(2004.7.8合併号)
2003年度の活動報告と総括
2004年7月24日全国理事会議事録
中国税経新人会が発足しました


2003年度の活動報告と総括

この1年間、税経新人会全国協議会は理事会で確認された活動方針に基づき以下の活動を行なった。

I.税制・税務行政の民主化を求めて
1. 消費税増税反対について国会陳情

本年度は「税制改正対策委員会」(佐伯正隆委員長)を設置し、「消費税増税反対パンフレット」を12000部作成し全地域会に配布した。そして、消費税増税に反対し、免税点の引き下げ、簡易課税制度の適用範囲縮小の凍結を求める署名活動に取組んだ。

2月6日に衆議院・財務金融委員40名、参議院・税制金融委員25名に対し、議員会館室を個別訪問し要請した。

署名簿は民主党と共産党の紹介議員に提出を依頼した。署名は全体で19,648筆であった。(その後署名総数は4月10日現在20,761筆)。

要請行動の際には、04(平成16)年度の税制改正案のうち高齢者に対する課税の強化(公的年金控除の縮小や老年者控除の廃止)について反対を求める陳情をあわせて行なった。

また、04年度税制改正案のなかで、譲渡損失の損益通算禁止措置については租税法律主義の原則からして遡及立法は禁止するべきであること、また100万円を限度とする長期譲渡所得の特別控除の廃止も、遡及立法の禁止に反すること、高齢者に対する課税強化に反対することを記した文書を各議員に渡して反対してもらうように要請した。

署名数は、昨年の外形標準課税の導入反対署名と比べると大きな前進があったが、署名活動を会員の大きな広がりにすることができなかったことや国会要請行動の時期を早めることはできないか等の反省点が出された。
2. 04(平成16)年度税制改正案に対する意見書

全国常任理事会では、04年度税制改正について審議を行い、「04年度税制改正案に対する批判」を「税経新報」(04年3月号)に発表した。税制改正に関しては増税の方向で進むことが明言されており、情報収集や対応のスピードが求められていることから、今後の課題として、税制改正について専門に対応するチームを設ける必要があることが確認された。
II.研究・研修活動
1. 全国研究集会の成功

九州会が担当した第39回熊本全国研究集会は、8月23日と24日の両日、全国から266名(うち招待者3名)が参加して開催された。初日は、 金融法の基本と税務(東京会)、 社会福祉法人のすべて(埼玉会)、 退職金をめぐる諸問題(神奈川会)、 倒産等に関連した税務(大阪会)、 自己株式をめぐる課税問題(神戸会)、 牛島訴訟、その成果と課題(九州会)、 中期答申批判−高齢化社会とあるべき税制(全国会)の7分科会で研究報告と討論、夜は本坊美通税理士を囲んで交流会が持たれた。2日目は、熊本学園大学の原田正純教授による記念講演「地球環境を考える―水俣病を原点として」があり、次いで全体集会を開催した。第39回全国研究集会は、分科会会場や全体会会場を公共施設で実施するなどして参加費の逓減を試み、全国研究集会のあり方について前進が見られた。
2. 秋季シンポジウムの開催

03年11月8日東京において、秋季シンポジウムが開催された。参加者は80名。テーマは「年金改革と消費税増税問題」に年金実務センター代表公文昭夫氏、「年金財政の仕組みと消費税増税について」全国協議会副理事長国岡清氏を講師に、国会で進められようとしている年金改革の現状とあるべき方向、消費税増税の論拠についての検討を行なった。

03年の秋季シンポジウムは、東京の開催に先立ち7月12日に大阪で「年金改革と消費税増税問題」で開催し、60名が参加した。従来、東西の中間点名古屋で開催することがほとんどだったが、多くの会員が参加しやすいようにという試みとして東西2ヶ所開催が実現した。概ね好評であり、04年度も引き続き東西2ヶ所での開催を予定している。
III .「税経新報」の充実と活用
「税経新報」は編集部員の集団的な努力で継続発行されている。
1958(昭和33)年8月に誕生した「税経新報」は03年6月に500号を迎え、新国信理事長による「第20回全国研究集会後の税経新人会の活動」と題した巻頭文に始まり、若手による記念論文4点、各地域新人会の状況、歴代理事長からの寄稿などによる「500号記念」特集を組んだ。毎月定例の編集会議で読者ニーズは何か、「税経新報」で取り上げるべき時宜にかなった特集とは何かを討議し、「はい、こちら編集部」で読者に呼びかけ、身近で役に立つ紙面づくりに取組んだ。また、01年10月からホームページが開設されたが、さらなる活用に向けて取組みリニューアルを計画中である。
IV .会の拡大強化について
会の拡大強化については、次の2つの組織問題に取組んだ。
1. 中国税経新人会の創設

多年にわたる中国税経新人会結成に向けての努力がようやく実を結んだ。

03年5月31日に広島で準備会を結成し準備が進められてきたが、本年4月12日山口における西田富一副理事長、国岡清副理事長出席による懇談会を経て、6月26日山口において設立総会が開催された。
2. 四国税経新人会への統合

現在四国には香川会と高知会があるが昨年5月18日に組織問題懇談会が高松市でもたれ、1年間かけて、四国税経新人会への統合にむけて現在準備を進めているところである。
V . 税理士会での活動の強化
1. 商法改正に対するパブリックコメントへの意見書提出

全国常任理事会において、商法改正の動きについて注視し検討を重ねてきた。法務省民事局参事官室は「会社法制の現代化に関する要綱試案」を公表し、「意見募集」を行なった。全国協議会三役会は、03年12月16日に電子メールと文書により、中小企業の立場から「会社法制の現代化に関する意見書」税経新報(04年1月号)を提出した。
2. 税理士事務提要に基づく「実態確認」調査について

全国常任理事会での席上で北陸税経新人会常任理事より、税理士法55条の確認調査を本格的に行なう方針文書が税理士会内部で配布されたとの報告により、にわかに問題が浮上した。その後、02(平成14)年7月に「税理士事務提要」と称する事務運営指針が国税庁総務課より出されていることがわかり、各地で「実態確認」調査の実施が進んでいることが表面化した。各国税局は国税庁長官の事務運営指針を受けて、「実態確認」調査についてそれぞれ実施計画件数を明確にして取り組んでいる。税務当局の監督権の行使は、税理士会の自主権を損なうものであり、その問題点について討議した。
3. 認定研修制度について

新設された研修の規定(新税理士法39条の2)を受け、税理士会において認定研修制度が開始された。すでに税経新人会の主催する研究例会(神奈川会、千葉会、東京会主催)について認定を受けているところである。しかし、この間の各単位税理士会の研修認定制度について情報収集した結果、団体の名簿提出を求める税理士会もあれば、研修会の人数規模についても100人とするなど研修規定及び運用に格差があり、大阪税経新人会では是正を求める運動を進めている。
VI . 納税者権利憲章の制定を求める活動
本年度は国会に超党派による法律案を提出するため、野党のみならず与党税調を含む各党に納税者権利憲章の討議を要請した。そのほか本年度は、政府税制調査会、日本経団連、日本商工会議所と面談し要請を行った。雑誌「日経ビジネス」に納税者権利憲章の特集記事が組まれ、税経新人会会員でもある税理士数名が取材に応じ、憲章を求める運動に広がりを見せた。
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