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時潮
> 税制改革の方向性と課題を論ず

住民税通知書に個人番号は不記載へ
東京会 佐伯 和雅
平成30年税制改正大綱が12月14日発表されました。個人所得課税項目の最後(45頁)に次のような記載がありました。

「給与所得に係る特別徴収税額通知(特別徴収義務者用)については、当該通知に記載すべき事項を電子情報処理組織(eLTAX)を使用する方法又は光ディスクなどに記録する方法により提供する場合には、マイナンバーの記載を行い、書面により送付する場合には、当面、マイナンバーの記載を行わないようにする。

(注)上記の改正は、平成30年分以後の個人住民税について適用する。」したがって、地方税法施行規則は改正されることになります。

私が東京税理士会理事会傍聴にて得られた情報を新報に掲載したことをきっかけに、多くの新人会会員をはじめ、個人番号の流出に危険を感じた各団体がこの一年間運動した成果だといえます。当初は無駄な運動だと思った方もいるでしょうが、大きく物事を動かすには私のような運動の素人が思い付きから取った行動も必要で、経験や知識が邪魔になることもあるのだと感じました。この運動を発展させてもらったことは、大変ありがたく思います。

ところで、上記改正案を読むと、今後の個人番号記載の復活を完全に諦めたということは言えません。まず、あれほど総務省が個人番号の記載を強要していたのに、なぜ記載をしないこととしたのか、その理由については回答を求めていく必要があります。また、通知書から個人番号欄を削除させることも求めなければなりません。

次に、個人番号流出の危険性を知りながら、個人番号を記載した自治体に対しては猛省を促すとともに、将来個人番号が流出した場合の責任については、未来に向かって延々と生ずることを周知させておかなければなりません。その反面、総務省の圧力に屈せず、個人番号を不記載あるいは一部不記載とし、住民の個人番号を保護した自治体担当者の良識ある行為はファインプレーであり、称賛に値します。

この成果は、国民管理目的でしかない個人番号制度を形骸化させる一里塚となります。しかし、引き続き個人番号制度が国民に不要であることは訴え続けていかなければなりません。

(さえき・かずまさ)

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