論文
特集 第49回京都全国研究集会・分科会報告
> 医療をめぐる事例研究
> 税理士法の歴史と今後の課題
> 国税徴収法の「自力執行権(差押等)」をどうみるか公権力の乱用を許さないために
> 現代税制と分配的正義 分科会発表後の討論
> 新しい国税通則法の下での税務調査

医療をめぐる事例研究
関東信越税経新人会
当会の分科会には40名の方に参加していただきました。分科会でお配りしたアンケートは19名の方に提出していただき
とても勉強になった 16名
少し勉強になった 3名
まあまあ 0名
あまり勉強にならなかった 0名
全く勉強にならなかった 0名

という結果でした。ご祝儀相場であるとは思いますが、主宰者としてはほっとしています。以下アンケートで関心が高かったものについてコメントさせていただきます。
福祉共済金(死亡共済)

アンケートの結果、いちばん関心が高かったものは福祉共済金(死亡共済)でした。これについては分科会終了後もいろんな情報やご意見をいただきましたので補足させていただきます。まずこれが相続税法3条に規定する生命保険契約に基づく保険金に該当しないということは、直審(資)39昭和41年8月9日のとおりです。

では何になるかということですが、当日紹介した非課税説のほか、受け取った方の一時所得になるという意見もあります。

同じような給付金で、一般社団法人全国保険医休業保障共済会の死亡給付金については、国税庁ホームページに文書回答事例(平成25年3月13日)が掲載されていますが、これには「受取人の一時所得」とされています。

またこの間、保険業法が改正され、契約内容が変更されている可能性もあるため以前と同じ処理でいいとは限らないとの意見もいただきました。この事例にあたった場合には、契約内容や規約をよく確認して判断した方がよさそうです。
看護学生・医学生の奨学金

看護学生の奨学金については非課税ということで解決しています。

医学生については、大阪国税局の文書回答事例(平成22年10月18日)が公表されていますが、医師の場合は開業医として独立できることと奨学金が高額(1 4年生が月15万円、5 6年生は月20万円、6年間合計1,200万円)であることから非課税とはしないとしています。

ではいくらの奨学金なら高額ではないのでしょうか?

名古屋国税局の文書回答事例(平成24年3月9日)の場合、入学金+ 授業料+ 毎月10万円(6年間で1,069万円余)を非課税としています。

ただし名古屋国税局の事例は、県の奨学金で県内95の医療機関(うち県が直接又は間接に経営しているものは4)のいずれかに勤務することが条件であるため、大阪国税局の事例とは前提が違うのかもしれません。

しかし、名古屋国税局の照会(質問)では毎月10万円について「これは、下宿代や通学費用、食費、教科書や医学書の購入費用など、医学生が修学する上で必要と認められる範囲で貸与するものであり、学資金として相当なものと考えています。」とあり、回答ではこの点に言及していませんが、非課税であることは認めています。そのため高額かどうかで争いになった場合、毎月10万円という金額はたたかう材料にはなると思います。
派遣医の源泉、貸倒損失、専従者給与と家族の役員報酬

そのほかに派遣医の源泉、貸倒損失、専従者給与と家族の役員報酬などをあげていただきました。わりと規模の小さい病院でも医師の派遣はけっこう受けています。医師の場合給与が高額になるので源泉徴収をどのようにするかは悩ましいところです。

また、このご時世で窓口未収入金の貸倒れも増加しています。ある法人の「未収金処理基準」を紹介させていただきましたが、参考にしていただけたようです。

専従者給与と家族の役員報酬が高額かどうかについては、あくまでも勤務実態を見て判断するとのご意見をいただきました。
分科会のテーマ以外で

分科会のテーマ以外で疑問や興味を持っている事項としては、改正のあった措置法26条、一人医療法人の解散、清算があがりました。また、今後意見交換ができる場がほしいという意見もいただきました。つたない分科会ではありましたが、医療関係に詳しい方や経験豊富な方から積極的に意見を出していただき助けていただきました。ありがとうございました。
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