「新国税通則法と税務調査への対応」シンポジウムは、改悪された通則法の税務調査について学ぶ重要な機会として参加しました。
講演と質疑応答で、9月の通達等の内容や経緯・問題点を少し理解することができ、今後の税務調査の対応に向き合うことができるのではないかと感じました。
「提示」「提出」「留置き」「謄写させる義務」については、「新税務調査10カ条」にゆだねるとして、以下感じたことを述べます。
鶴見先生の講演を聞いて、憲法における刑事事件と税金に関する規定の差がなぜ大きいのか初めて学ぶことができたと感じています。納税に関する憲法の規定は皆さんご存知の30条、84条の2項目です。納税の義務(課税の限界を規定した条文であるという先生の見解は大賛成である)と租税法律主義を定めています。
今回の講演の中で、憲法31条から40条の引用が何回もなされました。刑事裁判における手続きと国民の権利について述べている部分です。先生の講演の中で、戦前の刑事裁判に対する反省からこのように詳細に規定がされたという趣旨の話がされました。また、納税に関しては申告納税を権利として扱うことがされなかったので、納税に関する規定が少ないとも言われました。なるほどそういうことかと感心をすると同時に、新国税通則法に対する闘いはこういう次元のこととして今後展開をしていくことになるのかと、厳しさを感じざるを得ませんでした。
新国税通則法は「罰則」がいたるところで強調されています。罰則は刑事責任を含んでいることから、当然憲法31条以下の条文の権利を学んでいないと対応できないことになります。税務行政も憲法の直接制約を受けることを現場で主張していく必要があります。現場での対応に生かせるまで、新国税通則法と憲法の内容を理解することが当面の課題になると感じています。
最後に鶴見先生が第97条を引用し「権利は闘い取るもの、守るためにも闘いが必要である」ことを強調されていました。
「第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」 |