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(支援費制度) |
03年4月から「利用者主体」「利用者の自己決定」を理念に掲げた支援費制度がスタートしました。措置制度から支援費制度へ移行したことにより、利用者には利用料の他にオプションとなるサービスが増え自己負担が増大しています。初年度からホームヘルプサービスに対する国庫負担の予算が足りなくなり、初年度の予算額で100億円も不足しました。さらに、2年目の04年度は当初予算で170億円の不足額が生じることが判明しました。(朝日新聞04年6月22日)
しかし、財源の目途は立たず制度は早くも存続自体が危ぶまれる状況となりました。もともと厚生労働省は制度導入の際、介護保険のときのように、細かいサービスの必要量やニーズに関する実態調査を行わなかったため、潜在的な需要を把握せず、財源確保の見通しをつけないままの見切り発車を懸念する声は導入当初からあったが、具体的な対応策は打たれてきませんでした。
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そこで、制度の実施から1年も経たないうちから、支援費単価の引き下げ、外泊時の支援費の20%カットが打ち出され、さらには支援費制度と介護保険制度の統合問題も持ち出され、制度のスタートの年から障害者や家族、福祉現場に混乱と不安を招いています。
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福祉問題に詳しい鹿児島大学の伊藤周平教授は、支援費制度と介護保険制度とが統合されれば、障害者福祉の現場に深刻な問題がもたらされると言います。
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若年障害者にも保険料負担義務やこれまで以上の利用料負担が生じ、低所得の障害者にとっては大幅な負担増となること。 |
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要介護度ごとの支給限度額が持ち込まれれば、サービス利用に上限が設定されたと同じ結果となり、現状では、重度障害者が在宅で家族介護に依存せずに生活していくことは困難。 |
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第一次判定がコンピュータ判定で、しかも介護認定審査会による第二次判定が形骸化しているような方式が踏襲されれば、給付抑制の手段として使われる恐れがあること。 |
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保険料負担の問題で、特に若年層では、高い失業率とフリーター化の進行により保険料負担能力が落ちていること。しかも、65歳になるまでほとんど給付が期待できない介護保険の場合には、国民年金保険や国民健康保険の保険料以上に納付意欲が減退すること。
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と問題を指摘しています。 |