論文
特集 第49回京都全国研究集会・分科会報告
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> 税理士法の歴史と今後の課題
> 国税徴収法の「自力執行権(差押等)」をどうみるか公権力の乱用を許さないために
> 現代税制と分配的正義 分科会発表後の討論
> 新しい国税通則法の下での税務調査

税理士法の歴史と今後の課題
東京会 米澤 達治
東京税経新人会は、「税理士法の歴史と今後の課題」をテーマに分科会の発表を行いました。発表は、井上礎幸会員の司会で始まり、1951年(昭和26年)の税理士法の成立から1972年(昭和47年)「税理士法改正に関する基本要項」の成立までを米澤達治会員が、その後の動きから1980年(昭和55年)改正を経た今日までを櫻木敦子会員が、現在の日税連の税理士法改正の動きの問題点とTPP協定交渉と税理士制度についてを相田英男会員が、他士業の使命、目的と税理士制度の比較を井上礎幸会員が、最後に税理士制度と税理士法の今後のあり方について米澤達治会員が報告しました。
報告では、税理士法制定の経緯や1964年(昭和39年)税理士法改正案から1965年(昭和40年)同法案廃案に至る日税連を中心とした全国の税理士の闘い、その後の1972年(昭和47年)「税理士法改正に関する基本要項」作成への動き、1980年(昭和55年)税理士法「改正」に向けた日税連執行部の変質とそれに対する税経新人会、全国青年税理士連盟等の反対運動などが東京税理士会の会報や青年税理士連盟の「税理士法かくたたかえり」などを資料として発表されました。また、今の日税連の税理士法改正の動きについては、 会員の意見を無視して秘密裏に進められていること、 その内容は、税理士の義務を強化するものとなっていること、などを挙げて税理士法改正は公開の場で行うべきと結論づけました。さらに、TPP と税理士制度については、税理士法第3条三号、四号との関係で弁護士や公認会計士の資格の相互承認が行われた場合には、外国の弁護士や公認会計士が税理士業界に参入することになり、税理士制度は形骸化する恐れがあり、同時にTPP の日本の経済に対する打撃的影響と相まって、日税連はTPP 交渉参加に反対を表明すべきであるとしました。

他士業との比較については、弁護士法、司法書士法、公認会計士法、社会保険労務士法等の第1条と税理士法第1条を比較しながら、それぞれの業務の相違を検討し、結論としてあるべき税理士像をはっきりさせることが重要であるとしました。

最後に、税理士制度と税理士法の今後のあり方については、税理士法が改正されるごとに税理士に対する管理、取り締まりという面で悪くなっていること、そして、これは財務省、国税当局が税理士法を取締法と捉えていることを指摘し、私たちが税理士法を納税者の権利立法の一環として考えていかなくてはならないとしました。その上で、 税務代理について税理士法で制限せず、完全な納税者の代理人とすること、 税理士会の財務大臣の監督権をなくし自主権を確立すること、 日税連を日本税理士会連合会ではなく日本税理士連合会として、その会長は、税理士の直接投票により選任すべきであること、を結論としてあげました。
報告後、質疑及び意見交換が行われました。延13名(報告者を含む)が発言しました。発言内容は、以下のとおりです。

※経営士として長年仕事をしてきたが、税理士資格を取ったので登録を申請したら、ニセ税理士行為をやっているのではないかとあらぬ疑いを持たれ3年間登録できなかった。税理士会からは「やっていないことを証明しろ」と言われたが、アリバイがあることは証明できても、アリバイのないことは証明できない。登録制度について考えて欲しい。

※私は国税OB の税理士です。私は特別試験で資格を取ったのですけど昭和60年が、昭和55年に改正されて最後が60年なんですね。国税試験が廃止されて、その後また変わったんですね。今の制度になったんです。私は今提示されたことについては大いに賛成です。国税試験の問題についてどう考えるのか、ここのところはどういう運動をしたらいいのか。私は現役の頃は全国税労働組合で労働組合では税務職員の国税試験については権益として守るべきであるとして強く運動をしてきました。昭和38年以降税理士法改正案が出るたびに国税試験廃止が大きな柱として出たので、それに対し現場にいた私たちは全国税労働組合として国税試験廃止には反対であるということを国会要請を含め国税庁に要求してきた。その結果、今日まで残っている。じゃあ、ここのところを新人会としてどう考えるのか。税理士法がひどい内容なのでこれを改正することには大いに賛成であるし、現場にいた時も、OB となった今も運動をしてもっと民主的な税理士法にすべきであると思います。ただ、国税試験の問題についてはどのように考えたらいいのか、皆さんの意見を聞かせてください。

※今、永沢さんから出された問題は、かつて新人会の全国研の中で大討論になったことがあります。青税は試験組でOB はいれない方針です。新人会の中でも受験組が多かった。最近はそうでなくなり大分変わってきたなと思う。私は、いずれ特資はなくなるべきだと思う。吉本さんと飲んでは論争をやってきたが、最終的には吉本さんもそれは最終的にはなくならなくてはいけないと認め、握手をした。やはり、税理士資格の入口は一つであるべきだと思う。

※ 55年改正の時に申告納税制度の理念にそってという文言が入ったということについてどのような経緯であったのかを展開して欲しい。この一文があるのとないのでは1条の読み方が変わってくる。

平成13年改正以降で、規制緩和との関係で無償独占をなくそうという動きがある中で今そのままで止まっていると理解している。そして、日税連は、この無償独占を守るために電子申告を推進していると考えられる。

税務代理を徹底すれば1条問題は解決するというのはおかしい。逆に1条を変えれば監督権や自主権を獲得できる。そういう面で展開が逆であると思う。

※特資の問題について税経新人会としては80年に特資について青税の中からかなり意見があって、新人会としても意見をまとめようという動きはあったがまとめきれなかった。

では、私はどう考えるのかという問題ですが、私は意見が違ってもそれはそれでいいと思う。もし、意見を統一しようとすると、どうしても反対の人を切り捨てるということになる。だから、意見の一致しない問題について新人会として統一見解を出す必要はない。特に新人会の中ではOB の税理士に力を借りている点が多い。

※ 3条二号四号についてはあえて取り上げなかった。なぜなら、公認会計士やOB が税理士として問題があるわけではないのに、あえてそれを問題にする必要はないと思う。倫理規定などを設けて対応すれば、資格取得問題はクリアできるはずである。

※資格者をどうするのかという問題だが、自分も登録して10年位たっていて、登録前また登録したての頃、もともと税務署というのは敵だと考え、同時に税務署OB も敵のように考えていた。でもこの10年間いろいろやってきて、やっと本質が見えてきて、全国税の方々の存在も知った。当然全国税の方々が特資の廃止に反対することはわかるし、それ自体問題ないと思う。試験制度に一本化する必要もない。ただ、税理士が国民のため納税者のためにという時に集団を絞り込みすぎることに弊害がないのか。たとえば、弁護士は司法試験制度から法科大学院からとなったがそうなるとお金のない人はどうするのか。弁護士にはなれないのか。というような問題が出てきた。税理士試験の場合も税理士が受けて合格しなければならないといったとき、税理士試験の勉強ができる環境にある人しかOB 税理士になれないことになる。税理士になりたいけど大学に行くのではなく、高校を卒業して税務署で働いて、その人が一生懸命働いて税理士になったということが重要。

研修制度について、自分は税理士会の研修会には行かない。新人会の毎月のブロック研修などに参加していれば十分だ。また、新人会にはいろんな出身の人がいるのでより幅広く知識などを吸収できる。

※研修の義務化について、義務化に賛成の人が多い。税務援助についても賛成の方が多い。このことは非常に心外である。みんないい子になって税務援助でもなんでもやりましょうという人が多いことに危機感を感じる。

※資格取得については歴史的に捉える必要がある。税理士法制定の頃は、当然税理士はおらず、一定の人数を確保するために公認会計士や計理士の試験免除はやむを得なかった。この分科会の準備の過程で元東京税理士会会長の平山先生の話を聞いたが、税理士試験の一括合格制度について日税連から提案してきた。それに対し受験生が中心となり反対運動が始まったとのことである。その結果、今の試験方式が継続したが、いろいろな職業の人が息長く勉強して資格を取るという今の制度はいいのではないかと思う。

研修の義務化については会則によるべきだと考えている。その理由は、勉強しない税理士、能力の不足している税理士を税理士会が監督する観点から必要なのだと思う。

※南九州会の話、牛島税理士は会員権の一部停止で選挙権の停止です。牛島税理士訴訟の判決は本会と税理士政治連盟を分けようということである。南九会の8月の会報で副会長が「税理士法の改正について税政連が活躍している。だから、みんな税政連に入ろう」と呼びかけていた。これはおかしいじゃないかということで総会に文書発言を行ったが、それに対してはまともに答えず逃げている。また、税理士法第1条に弁護士と同じように自治権を入れるべきだと言ったが、これに対してもうやむやな回答で、このことはそのようなことを要求すれば税理士法改正はできないと考えていることを示している。そのへんのところをどうやって私たちが変えていくかを考えなくてはならない。変えていくには会員みんながわかるようなアプローチをすべきであると今は考えている。

※私は平成元年登録なので平成13年の税理士法改正しか経験がない。今考えればそれに対しいろいろ活動をしていたのだけどそれから12年経ってそのことをすっかり忘れていた。やはり、そのようなことはちゃんと記録して報告しないと次につながらないので是非そのことをやっていってほしい。日税連が国税庁や主税局と話し合っていると言っているが、これは税理士法が政府提案の立法となっていることを示している。議員立法というものがあるので運動によって議員立法による法改正が必要なのではないか。

私も先日平山先生の話を聞いたが、そこで「みんな税理士法改正と言うが、税理士会が国民のための税理士制度であらねばならないと言っても、国民が支持してくれるような税理士制度にするにはどのようにすればいいのか考えていかなくてはならない」と言われた。また、日税連の理事会には何名か国税庁の税理士監督官が臨席している。東京税理士会の理事会ではそのようなことはない。その代わり翌日総務部長が国税局に報告に行っている。このようなことは知らない人が多いので知らせていかなくてはならない。

最後に、なんで日税連の会長が近畿税理士会から出ているのか。7万人のうち2万人が東京会なのにおかしいのではないか。

※報告の中でいくらか触れられてはいたが、80年、昭和55年改正の政治的社会的背景について確認しておく必要がある。日税連が基本要項に沿って税理士法改正を要望してきてその流れの中で昭和55年改正があったようには感じられない。改正法は基本要項とは全く関係がない。なぜかというと、その前に大平内閣が一般消費税を導入することを政策に掲げ国会を解散して総選挙を行い歴史的大敗北をした。そのため、一般消費税はボツになった。ところが、一般消費税をやるためには税理士を下請けに使うことが前提である。そのため、税理士を下請け化するために一般消費税の立法作業と税理士法改正作業と同時進行で進めたというのが55年改正である。

その証拠には当時の一般消費税担当と税理士法改正担当者が福田という大蔵省の審議官だった。それで一般消費税の方はポシャったわけですけど、税理士法の方は日税連の限りなく賄賂に近い政治献金をして法案を金で買うというような不祥事を起こしながら、強行成立させた。だから、成立したのは先程悪名の高い助言義務と使用人等に対する監督義務等税理士を当局の下請けにするために必要な税制の改正点で55年の改正法は重要な役割を果たした。同時に決められたのは、税理士の業務範囲を全税目に広げた。これは、一般消費税を入れるためである。税理士会の会則も絶対的記載事項として委嘱者の経済的理由による無償又は著しく低い報酬による業務が入った。これは、日税連の会則にもあったし、税理士会の会則にもあったのでこれによって私たちの現在の税務援助が半ば強制されている。そういう意味では55年改正というのは税理士の下請け化を促し、今日に至っている。

それから日税連の問題だが、さきほどどなたかから日税連の理事47名で運営されているのはおかしいと言っていたが、実際には正副会長13名で日税連は運営されている。理事会はセレモニーに過ぎない。

最後にTPP について、TPP は国の主権を売り渡すものである。税理士業界についていえば、アメリカの申告書作成会社の大手が日本に上陸することは容易に予測できる。そうなれば、日本の税理士制度は崩壊する。そのため、TPP 交渉に参加すること自体に反対していかなくてはならない。

※私の結論として言いたかったことは、今税理士法改正でもって研修の義務化と税務援助の義務化を法定化するということについて、とりあえずやめさせるということである。会則等で決めることについては次の問題であって、法定化されることにより税理士の取締法的性格がさらに増進する。

※私たちは全国税グループみたいな言い方をして、全国税250名位で全国税制懇話会というのを作って運動しているが、これからそのような国税OB の中でも革新的民主的な運動をしようとする人たちは年々少なくなってきている。今、国税の中の全国税労働組合に所属している人は320名位しかおらず、圧倒的な少数派で、もう差別の連続だから中々それを跳ね返し運動するという状況でない。しかし、納税者の権利を守る運動というのは労働組合の仕事であり、私たち税理士の大きな仕事である。納税者の権利を守るためにはどのような税理士会であるべきかについてはそれなりに私たちも勉強し議論をしている。そのような立場も踏まえて、新人会もそのような運動をしていくということなので、全国に声をかけてもっと頑張って新人会に入って運動をやれと言っていきたいと思う。将来的にはどんな方法がいいのか、極端に言うとまた議論になるかもしれないが、本当に税理士制度が必要なのかどうかも含めて議論をしていく必要があると思う。

この後、報告者4人がそれぞれ感想を言って分科会は終了しました。最後に、分科会の議論を携帯電話で録音したのですが、録音状態が悪く聞き取れないところも多々ありました。そのため、発言内容に本旨に反する部分があるかもしれないのでその点についてご了承ください。(なお、1人については完全に聞き取れず、発言内容を割愛したことをお詫びします)
(よねざわ・たつじ)

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