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(2) |
低所得層への福祉サービスの充実・社会給付支給額の消費税分引き上げ |
課税最低限以下の層の消費税負担を回避する方法としては効果的だが、社会給付を受けない低所得者層もいるので効果は限定的である。
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(3) |
最低生活水準の維持に必要な消費税分の所得税額からの控除・還付 |
理論的にはすぐれている。生活保護基準額の消費税分を所得税額から控除、又は還付し、かつ、所得が一定額以上の者に対しては控除額を徐々に減らす方法が一番合理的であろう。この方法が現実的かどうかは別にして、カナダでは実際にある種の税還付を認めている。これは所得税の納付額とは関係なく、低所得者に限定して食料品など生活必需品に課される税負担に等しい小切手が支給される一種のタックス・リファンドの制度である。ただこれは生活保護費のような政府無償給付であり、真の意味での税還付にはならない。
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所得税の累進税率・資産課税の一層の強化 |
政府税調によれば、消費税の所得に対する逆進性の問題については、消費税という一税目だけでなく、税制全体、さらには社会保障制度等の歳出面も含めた財政全体で判断していくことが必要と述べてはいるが、現在は税率のフラット化により重きがおかれているのが現状である。そこで、所得税や資産税の累進性をより強化して税制全体での公平な負担が必要であり、資産再分配を通じて社会的公平の確保が重要である。具体的には、高所得者層により多く発生する利子配当や株式キャピタルゲインといった資産所得を総合課税に改め、また相続税・贈与税の課税ベースを拡大し累進税率を強化し、それらのメリットを最大限に生かすべきであろう。
以上逆進性の緩和方法として述べてきたが、これらのどの方法も消費税のもつ逆進性の根本的な解決には至らない。つまり、消費税のもつ逆進性はいかなる方法でも完全に取り除くことはできないのである。
消費税については、この他にも消費税を福祉目的税あるいは年金目的税とするべきであるか、また消費税率が二桁に引き上げられたとして、現状のように単一税率でよいのか、複数税率が導入された場合は現行の帳簿方式を改め、インボイス(仕送り状)を採用する必要があるのかなど、さまざまな議論がされている。
また、消費税自身にも逆進性をはじめさまざまな問題が指摘されている。先進諸国最悪となった財政赤字や来るべき少子・高齢社会の下で年金・医療・介護など膨大な財政需要に対応するために、これから日本経済の立ち直りを待って、消費課税のあり方について今一度考えてみる時期に来ているのではないだろうか。 |