論文

> 危険な普天間基地は即時撤去を!
> 沖縄の米軍基地と普天間移設問題
【特集  沖縄・米軍基地問題】
米海兵隊普天間基地の即時返還を求めて
沖縄会  前川  敏充  

はじめに

3月1日、沖縄の地元新聞に「思いやり予算」についての投稿(鈴木多美子ワシントンDC通信員)で、沖縄に海兵隊として駐留していた友人に米軍駐留経費の7割を日本側が負担している事を話すと「とんでもない。そんな事聞いた事がない。地代もアメリカが負担している」ときっぱり言われたとの事。またある兵士の「住居費は米軍が払ってくれている」とのコメントがネットにあったとして、更に在日米兵の地元民に対する傍若無人な振る舞いは、「おれたちアメリカ人は、日本国民のために金を使い、命を懸けて守ってあげている。ちょっと悪さしただけで文句言うな」的心理が働いているのでは、と述べている。

10年度の予算案を見ると、軍事費(防衛関連予算)は4兆7,903億円で、再編費が激増、米軍再編経費が1,320億円と(前年度額に481億円増)増加したことが主な理由で、岩国市愛宕山地域を「米軍再編関連施設用地」として買い取り、米軍住宅の建設経費199億円が初めて計上された事によるようである。又、SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会・05年10月29日日米合意)関係費用で、米軍への「思いやり予算」1,881億円となっている。

09年8月5日付の琉球新報は、2日付の米軍準機関紙「星条旗」が報じた、基地内3,745棟のうち、3,241棟の既存住宅を今後16年かけて、建て替えるもので総額26億ドル(約2,470億円)の経費は、日本政府の「思いやり予算」で賄われる予定だと報じている。
同紙によると、現在兵員と家族合わせて4万8490人が沖縄にいるが、基地外の4千棟に1万1,900人が住んでいる。残りは県内八つの米軍施設内にある兵舎や8,344棟の家族住宅に分散している。

旧防衛施設庁は、家族住宅の提供を始めた1979年から2006年までの27年間で2,936戸を整備し、「思いやり予算」から拠出した経費は累計で1,197億円に上ることを明らかにしている。
在沖米軍は09年8月1日から、家族帯同者には基地内での居住を義務付けており、反面、外人向の貸住宅業者は借手の減少で悲鳴を上げている。国内向けに家賃を半滅しても借手が少なく困っている。
多発する米軍関係者の交通関連の事件事故

2009年に6件、今年は3月だけで既に6件起こっている。読谷ひき逃げ裁判(09年11月1日午前5時50分ごろ事件発生)では、道路左端を歩行していた外間政和をはねたが、救護や警察署に事故の発生を通告せず、死亡させたとされる事件で、在沖米陸軍トリイ通信施設の特殊部隊グリーンベレー所属2等軍曹クライド・アンドリュー・ガン被告は法廷で「(真っ暗な現場道路では)歩く人が事故を避けるべきと信じている」と指摘し、運転手と歩行者のどちらに落ち度があるかを争点化し、無罪を主張、法廷では黙秘、日本国で運転している事を認織していない。

名護米軍車両ひき逃げ事件(10年3月16日)は、米海軍第1工兵大隊分遺隊に所属する3等兵曹の女で、事件は名護市辺野古で起きた。目撃者によると「ブレーキ音は聞こえなかった。米軍車両は事故直前から速い速度だったが、事故後はそれ以上の速度で逃げていった」。駆けつけて見ると軽自動車は大破、2歳の男児は車外で見つかり、頭から血を流し父親が抱えてあやしていた。後部座席の男子小学生(10歳)は車内で泣きながらも弟のけがを気遺っていた。

この事件では、米海兵隊憲兵隊による基地外逮捕(金武町の路上で)と警察権の行使と県警がなぜ押収(無断持ち出しの米軍四輪駆動車)出来ないのかと問題にされている。
2件の事件もそうだが、米軍犯罪が起こり続けている日米地位協定の改定、日本の法律で裁く運動に立ち上がる時期だと思う。

米軍関係の事件事故補償で、日本政府が「見舞金」として支払った額は、1972年から2008年度までの合計で、沖縄では24件、2億3,300万円。本土では27件、1億4,900万円になる。(09年5月26日参議院外交防衛委員会で防衛省の井上源三地方協力局長が井上哲士(共産)に答弁より)
普天間移設問題

09年のモズクの年間生産量は約1万トンで勝連漁業協同組合の漁獲量は3,990トンと県内17漁業協同組合でトップの出荷量を誇っている。

10年3月2日琉球新報連載記事「第5部バイヲの芽吹き 風をつかめ一沖縄新ビジネス◇25◆」で、褐色に見えるモズクには、バラのようにきれいな結晶を作る赤い色素「フコキサンチン」が含まれている。フコキサンチンは肥満などの成人病改善や成人T細胞白血病の予防に効果がある。含有量を約4倍に高める栽培法も確立、カプセル等の製品化が可能になった。
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突然、その海を埋め立てて普天間飛行場の代替地にすることを本格的に検討に着手したようだ。(10年3月5日琉球新報記事。複数の日米外交筋が4日明らかにした。)
1005014.jpg 検討案はキャンプ・シュワブ陸上にヘリコプター離着陸帯(ヘリパット)か、1,500メートル超の滑走路を造る案を軸に調整(平野博文官房長官、北沢俊美防衛相が2日、ルース駐日米大使に「現行計画は困難な情勢になった」

と伝えた際、ルース氏は「現行計画の修正で対応できないか」に応諾した?)。これに、ホワイトビーチと津堅島の間を埋め立て造成する案である。

10年2月24日沖縄県議会は「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、国外・県外移設を求める意見書」を全会一致で可決し、首相、外相、防衛相、沖縄担当相、官房長官あて要請した。(「県外・国外移設要求意見書全文」参照)
移設先探しでは解決しない

普天間返還は95年9月少女暴行事件後の反基地世論の高まりの中「10.21県民総決起大会」の成功で、96年4月日米両政府が普天間飛行場返還で合意したものである。

ところで、政府は、同年12月SACO 最終報告で沖縄海岸沖への海上基地建設で合意。97年12月名護市民投票で海上ヘリ基地反対票が過半数獲得。以後13年余の戦いがある。
09年8月自公政権が大敗北、沖縄で四つの選挙区で県内移設反対を掲げた、民主色が第1党になり、多くの国民は、沖縄県民の願いが叶うものと、湧きあがった。

ゲーツ国防長官は09年10月に「11月にオバマ大統領が来るまでに整備しないと日米関係が悪化する。民主党は普天間をどうするのですか」とおどし、10年3月29日岡田克也外相との会談で「在沖米海兵隊は日米同盟にとって極めて重要だ。駐留が運用や政治的に安定した形で続けられるよう日本政府の協力に期待する」と述べているが、在沖海兵隊の度重なる事件事故、兵土の犯罪で県民の人権や平穏な暮らしを脅かし日米関係を損ねている事は不問に出来ない。在沖海兵隊がベトナム戦争の攻撃・侵略基地として使われ、イラク・アフガニスタン型の先制攻撃戦争を効果的に行う基地として使用されている事を、平和憲法の下にいる私達は、世界に恥ずべきことだと思う。

政府は3月の沖縄県知事との会談で普天間移設について「沖縄の負担を全国で分かち合う」「日米関係を大切にしていく」「安全保障としての抑止力を見失わない」と述べているが、国民(県民)を守る気がない。現在徳之島への移転が3番目の案として検討されている。3月28日、徳之鳥で反対集会(4,200人)が持たれた、島の3町と鹿児島県の議会が県内移設に反対する決議を行っている。

この様に米軍基地を受け入れる処はない。沖縄は望んでいない基地を受け入れなさいと言わない。

政府は米国に従属するのではなく、国民主権の立場に立つべく、即返還を交渉すべきである。
機能を縮小して継続使用も検討しているが、絶対許さない。

(まえかわ・としみつ)

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