論文

> 国税通則法の改定と納税者の権利
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「改正」国税通則法ー留置規定の解釈は従前実務を変更するものではない
神戸会 浦上 立志
税制改正は、年度内改正ができず、つなぎ法案で日切れに対処し、その後二度の分離切り離しの結果、成立した平成23年度税制改正となった。国税通則法は、大震災後の棚上げの後「国税に係る共通的な手続並びに納税者の権利及び義務に関する法律」に改められる予定で、あわせて、制定される予定であった納税者権利憲章は、結局、国税通則法という題名のまま1とし、政局優先と国会での熟議を図るとの公約に反する国会外の三党合意によって、納税者の権利保護部分を削除し、先送りされた。(以下、「改正法」という。)

特に自民党担当者の「憲法には納税の義務はあっても権利はない」との前時代的解釈2に押されて、妥協した。(経緯は資料1)納税者権利憲章制定の必要は、もともと、質問検査権の範囲は、各個別税法の「必要があるとき」との文言のみから、税務職員の「合理的」裁量に委ねられる運用では、納税者の権利と調査権の限界があいまいになってきた弊害があったので、これを他の行政法分野の手続きの公正透明な運用や、諸外国の例に倣って、整備せざるを得ないことから近年、政権交替のマニフェストにも、取り上げられてきたものである。

もっとも、民主党マニフェストにある納税者の権利の捉えかたは、行政法は国家権力から国民の権利を守るための運用を図る改革が必要だとの観点が薄く、権利と義務を同時平板的にとらえたギブアンドテイク、白色申告者は記帳義務の履行が不十分なので、処分理由の文書明示に消極的、悪質な納税者を退治するかのような旧政権を批判したはずの「上から目線」、「脱官僚依存」といいながらも、官に与したバランス感覚などが、この度の後退を許す背景にあったことが窺える。たとえば、民主党の政権奪取に抜群の力を発揮したマニフェストの詳細版であるINDEX2009の税制に関する部分(P19)では、「納税者権利憲章の制定と更正期間制限の見直し

国民の納税者としての意識を高め、より強固な民主主義を構築していくための第一歩として、確定申告を原則とし、給与所得者については年末調整も選択できるという制度を導入します。また、これを実現するにあたって、納税者の権利を明確にするために「納税者権利憲章」を制定します。」としていた。つまり、納税者の権利とは、財界の要求でもある年末調整の縮減(給与所得者の特定支出範囲の拡大と申告との選択制に経団連は従来から賛成である。たとえば、平成23年度第16回税制調査会議事録 11月9日 経団連の発言)脱税には罰則の強化をもって臨む環境整備とバーターとする租税観・考え方が垣間見えた。自営業者とサラリーマンを対比したクロヨン攻勢にのって、旧総評・同盟や現在の連合に統一する前身の全民労協時代からの正社員クラブとしての既得権確保を優先要求した体質を引きずっているのではあるまいか。

しかし、ともあれ、これらは、結局、現行実務で行われていることに法令上の根拠を与えることに留めたというのがいまのところの国会答弁等からの説明である。(資料2 国会議事録抜粋参照)
しかるに、同改正法においては、あいまいな規定の創設が一人歩きし、現行実務の追認以上の質問検査権の行使の拡大が、解釈の変更次第でずるずると行われる怖れのある規定がある。

特に重要と考えるのは、税務職員が納税者等から提出された物件を留め置くことができる規定(改正法74条の7(提出物件の留置き)が新たに設けられることとされた点である。つまり、どのような場合に、税務職員が、納税者から提出された物件を留め置くことができるのか(以下、「留置」という。)、物件の留置の意味、対象物件の範囲や手続が明らかでないことから、帳簿のみならず関係物件はすべて持ち帰り自由になったのだとの納税者側・行政側の現場での生ける税法実務に道を開かないかと危惧する。あいまいなままの方が、結局行政優先の実際の運用蔓延を現場の官優位の力関係で支配的にすすめることができるとの算段が執行当局にはあるのかも知れない。一方、運動側に、これの危険性を事前に指摘したために、そのような解釈しかない法律が制定されたと受け取る向きがあるとすれば、あまりに生真面目な「左翼小児病」的ではないだろうか。

そこで、改正法の行政法解釈に歯止めをかける必要がある。

行政調査の範疇である質問調査権の行使は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならないとの大前提があり、刑事捜査手続きではないことを踏まえてその限界を明示することを解釈上も国会答弁だけでなく行政通達で明示するか、先送りされた納税者権利憲章において明示するように税理士会としても求めるべきである。

従来、税法では、特に手続きを要することなく成立する方式3の国税の調査とその非違に対する調査の必要上、認められた印紙税法上の留置規定(印紙税法施行令20条)があったが、それは国税犯則取締法の対象である間接国税から印紙税が除外された際に、印紙税の違反としての過怠税を賦課するための課税文書の作成と目的に添った行使4を把握し、行政罰を証拠保全して同時解決するための便宜的・例外的な位置づけではないかと思われる。

また、似た用語に、刑事手続きである国税犯則取締法上の任意手続きのなかにある、刑事訴訟手続上の用語である領置5(任意提出物の捜索終了までの強制保管)とは明確に異なる概念であることに注意が必要である。(同法第1条(質問・検査・領置) 第7条(差押え・領置の手続) 第10条(顛末書の作成)第18条(告発の場合の差押物件の処置))

これらから申告納税方式による納税義務の任意調査においては、領置はあり得ず、あくまで、現行実務で行われている範囲の明文化に過ぎないとの制定主旨から文言解釈を試みなければならない。

従って、74条の2にある質問検査権の態様の一つである、その前段の提示とは、調査の必要が示され、それに納得した場合の開示であり、提出とは、提示と特に区別された特別の意味があると位置付ける必要もない。

ただ、常識的には、提示は、納税者側の手元にあるが、提出は、行政側の手元に委ねることを区別したものとまでは言えるかもしれない。さらに提出と留置は連動するものではない。

調査の進行上からの必要性を明示して、納税者が納得した場合にのみ、任意に物件の一時預けが行われ、納税者の必要に応じて、担当者に通知すれば、直ちに行政の費用と手間をもって、返却されるものである現行実務で行われていることと変更がないはずである。

危惧されるのは、従前の質問・検査という表現に加えて、提示・提出という細分された行為を求める正当な理由の判断によっては、罰則の適用があることと留置の求めに対する拒否自体には対応する罰則がないにもかかわらず、従前実務を超えたあたかも「預かり自由」への踏み込みを許すようでは、調査の強権化とそれを体験した納税者の不信感を広く醸成してしまうことである。あくまで提示・提出・留置の各段階ごとに正当理由の開示とそれに対する納税者の承諾が必要であるとの対処を多くの納税者・税理士が行うことが大事であると考える。

税理士法上の税制改正建議権を有する日税連担当者は、政府税制調査会に出席して、峰崎参与から税理士会は、納税者権利憲章に消極的なのかと問われ、われわれほど権利憲章制定に熱い気持ちを持つものはいないと自負していると述べている。(平成23年度第16回税制調査会議事録 11月9日)そうであるならば、各税理士会は建議項目に、税務行政手続きの各項目にそのような立場からの検討を加えるべきである。
資料1

平成23年度 第11回税制調査会議事録
中野民主党税調会長代行発言抜粋
「この3党合意に基づきまして、民主党税制調査会として、通則法の抜本改正部分について自民、公明両党の感触を探ってまいりましたが、これを踏まえまして、党税調としては、まず「1.税務調査手続」につきましては、 現行の運用上の取扱いを法令上明確化する部分と、 更に、手続を新たに追加する部分とに分割し、前者のみを実施すべき、「2.更正の請求期間の延長」、「3.理由附記等」につきましては、そのままの内容で実施すべきと判断いたしました。

最後に「4.納税者権利憲章の策定等」についてであります。これにつきましては、累次にわたり自民、公明両党と接触をし、感触を探ってまいりましたが、最終的に今回は見送らざるを得ないとの判断をいたしました。本件は、かつて野党時代に策定した2007年の民主党税制改正大綱、また2009年衆議院選挙マニフェストにも掲げてきた事柄でございます。昨年の政府税調におきましても、憲章策定についての議論の中で名前を「納税者権利憲章」とすべきとの意見と「権利」を付けるのはどうかとの意見の両論があった中で、政府・与党としてとりまとめて、本年1月に国会に提出をいたしました。

その後、付託先の衆議院財務金融委員会においては、野党から強い反発がありましたが、これを乗り越え、6月の3党合意においては、本件については成案を得るとされたとの経緯があります。その後、この成案を目指して自公両党の税調との間で党税調としても努力をしてきたところでありますが、やはりこの「権利」という言葉が哲学として相手方と相入れない中にあって、局面転換を図るため、また、更正の請求期間の延長や理由附記など、納税者の権利を具現化する事項を早期に実施することによって、納税環境整備は相当前進する。言わば実が取れるとの判断に立って、憲章については断腸の思いでありますが、今回は見送ることとしたものであります。
資料2

179国会- 衆議院- 財務金融委員会 - 4号 平成23年11月18日
日本共産党の佐々木憲昭議員だけが、反対の立場で、追及している。答弁者の国税庁次長は、前大阪国税局長

以下抜粋
○佐々木(憲)委員 次に、任意調査に行って、相手の同意を得ながらやる、そのとき、帳簿書類をちょっと貸してくださいと言って税務署が持ち帰る場合があるわけです。これは当然、同意がなきゃ持って帰れないと思うんですが、そのとおりでよろしいですね。

○五十嵐副大臣 御指摘のとおりでございます。

○佐々木(憲)委員 そのときに、その帳簿を今持っていかれたらきょうの商売ができないからちょっと待ってくれと断るということはできますか。

○五十嵐副大臣 強制的に行使することはできません。あくまでも納税者の承諾のもとで行われるということになります。

○佐々木(憲)委員 ところが、項目に罰則というのがあって、同意を前提として、帳簿をちょっと貸してくれ、これが同意を前提としたやり方ですけれども、そのときに何か罰則があるというんですけれども、何のためにこんなものをつけたんですか。

○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
現行の運用上、帳簿の書類その他の物件の提示、提出については、調査の過程で多くの納税者の協力を得て実施してきているところでございますけれども、条文上不明確だとして一部の納税者の方々から協力が得られないケースもあり、課税の公平上の問題もあったところであります。
こうしたところも踏まえまして、今般、調査の事前通知が法律上明確化されることとあわせて、税務当局が物件の提示、提出を求めることができることについても法律上明確化されるものと承知しております。
今回の見直しによりまして、正当な理由がなく提示、提出に応じない場合には罰則の適用があり得ることとされておりますけれども、この罰則をもって強権的に提示、提出要求をすることは考えておりません。あくまでも、納税者の方々の御理解、御協力が得られるように努めまして、その承諾のもとに行うという従来の運用を変更することは考えておりません。

○佐々木(憲)委員 だったら罰則は要らないじゃないですか、こんなもの。
罰則というのは、どういうときに発動されるんですか。

○古谷政府参考人 新しく設けました条文では、正当な理由がなくこれに応じない場合に罰則が発動されることがあり得るということでございます。

○佐々木(憲)委員 だから、正当な理由がなくというのは、例えばどんなことですか。税務署がそれを判断するんですか。あなた、帳簿を貸してくれと言って、いや、ちょっと困るよと言って、正当な理由がなくあなたは言ったから持って帰るんだ、それを拒否したら罰則だぞ、こういう話になるんですか。そんな勝手な税務署の判断で、罰則つきで、帳簿も持っていくというようなことはおかしいんじゃないですか。
大臣、こんな罰則は外しなさいよ。相手の同意を得て初めて成り立つんですよ、この調査なんというのは。先ほどもあったように、都合が悪ければ拒否もできると言っているわけですね。だったら罰則なんて要らないんですよ。これは外してください。

○安住国務大臣 これを外すのはなかなか難しいとは思うんですね。ただ、正当な理由がなく提示、提出に応じない場合の正当な理由がもう少しわかりやすくあればいいんだとは思いますけれども。逆に、正当な理由がない場合には罰則の適用があり得るとされていますけれども、しかし、この罰則をもって、先ほども国税庁の次長が報告していましたけれども、強権的に行使することは考えていませんということになっているんですね。
ですから、できれば、先生が言うように外せというのはなかなか、はい、そうですとは言えないんですけれども、正当な理由については、比較的何かわかりやすい説明をきちっとできるようにはしたいと思います。

○佐々木(憲)委員 罰則なんというのはよっぽどのことがないと、こんなものを任意調査で入れるなんということ自体が私はおかしいと思っているんですよ。
それから、提出した帳簿を税務署にとめ置くことができる、こうなっているんですね。とめ置くということはどういうことですか。本人が、これはちょっと、営業上、税務署に置いたままだと困るんだ、返してもらいたいと言ったら、すぐ返しますか。

○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
物品の預かり、とめ置きにつきましては、これまでも税務調査におきまして運用上行われてまいりましたけれども、今般、手続の明確化を図る観点から法定化されると承知しております。
現行の運用におきましても、とめ置いた物件については、とめ置く必要がなくなったときには遅滞なくこれを返還しているところでありまして、御指摘のように、納税者からの返還の求めがあった場合にも、特段の支障がない限り返還することとしております。法定化後においても同様の運用になるものと考えております。

○佐々木(憲)委員 何かちょっと、若干あいまいなんですけれども。
特段の支障がない限り、それは一体何なんですか。帳簿を返してくれといったら、例えばコピーしてすぐ返せば済む話でしょう。返してくれといったら、返しますというのが当たり前じゃないんですか。

○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどの特段の事情につきましては、まさに個別事案に応じて適切に判断しておるところでございますけれども、御指摘のように、コピーをとるなどして、できる限り納税者の方に早期に返すよう努めておるところでございます。

○佐々木(憲)委員 では、返してくれといったらすぐ返す、こういうことでよろしいですね。確認をちゃんとしておきたいと思います。

○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども申し上げましたとおり、個別事案に基づいて適切に判断させていただきますけれども、納税者の返還の求めがあったときには、できる限り、コピーをとるなど、そういう方法を講じてお返ししたいと思っております。
資料3 関連条文

改正国税通則法
第74条の2第1項(当該職員の所得税法等に関する調査に係る質問検査権) 国税庁、国税局若しくは税務署(以下「国税庁等」という。)又は税関の当該職員(税関の当該職員にあっては、消費税に関する調査を行う場合に限る。)は、所得税、法人税又は消費に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件(税関の当該職員が行う調査にあっては、課税貨物(消費税法第2条第1項第11号(定義)に規定する課税貨物をいう。第4号イにおいて同じ。)又はその帳簿書類その他の物件とする。)を検査し、又は当該物件(その写しを含む。次条から第74条の6(当該職員の質問検査権)において同じ。)の提示若しくは提出をもとめることができる。

第74条の7(提出物件の留置き) 国税庁等又は税関の当該職員は、国税の調査について必要があるときは、当該調査において提出された物件を留め置くことができる。

第127条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

三 第74条の2から第74条の6までの規定による物件の提示又は提出の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)を提示し、若しくは提出した者

改正前所得税法
第234条1項(当該職員の質問検査権) 
国税庁、国税局又は税務署の当該職員は、所得税に関する調査について必要があるときは、次に掲げる者に質問し、又はその者の事業に関する帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。次条第二項及び第二百四十二条第十号(罰則)において同じ。)その他の物件を検査することができる。

第242条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。ただし、第3号の規定に該当する者が同号に規定する所得税について第240条(源泉徴収に係る所得税を納付しない罪)の規定に該当するに至つたときは、同条の例による。

九 第234条第1項(当該職員の質問検査権)の規定による当該職員の質問に対して答弁せず若しくは偽りの答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ若しくは忌避した者

十 前号の検査に関し偽りの記載又は記録をした帳簿書類を提示した者

1 ネット上での経過の遡りと条文確認箇所財務省のサイト→ 財務省の基本情報→第179回国会における財務省関連法律→平成23年10月28日提出 経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律案成立日:平成23年11月30日公布日:平成23年12月2日施行日:平成23年12月2日(別段の定めがあるものを除く)→法律案要綱に概要→新旧対照表p 118からp136が国税通則法関係 経過措置は、p367からP370附則106条

p431 ( 二度目の分離成立)

→第177回国会 平成23年6月10日提出 成立日:平成23年6月22日 公布日:平成23年6月30日施行日:平成23年6月30日(別段の定めがあるものを除く) 現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律(一度目の分離成立)

→平成23年1月25日提出 所得税法等の一部を改正する法律案
  改正項目 施行
1. 質問検査権 平成25年1月1日調査より 附則39
2. 更正の請求期間質問検査権  平成23年12月2日 申告期限到来分より更正の請求期間延長 附則37
3. 理由附記等質問検査権 平成25年1月1日 ただし、個人の白色申告者は記帳の程度により26年1月1日以後 記帳義務化とあわせて実施する附則41
4. 納税者権利憲章 附則106条で先送り

2 2011年4月22日 衆議院 財務金融委員会 山本幸三議員質問
3 第15条 (納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定)
 国税を納付する義務(源泉徴収による国税については、これを徴収して国に納付する義務。以下「納税義務」という。) が成立する場合には、その成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税を除き、国税に関する法律の定める手続により、その国税についての納付すべき税額が確定されるものとする。
4 間接国税の範囲は、国税犯則取締法施行規則第1条 酒税など。過怠税への移行は昭和42年改正
印紙税基本通達44 作成等の意義
5 刑事手続における押収の1方法。任意提出された物又は被告人等が遺留した物について行う〔刑訴101・221〕。占有取得に強制は伴わないが、いったん領置された物は,留置の必要がある限り、提出者や所有者の意思に反しても占有が続けられる。裁判所はもとより捜査機関もでき,令状は必要としない。実務上,公判期日に証拠調べが終わった後に当事者から提出された証拠物〔刑訴310参照〕についても,裁判所の領置決定がされている。
(有斐閣 法律学小辞典第3版より)
(うらかみ・たつし)
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