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特集 秋のシンポジウム報告
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> 「マイナンバー制度が税理士業務や税制・税務行政に与える影響」
秋のシンポジウム(東ブロック)に参加して

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税経新人会・秋のシンポジウム(東ブロック)の感想
東京会会員事務所職員 佐伯 純史
先ず、辻村先生が番号制度と税理士業務について話されました。税分野における対象事務も多く、番号制度が施行された際には、それに対応するための勉強が必要だと感じました。なお、法人番号には個人番号のような責任がないとのことで、それで果たして良いのか疑問を感じました。また、個人番号が変更された際には、全ての登録されている番号を差し替えられるか、などの実務上の問題の発生が予想され、施行までには多くの未想定の問題解決が必要になるだろうと思います。最後に紹介されたエピソードでは、番号制度の開始以後に懸念される事項がひしひしと感じられるもので、番号制度の使われ方が非常に大切だと痛感しました。

次に、阿部先生が番号制度と消費税制について話されました。「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」によれば、番号制度が消費税制に及ぼす影響が明確に謳われていることが確認できました。また、将来インボイス制度が導入される可能性も多分にあるというお話の中で、インボイス制度の具体的内容や韓国における実施状況を聞くことができ、そのイメージができました。しかしながら、個人情報が国の管理下に置かれることによって、調査等の面でも国民が不利な立場に立たされないかなど、やはり番号制度が施行された場合の不安が大きく感じらました。

また、特に、懸念させる問題点としては、外部流出したデータのマッチングの問題だと思いました。なぜならば、いったん共通番号制度が始まってしまうと、時間の経過とともに、データのマッチングが進み、流出データの精度、価値は高まり、さらに、流出データの回収はほぼ不可能であると考えられるからです。これを防ぐためには、やはり制度を導入させないことが一番ですが、やむをえない場合には、国の介入できない第三者機関による監視体制は、不可欠であると考えます。

その後の質疑応答では、活発な議論がなされ、大変勉強になりました。国民に対しては、番号制度の内容はほとんど知らされておらず、税理士の担う役割が非常に大きいことが分かりました。

(さえき・じゅんし)

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