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輸出免税と消費税法政省令・基本通達の定め |
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消費税法第7条第1項第1号において、「事業者が本邦からの輸出として行なわれる資産の譲渡等」は、消費税を免除するとしている。首都圏チームが101頁で触れている「V消費税の陰(ゼロ税率問題)」である。大企業にとっては「戻し税」であるが、中小零細企業にとっては消費税法、消費税法施行令、同施行規則および消費税基本通達だけの遵守だけでは、輸出戻し税が行なわれないという現状がある。
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消費税法第7条第2項において、「前項の規定は財務省令で定めるところにより証明がされたものに限る」とされ、消費税法施行規則第5条は第1項第1号において「税関長から交付された輸出許可証を7年間事務所等に保存することにより、証明がなされたものとする」と規定している。
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消費税法基本通達は第二節輸出証明書等7-2-23(輸出証明書等)において、で触れた輸出証明書等について、イ「輸出許可書」と明記されている。
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輸出免税を受けるための手続は、消費税法の法令や基本通達の規定は上記に掲げたれたもののみである。 |
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(2) |
「Q&A」が実務を支配 |
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中小零細企業においては、商社等に依頼して輸出取引が行なわれる場合がある。その場合輸出申告書の名義人である商社等が、単に名義貸しが行なっている場合は輸出名義人は商社等になるが、輸出許可書は実際の輸出者が保管しているので、「両者とも消費税法第7条の輸出免税は受けることができない」と「Q&A」(平成10年国税庁消費税Q&A)は断定的に述べている。輸出許可書が真の輸出者が保管していれば、消費税法施行規則第5条に該当するのであるから、「Q&A」においてこのような課税要件(免税要件)を定めることは、課税要件法定主義から見て許されない。
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さらに法令や通達に一切規定されていない「消費税輸出免税不適用連絡一覧表(写)」を実質輸出者において作成し、輸出代行者である商社等に交付し、商社等は確定申告時に所轄税務署長に、当該連絡表を提出することによって、初めて輸出免税が実質輸出者に適用されるとしている。消費税法第7条第2項の「前項の規定は財務省令で定められたところにより証明がなされたものでない場合には適用しない」の法本文が、「Q&A」のような手続規定でないことは明らかである。
然るに課税庁は実地調査において当該輸出取引について「Q&A」に従っていないから輸出免税は適用しないと課税を強行している。さらに法令や通達に一切規定されていない「消費税輸出免税不適用連絡一覧表(写)」を実質輸出者において作成し、輸出代行者である商社等に交付し、商社等は確定申告時に所轄税務署長に、当該連絡表を提出することによって、初めて輸出免税が実質輸出者に適用されるとしている。消費税法第7条第2項の「前項の規定は財務省令で定められたところにより証明がなされたものでない場合には適用しない」の法本文が、「Q&A」のような手続規定でないことは明らかである。
然るに課税庁は実地調査において当該輸出取引について「Q&A」に従っていないから輸出免税は適用しないと課税を強行している。
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2006年度法人税改正により新設された、法人税法第34条、第35条について、税務署審理官は税理士に説明会で「Q&A」に従って、処理してくださいと説明していることと同じで、「課税要件法定主義」に対する重大な違反としか思えない。「憲法と消費税」に関しては、以上のような福家教授が指摘する課税要件の過度な政令委任や、通達でもなく「Q&A」が実質課税要件としてまかり通っている現状の分析と批判が重要であることを強調したい。 |
(とみた・いつお 名古屋会) |