> 書籍紹介 『税が拡げる格差と貧困』
特別会計の問題点と財政投融資特別会計の概要
神戸会 國岡 清
1 なぜ減らない特別会計・勘定!
(1)特別会計の問題点
財政法(1947年)第13条2項では、「
国が特定の事業を行う場合、
特定の資金を保有して運用を行う場合、
特定の歳入をもって特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、法律をもって特別会計を設置する」と規定している。1947(昭22)年度末の25特別会計が1967(昭42)年度末の45特別会計をピークにして新たな特別会計の設置が抑制されたが、特別会計数は減らず2002(平14)年度末で37の特別会計が残っていた。こうした中、2003年2月25日の衆議院財務金融委員会において、当時の塩川財務大臣が「母屋でおかゆ食って、辛抱しようとけちけち節約しておるのに、離れ座敷で子供がすき焼き食っておる」(第156回国会会議録6号15頁)という有名な国会答弁をして、特別会計改革の必要性に言及した。
これを受けた特別会計の歳出の中身や運営に関する財政制度等審議会(財政審)の提言「特別会計の見直し」(2003年11月)において、「
予算の議論が一般会計中心で特別会計では歳出合理化が図られておらず、固有の財源によって不要不急の事業が自己増殖的に展開されている。
国の緊要な課題に対応すべく設置された特別会計が、時代が変遷する中でかえって硬直的で過大な資源配分を行っている。
恒常的な不用・繰越金や多額の剰余金が放置されている特別会計がみられ、財政資金全体の効率的運用が図られていない。
一般会計からの繰入れ等により事業収支の受益・負担関係が不明確となっている。
特別会計が各省庁の既得権益の温床となっており、人件費や事務費等の計上が整理されておらず、予算執行の実態も分かりにくい」と特別会計の問題点を指摘した。これらの指摘は現在でもあてはまり、特別会計を牛耳っている官僚体質が変わっていないことがわかる。
(2)特別会計見直しに抵抗する官僚体制
2005年8月の「郵政解散」に伴う総選挙において、各党が選挙公約で特別会計改革を打ち出した。選挙後の11月財政審が「制度の再点検と改革の方向性」を公表して具体的な方向性を示した。報告では特別会計について、「
国として行う必要性がない場合には独立行政法人化又は民営化、
特別会計として区分経理する必要性がない場合には一般会計への統合、
現行の区分経理が妥当でない場合には他の類似の特別会計との統合、を行うべき」とし、さらに「特定財源の一般財源化や剰余金・積立金の一般会計への繰入れ等についても検討すべき」と当時の特別会計見直しを提起した。この動きに併せ、政府も特別会計改革を行政改革の柱として、「行政改革の重要方針」を12月に閣議決定した。
2007年度に厚生保険と国民年金が年金に、食糧管理と農業経営基盤強化措置を廃止して食料安定供給に、電源開発促進対策と石油及びエネルギー需給構造高度化対策を統合してエネルギー対策に整理された。
(注)各特別会計内に勘定がない場合は、特別会計=勘定数1と数えている。
翌2008年度には財政融資資金と産業投資を統合して財政投融資に、道路整備・治水・港湾整備・空港整備・都市開発資金融通の5つを統合して社会資本整備事業に、自動車損害賠償保障事業と自動車検査登録を統合して自動車安全にされ、この2年度で10特別会計が縮減され、21の特別会計が残った。2009年の政権交代後「事業仕分け」が実施され、すべての特別会計が対象とされた。2011年度までに17特別会計に削減されたが、2012年度に東日本大震災復興特別会計が設置され、2015年度末で14会計と34勘定を数えている。
個々の特別会計とその所管は次のとおりである。
交付税及び譲与税配付金特会(内閣府、総務省、財務省)
地震再保険特会(財務省)
国債整理基金特会(財務省)
外国為替資金特会(財務省)
財政投融資特会3勘定(財務省、国交省)
エネルギー対策特会3勘定(内閣府、文科省、経産省、環境省)
労働保険特会3勘定(厚労省)
年金特会6勘定(厚労省)
食料安定供給特会7勘定(農水省)
国有林野事業債務管理特会(農水省)
貿易再保険特会(経産省)
特許特会(経産省)
自動車安全特会4勘定(国交省)
東日本大震災復興特会(2020年末迄の時限措置)
各省庁にとって、特別会計という別の財布があれば、一般会計予算の締め付けが厳しくなっても人件費や備品購入費、施設費、旅費といった諸経費を移し替えて、特別会計から支出することができる別ルートを持つことになる。したがって、各省庁は、事実上財務省の監視が及ばない聖域を確保しており、所管する特殊法人や財団法人、独立行政法人といった天下り先に気前よく出資金や運営費を出すことができるのである。このように、一旦特別会計に入ったお金は所管する省庁の思うままになるので、特別会計の縮小・廃止には頑強に抵抗する。たとえ、特別会計を廃止しても他の特別会計の中に実質的に独立した会計とも言うべき「勘定」として延命させる。「勘定」は特別会計中の特別会計である。
(3)2016年度の一般会計歳出総額96.7兆円はよく報じられているが、もう一つ別勘定の特別会計の予算規模は余り報じられていない。財務省資料によれば特別会計の歳出総額は403.9兆円で一般会計の約4倍超の規模になる。これだけでは予算の真の姿が捉えにくい。
一般会計から特別会計への繰入れが53.6兆円あり、特別会計の総額403.9兆円には会計間と勘定間のやりとり93.3兆円、国債の借換え109.1兆円という二重計算を排除すれば特別会計の歳出純計額は201.5兆円になる。これらを加減算すると2016年度の一般会計と特別会計の合計歳出純計額は244.6兆円(96.7- 53.6+ 403.9- 93.3- 109.1)となる。
その他5.7兆円の内訳は人件費・事務費等・雇用安定事業等などの保険事業が2.2兆円、石油備蓄・再生エネ技術開発・省エネ設備導入支援等などのエネルギー対策費が1.2兆円、米麦買入れ等の食料安定供給1兆円、外為・財投・空港等1.3兆円である。
純計額の推移から見れば、わが国の財政上国債償還費問題が高い比重を占めている。加えて超高齢化社会、少子化が進行する中、社会保障給付費問題が国債償還費問題を追って急速に増えていることがわかる。固定化しつつある財政構造を抜本的に見直す議論が急がれる。とりわけ、資金特別会計といわれる外為特会の120兆円の国債残高、財投特会の100兆円の国債残高(表2
)を抱えている2つの特別会計は他の特別会計よりもズバ抜けて大きい。豊富な資金力で行政権力を支配している財務官僚体制を早急に見直すべきである。
遺書とも言える故石井衆議院議員の「日本が自滅する日」(PHP 研究所2002年1月発行)から長くなるが引用する。「官制経済体制の下では基本的に経済は権力に従属するため、本来の経済(=市場)は失われる」「利権を本質とする官制経済体制を形成する要素は次の4つである。第一に行政が「公共事業」および「経済振興」を展開する政策、第二に開発法、振興法、整備法、事業法、政省令、規則、許認可等からなる法制度、第三に補助金、特別会計、財政投融資計画で構成される財政制度、そして第四に特殊法人、公益法人、許可法人など官の企業群を擁する行政組織だ。以上の政策、法律、会計、組織の四本柱はすべて各省庁の縄張り(所管)となり、それぞれに連なる政治家があり、政治的「力関係」(政治力)によって機能するのである。これがまぎれもないわが国官制経済のトータルシステムなのである」と述べている。石井議員は2002年10月国会質問を前に自宅前で暗殺され、持っていたカバンから国会質問資料と衆議院議員手帳が奪われている。後日受刑者が「頼まれた」「デタラメを言ったのは依頼した人の顔を潰すことになるから」と面会で証言している。捜査を担当したのが警視庁捜査1課ではなく公安部であり、真相が闇のまま封印されている。東京地検公安部の責任も大きい。
2 150兆円超の資金を動かす財政投融資特別会計
(以下、財投特会と略す)
財投特会は、財政融資資金の運用並びに産業開発及び貿易振興のため国の財政資金をもって行う投資に関する経理を明確にするために設置された。行政改革推進法を踏まえた特別会計法では、2008(平20)年度から産業投資特別会計産業投資勘定が財政融資資金特別会計に移管され、名称を財投特会として、その中で財政融資資金勘定(以下、
融資勘定
)と
投資勘定
に区分された。また、特定国有財産整備特別会計が2009(平21)年度末で廃止されたことから同年度末までに事業が完了していない事業の経理を行うために、2010(平22)年度からその事業が完了する2024(平36)年度まで経過措置として特定国有財産整備勘定(以下、
国有勘定
)が設けられ(財務官僚の抵抗による)、その事業完了後の残余財産は一般会計に承継される。以下、区分された3勘定について述べる。
(1)融資勘定
は財投特会が新たな債券(正式には「財投特会国債」と表記、略称「財投債」)を発行(表2
)して市場から集めた低金利資金と他の特別会計の積立金等を預託金(表2
)として受け入れ、統合管理した資金を国が行う投融資事業である政府系金融機関や独立行政法人、地方自治体などに長期・低金利で貸し付ける(表2
)。通常予算における補助金や交付金と違い、融資資金は利息をつけて返済してもらうのが特徴である。「いわば大型の貸金業みたいな所」と元与謝野財務相が国会答弁し、「国営銀行」とも呼ばれている。
ちなみに特殊法人(帝都高速度交通営団)を承継した東京地下鉄株式会社(愛称東京メトロ)は2004年4月に設立された特殊会社であるが、東京メトロの株主は日本政府と東京都であり、現在もこの融資勘定の貸付先である。2008(平20)3月末における融資勘定からの借入残高は2089億円(2014年度末残高は半減)である。長期・低金利の融資を受けていることもあり、他の都市交通よりも格段に安い料金体系である。全国の他の都市交通は融資勘定との取引ができていない。
融資勘定の主な収支は財投債発行による借入金収入と資金貸付けによる運用収入で、支出は財投債の返済である。受け取る利回りと公債利息の支払差額が剰余金になる。2001年度の財投改革以前の資金運用部資金(現在の財政融資資金)は郵便貯金・年金積立金からの預託金が原資の大部分を占めていたが、財投改革により義務的な預託制度が廃止されたことで郵貯・年金との制度的つながりが解消された。しかし、現在の財投債発行による資金調達が主な手段とはいえ、財投債を購入しているのが年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)であり、(株)ゆうちょ銀行であるから、資金を迂回させただけで実質的に財投改革前と何ら変わらない構図である。国の信用に基づき最も有利な条件で資金調達し、その調達資金を長期・固定・低利で資金供給しているので表1のとおり、毎年度多額の剰余金を計上している。2007年度末の積立金残高が19兆7千億円余りあり、財政融資資金残高が200兆円を超えていた。異常に多額な資金残高に配慮したのか、翌2008年度は一般会計への繰入にとどまらず、国債整理基金特会に7兆円余りを疎開して資金残高を意図的に減らしている(表1の下段、各年度の繰入額と資金残高の推移を参照)。
財投改革以前の預託金利は、10年利付国債の表面利率を基準に金利設定され、1961年以降特別利子が上積み(0.05〜 2.5%)されていたため、預託金利の水準はほぼ恒常的に市場金利を上回るものとなっていた。この結果、財投の貸付金利は、その分だけ割高となり各財投機関における調達コストが引き上がり、場合によっては各機関に対する一般会計からの補給金等が増加する要因にもなっていた。政府系金融機関への貸付金利の基準は、1980年代には0.5%から1%程度上回って利ざやを確保できていたが、1990年度の低金利時代には利ざやが消滅していたと言われている。
近年の預託金利は、預託期間が13年未満0.01%、13年以上14年未満0.04%、14年以上16年未満0.1%、16年以上18年未満0.2%、18年以上20年未満0.3%、20年以上28年未満0.4%、28年以上0.5%(2016年4月)である。逆に貸付金利は元金の年賦払い14年以内0.1%、半年賦払い20年以内0.1%などと設定されているので、預託期間が16年以上になると逆ざやが発生する。なお、2016年1月下旬のマイナス金利発表前の10年物国債利率は0.206〜 0.237%位で国債が発行されている。
(2)投資勘定
は、日本たばこ産業(株)(JT)、日本電信電話(株)(NTT)、(株)日本政策投資銀行、(株)産業革新機構などの株式配当金や(株)国際協力銀行(JBIC)の国庫納付金などを原資として、特殊法人・独立行政法人に対する出資金(保有株式)、政府系金融機関などに投融資している(表5
・
)。2015年3月末における出資累計額は4.9兆円だが、含み益を換算評価すると合計12.9兆円になる(表6
)。この内、NTT・JT・政投銀・JBIC の4社で10.4兆円(表6
〜
)が計上されている。表6の下段(
〜
)に示す5つの独立行政法人は政府の出資割合が高く2,606億円の含み損失を抱えている点は見逃せない。ムダな経費を費消してその赤字相当分を出資金の追加で穴埋めする隠蔽体質(実質赤字が累積している)を明らかにすべきである。財投特会から出資する意義を明確にして、所管官庁が厳しく財務内容を点検し、公開すべきである。
投資勘定の余裕金が融資勘定に預託(表4
)され、預託金利収入を稼いでいる。内部余剰資金を6150億円も預託するなら、さっさと財投債を償還して債務返済すべきである。同様に外為資金が8兆円も預託されている(同表
)が、預託をせずに外為特会の国債を償還して借入返済すべきである。また、表4の預託金明細に(株)日本政策金庫が2.5兆円(同表
)上げながら、表3の貸付金明細に15.1兆円計上されている(表3
)。まるで民間金融機関が貸付するけれど定期預金もしてくれと要求する歩積み両建て(禁止されている)と同じ姿である。金利差益を融資勘定に計上させるために行っているとしか理解できない行為である。
(3)国有勘定
は、前身の特別会計が2009年度末で廃止されたが、契約済みの国家公務員宿舎や官庁舎建設整備のPFI 事業(官民協同の公共事業)の割賦期間が2024年まで続くことを理由にして、官僚の強かさで国有勘定として残し、財投特会に統合された。不用となった財産を資産とし、建設事業の負債を引き継いで資産売却後に支払うという清算予定会計である。ちなみに2015年3月末時点でのPFI 事業の民間企業に対する未払金額は765億円(一般会計に引き渡した新施設整備費の未払額)が残っている。これに対し現金預金302億円と販売用不動産と仕掛品の棚卸資産で1,191億円の計上がある。但し、販売用不動産は引き継がれた旧施設の国有財産の台帳価格で739億円であるから時価評価して清算すれば多額ではないが差額が生じると思われる。
3 財投債(国債)は国の債務とみなされない国債
一般の国債(普通国債)と財投債の違いは「有償の公的資金」という部分である。財投債で調達された資金の供給を受けた財投機関は元金に利息を付けて返済するから、財投実施後は財投債残高にほぼ等しい額の債権、金融資産が国に計上されることになる。これに対して普通国債の場合も発行直後は同額の現金預金が国に入ってくるが、その調達資金はその年度の予算に計上された歳出項目の資金として使われ、債務に対応する資産が手元に残ることがない。この点が普通国債と財投債の決定的な違いである。
国際連合が定めた経済指標の統一基準に基づいた国民経済計算体系(SNA)上、財投債は一般政府の債務に分類されない。国際標準の概念区分に従う国民経済計算統計(GDP 統計)上も財投債は国の債務とみなされず、普通国債のみが国の債務として扱われている。また、「国及び地方の長期債務残高」にも財投債が含まれず、国際比較で用いられる政府債務残高や国債残高でも財投債残高は除かれている。「国及び地方の長期債務残高」とは、利払い・償還財源が主として税財源により賄われる長期債務残高を国・地方双方について集計したものと定義されているからである。財投特会が政府ではなく擬制的に「公的金融機関」に分類されている結果、そのような扱いになっているようである。このように取扱いが大きく異なるが、国債の市場では財投債も国債であり、国の責任において発行され償還されるという点では両者に何ら変わるところがない。
4 財投改革以後の財政投融資
(1)財投改革以前の不良債権を一般会計で処理した事例
返済見込みが立たないのに財投資金を際限なく投じて、長期債務の処理策を定めた法律が成立した1998(平10)年10月時点の旧国鉄債務総額約28兆円、財投からの貸付金残高が約15兆円あった。総額約28兆円の内、約24.2兆円を国が承継し、財投資金と民間からの借入金を合わせた有利子債務約16兆円について「国鉄清算事業団債務承継借換国債」という名の国債を発行して穴埋めした。
つまり、「一般会計に付け替え、見合いの国債を発行し、国民の将来の税負担とした」と当時の中川大蔵省理財局長が語っている。この結果、橋本内閣時代の1997(平9)年度末の国債残高258兆円が、小渕内閣の景気対策もあるが2000(平12)年度末で364兆円に達した。3年で100兆円以上も膨らんだことになる。中身は景気対策だけでなく、旧国鉄債務などの過去の不良債権も潜り込ませていたのである。
(2)財投改革以後、資金調達方法が変化したので資金規模が縮小し、財投機関は縮小均衡的な方向に向かわざるを得なかった。財政投融資額(当初計画ベース)は、1990年代半ばのピーク時に50兆円規模まで拡大したが、小泉内閣(2001年4月〜 06年9月)時代、資金入口としての郵便貯金業務の民営化、資金出口としての特殊法人等の再編や改革、民営化などが推進され、財投規模が急減した。2014年度の財投規模は約16兆円に縮小している。
(3)財投資金は特殊法人や認可法人への官僚天下りとつながる
中央官庁のキャリア組に「早期退職制」が実施されているから官僚の天下りが必要と言われているが、その法的な根拠はない。各省庁の事務方のトップである事務次官は同期でただ一人になり、他の同期の官僚は退官するのが慣例になっている。退官後の受け皿として特殊法人や認可法人への天下りポストが用意され、ポストによっては現役時代を上回る高給と待遇が保障される。民間であれば、定年で昇進できない管理職はスタッフ職になるか、関連会社に片道出向(待遇は落ちる)させられるのにである。1998年中に再就職した中央省庁の本省庁課長級以上の官僚OB375人のうち84人が特殊法人と認可法人に天下った(2003年3月6日付け東京新聞)と言われている。
特殊法人はピークの1967年に113あったが、度重なる整理合理化の結果、2000年4月時点で78に減っている(事業形態に応じて公団、事業団、公庫、金庫・特殊銀行、営団、特殊会社その他である)。特殊法人の統廃合は必ずしもスリム化を意味しない。「総裁が一人減っただけ」と揶揄された99年度の改革(日本輸出入銀行と海外経済協力基金を統合して国際協力銀行に)では組織を一緒にしただけで事業の合理化や効率化が図られなかった。
また、名目上の廃止はもっと多い。住宅・都市整備公団が99年、年金福祉事業団が2001年にそれぞれ廃止され、都市基盤整備公団と年金資金運用基金が事業を継承し、これらの職員も横滑りしている。認可法人は2000年6月時点で84あった(日本銀行、全国各地の信用保証協会、土地開発公社、地方住宅公社、地方道路公社、公務員共済組合など)。
特殊法人・独立行政法人・認可法人等に対して、財投資金が長期・固定・低金利の資金を供給して恩恵を与える関係から当然に見返りあるいは連携強化を狙って癒着する土壌が育つのである。この関係を断ち切る歯止め策と監視体制の構築が必要である。
(くにおか・きよし)
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