非課税売上 + 免税売上 + 使途不特定の特定収入 |
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この調整割合によって、使途不特定の特定収入によって、まかなわれた課税仕入れ控除税額を算出する。
※「課税仕入のみに使用される特定収入」とは、特定収入のうち、法令又は交付要綱などにより、課税仕入に充当されたことが明らかなものをいうのではなく、あらかじめ法令等によって「課税仕入に充当する指示」のあるものをいう。しかし、NPOに対する寄付金や会費には、その指示の無いのが通常であるから、「課税仕入のみに使用される特定収入」にはならず「使途不特定の特定収入」となる。
「課税仕入のみに使用される特定収入」は、自治体などから補助金などを得て、その交付要綱に「課税仕入のために使用される補助金等であること」が、明記されているものが該当する。 |
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12. 課税上割合が95%未満で、個別対応方式の場合 |
特定収入にかかる課税仕入税額=A+B+C |