論文

>「マイナンバー制度の問題点と税理士業務への影響」に参加して
「共通番号(マイナンバー)制」の問題点を考える
大阪会佐飛 淳一
10月に「通知カード」が送られ、16年1月より「個人番号」の記載が具体化される。共通番号(マイナンバー)制は、多くの問題点をもつ制度であり、制度そのものも国民に十分理解されているとは言えない。

11桁の番号を国民一人一人に付番した「住民基本台帳ネットワークシステム」は02年より実施された。必要な人は「番号カード」を市町村の窓口に取りに行く仕組みであった為、その普及は5%と、惨憺たるものとなった。

今回は、すべての国民に「通知カード」を送りつける仕組みとした。個人番号の記載されたカードを無理やりに押し付ける方法をとったのである。

行政機関が個人番号を利用するにあたって、事業者にその収集・本人確認・提供などの仕事を押し付ける制度ともなっている。

個人としてどうするか、事業者としてどうするか。二つの視点でこの「共通番号(マイナンバー)制」を考える必要がある。

又、この制度は誰の為の制度か?何のための制度か?を、しっかりとつかむ必要がある。
1.「マイナンバー」という欺まん

「マイナンバー」なる法律用語は無い。「マイナンバー法」の正式名称は「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下「番号法」2015年3月制定)である。「私のための番号」ではない。

個人番号を介して、特定の個人とその人の情報を結び付け、行政機関相互で情報を収集、照合、通知、連携、蓄積、分析するのである。個人番号によって人を特定し、区別し、私たちの個人情報を行政機関で共有し、一定の行政目的の為に利用するのである。そのための個人番号の付番である。私たちの利便性ではなく、行政機関の利便性の為の制度と言える。宇賀克也東大教授は、この「番号法」について、「本法の核心は、個人番号の付番とそれをキーとした関係機関間の特定個人情報の共有」にあると指摘している(宇賀克也『番号法の逐条解説』有斐閣P 6。以下「解説」)。

全ての国民に対し重複の無い、一生変わることのない12桁の個人番号が付番される。この個人番号の「悉皆性」と「唯一無二性」によって、行政機関は私たちを「瞬時に識別可能」となる。

個別番号の利用範囲は、当面、税と社会保障の限られた分野と災害対策である。しかし、利用範囲については民間での利用も含めて拡大の方向性が示されている。戸籍・パスポート、預貯金・医療・介護・健診情報・金融機関や保険会社の情報・公的サービス・各種資格証明書類などと個人番号が結び付けられ、行政機関は私たちの個人情報を一元的に、一体的に把握することが可能となるのである。

個人番号制は、あらゆる情報につながる共通番号制となる。国民総背番号制の社会となり、国家による国民の監視・管理の社会体制となることは必至である。

個人番号を「マイナンバー」などと呼ぶことは大変な欺まんである。
2.個人番号の受忍義務は無い

「個人番号・住所・氏名・生年月日・性別」の記載された「通知カード」(紙製)が一人一人に送られる。「番号法」は「何人も、他人に対し個人番号の提供を求めてはならない」(第15条)と規定している。個人番号は大変重要な情報であり、他人には「見せない、言わない、書かない、聞かない」ことが大切である。「通知カード」は「実印」と同じと考えて大切に保管しておく。子供や高齢者には持たせない。「マイナンバー詐欺」に遭わない為にも。

「個人番号カード」(プラスチック製)は写真を付けて申請することで交付される。申請は任意である。表面に住所、氏名、生年月日、性別が記載され、写真が貼られる。裏面には個人番号が記載され、ICチップが付いている。ICチップは185Kバイトで、文字にして週刊誌1冊分が記録可能である。

「個人番号カード」の所有権は市町村にあり、私たちへの貸与となる。大人は10年、子供は5年が有効期限で、期限後は市町村へ返納することになる(その時ICチップに蓄積された情報はどうなるのか?)。

住所、氏名、性別は変わる可能性があり、転居などの時は「カード」についても変更手続きが必要である。紛失したときも届出する必要がある。手間が一つ増えることになる。「カード」が無くても、「個人番号付の住民票」を取ることで、自分の個人番号は分かる。「カード」は不要と言える。

「番号法」では、「国の責務(第4条)」「地方公共団体の責務(第5条)」「事業者の努力(第6条)」については規定しているが、国民の個人番号についての受忍義務や責務・努力などについては、何ら規定していない。個人番号の「受忍義務」や行政機関などへの個人番号の「提供義務」については、一切規定されていない。私たちは個人番号を受け入れる義務は無いのである。逆に個人番号を持たない、使わない、提供を拒否する権利があると考える。「マイナンバー制度」についての政府の問答集には、「提供を受けられない」「提供を拒否された」場合の取り扱いがある。いずれにおいても提供を強制できないこと、罰則などの不利益処分は受けないことが明らかである。

共通番号(マイナンバー)制度とは、国民一人一人に12桁の個人番号を押し付けて、行政機関がこの番号を利用して、私たちの税や社会保障の情報を管理する制度である。私たちには、個人番号の受忍義務は無いと考える。
3.「番号法」は「二重構造」である

「番号法」は第15条で「何人も、他人に対し個人番号の提供を求めてはならない」として、提供の制限を定めている。個人番号は他人に対し「見せない、言わない、書かない、聞かない」ことを大原則としている。

個人番号の記載された書類等を「特定個人情報」という。「番号法」第19条では「何人も特定個人情報の提供をしてはならない」(特定個人情報の提供の制限)、第20条では「何人も、特定個人情報を収集し、又は保管してはならない」(収集等の制限)と規定している。個人番号や特定個人情報については、原則誰も提供を求めたり、収集・保管したりはできないことと定めている。

例外として規定された行政機関のみが、一定の行政事務において、個人番号や特定個人情報が利用できるのである。事業者は、個人番号に関係する事務を行う。第9条は「(行政機関等は)事務処理に関して有する個人情報を効率的に検索し、及び管理するために必要な限度で個人番号を利用することができる」と規定している。あくまで「必要な限度」で「利用できる」のであり、行政機関は「利用」しなくてもよいのである。

行政機関は個人番号を利用するため、規則の変更を行った。税法については「通則法」「所得税法」も変更。税や社会保障にかかわる申告書・届出書・申請書などの様式を変更し、個人番号の記載欄を設け、記載の義務化としている。しかし、この「義務」は「行政機関が個人番号を利用するための義務」である。個人番号欄は、申告・届出・申請などの要件を充たす書類に、あくまでも「個人番号の利用」の為に付加されたものである。その記載が無くても申告書等の要件は充たされるものと考えられる。規則(省令)の変更による様式の追加変更である。それ故、政府の問答集でも、個人番号の記載が無くても「受理」するとしているのである。記載を強制したり、「記載がない」ことで罰則などの不利益処分をしたりはできない。記載するか否かは、国民の自由な判断に委ねられるのである。

行政機関は個人番号の記載が無くても、個人番号を調査することができる。個人番号の生成、通知を行うのが「地方公共団体情報システム機構」(以下「機構」又は「J・LIS」)である。行政機関は「機構」に照会することで個人番号の収集ができる。第14条2項では「(行政機関は)機構に対し機構保存の本人確認情報の提供を求めることができる」と規定している。

「番号法」では、行政機関は「個人番号」の収集は二通りの方法で行い得ることになる。

第一の方法は、税や社会保障の申告書等の「義務的書類」に記載を義務化。多くは規則の変更による様式の変更で。「利用のための義務」である為強制はできない。記載が無くても罰則は無く、申告書等は受理する。結果として、申告書等への個人番号の記載は本人の自由意志による行為とみなされる。

第二の方法は、行政機関は第14条に基づいて「機構」に個人番号の提供を求め、収集する方法である。しかし、この方法だけでは行政機関は勝手に個人番号を集めていると批判される可能性がある。それ故、国民の自由意志による個人番号の提供となる第一の方法を前面に出しているのである。このことで国は憲法違反では?との批判を逃れることができる。

行政機関による個人番号の収集は「二重構造」となっているのである。
4.事業者への過大な負担の押し付け

個人番号の記載を必要とする申告書等の多くは、事業者を通して行政機関に提出されることになる。個人番号の記載された申告書等の書類やそのコピーは「特定個人情報」となる。「特定個人情報」を取り扱う事業者は「個人番号関係事務実施者」となり、個人番号を利用する行政機関は「個人番号利用実務実施者」となる。そして、事業者と行政機関の両方を指すときは「個人番号利用事務等実施者」となる。

(1)「事業者の努力」の要求

事業者は行政機関による個人番号の利用に対して協力することになる。第6条は「(行政機関の)個人番号の利用に関して実施する施策に協力するよう努めるものとする」として「事業者の努力」を要求している。「努力義務」とは規定していないし、努力不足に対する罰則の規定もない。「努力」の強制でもない。事業者の自主的判断による自主的努力と考えて良い。

具体的には何をするのか?個人番号の必要とされる申告書等を取り扱うとき、事業者は従業員に対して個人番号の記載を求めることになる。第14条は「個人番号利用事務等実施者は、必要があるときは、本人に対して個人番号を求めることができる」として、事業者による個人番号の提供の要求を可能としている。「必要があるとき」に「求めることができる」のであり、当然、従業員に対しては必要性の具体的事由を説明することになる。しかも、提供の強制はできない。事業者からの提供の求めに対して「本人」は「提供の義務」はない。

事業者は、必要が無ければ個人番号の提供を求めてはならない(第16条)。提供しない従業員に対し不利益を与えてはならない。

事業者は、従業員より個人番号の提供を受けた場合、本人確認の義務がある。記載間違いやなりすましの可能性があるとの疑いからである。本人確認とは、個人番号が正しいか否かの「番号確認」と本人自身であるか否かの「身元確認」である。行政機関は、事業者に本人確認をさせたうえで、正確な特定個人情報の提供を受けることになる。

確定申告などで、直接本人が申告書等を提出する場合はどうなるか。個人番号の記載された申告書は特定個人情報となる。税務署は申告書の受理に際して「本人確認」をしなければならない。取扱い区域も、通常の受付業務区域とは区分しなければならない。「番号確認」と「身元確認」のできる書類等がなければ申告者は受理できないことになる。家族が提出に来た場合は、納税者本人からの委任状と家族の身元確認と本人の番号確認が必要となる。受付業務は大混乱となることは必至である。納税者の利便性など全く無いと言える。

(2)「安全管理措置」の義務

個人番号の記載された書類等は「特定個人情報」となる。事業者は「特定個人情報」を取り扱う場合には「個人番号関係事務実施者」となる。第12条はその責務として「個人番号の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人番号の適切な管理の為に必要な措置を講じなければならない」と規定している。その為に「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」が定められている。事業者はこの「ガイドライン」に則った「安全管理措置」を講ずることが義務付けられる。安全管理措置は、一般事業者と従業員100人以下の中小規模事業者とで少し異なる。中小規模事業者については簡略化されている部分もある。中小規模事業者における安全管理措置をみてみる。

1 基本方針の策定(策定は任意)
2 取扱い規定の策定(策定は任意)
策定は任意であるが趣旨に則った実務的具体化は義務である。

安全管理措置としては、 組織的安全管理措置、 人的安全管理措置、 物的安全管理措置、 技術的安全管理措置を講じなければならない。これらに係る費用については事業者の自己負担となる。

これらの安全管理措置を整備したうえで、特定個人情報の取得・収集・保管・提供・廃棄などの実務を行うことになる。

これら以外に、個人情報取扱事業者である場合は特定個人情報の開示等の義務がある。「番号法」は「個人情報保護法」の特別法となり、「番号法」に規定のない項目については「個人情報保護法」の適用を受ける。本人からの特定個人情報の開示、訂正等、利用停止等の請求等については「個人情報保護法」の規定に則って行うことになる。開示等の手順を整えておく必要がある。開示請求等は本人はもちろん、本人の委任した任意代理人も行うことができる。事業者の安全管理体制が問われることになる。

(3)厳しい罰則規定

「番号法」は、特定個人情報について「提供の制限」「収集等の制限」を規定し、第19条での例外の規定を除き、特定個人情報の提供・収集等は禁止を原則としている。それ故、事業者に対し厳格な「安全管理措置」を義務付けている。「番号法」は特定個人情報や個人番号の不正提供や盗用に対し厳しい罰則を定めている。事業者は、情報漏えいで直ちに刑事罰に問われる。民間事業者に対しても直罰制をとっていることについて、宇賀克也教授は「その理由は特定個人情報ファイルの不正提供がもたらす危険性に鑑みると、中小の民間事業者であっても、直罰制により、その不正提供を抑止する必要性が大きいからである」(「解説」P 225)としている。

行政機関個人情報保護法などよりも重い罰則となっている理由についても「特定個人情報ファイルが個人番号を含むのみならず、データマッチングの危険を内在した特定個人情報の集合物であり、検索も容易であるため、不正に提供された場合、個人番号の提供よりも重大な被害を本人に及ぼす恐れが高く、違法性の程度が高くなるため」(「解説」P 228)としている。

第67条では「正当な理由がないのに」「提供したとき」に罰則が科される。「正当な理由がないのに」とは、「本法19条各号により例外的に特定個人情報の提供が許される場合に当たらない場合」(「解説P 225」)であり、「提供したとき」とは、「第三者が利用できる状態に置くことを全て含む」(「解説」P 227)のである。事業者や担当者が意図して行った場合はもちろん、各種安全管理措置の不備などにより意図せず結果として不正提供となった場合も罰則の対象となる可能性がある。

事業者は「自己防衛」のため、個人番号の収集・取得・保管・提供・廃棄など取扱い状況や運用状況をはじめ、特定個人情報の事務取扱いなどの記録を保存しておく必要がある。過大な事務負担となる。

14年7月、「ベネッセ個人情報流出事件」が発生。2070万件の顧客情報が外部に持ち出された。ベネッセは1人500円の金券を配って謝罪したとのことであるが、1人55,000円、総額6435万円損害賠償を求める「集団訴訟」を起こされている。

特定個人情報の漏えいによる民事上の損害賠償は1人5万円が相場と言われている。事業者にとっては、刑事罰、民事の損害賠償、さらに風評被害と「トリプルパンチ」となる。

(4)個人番号の取扱い延期も一つの方法

個人番号は、目的別・分野別の番号ではない。当面は、税や社会保障の一定の限られた分野で利用されるが、利用範囲の拡大の方向にあり、瞬時に様々な個人情報につながる共通番号である。それ故、「番号法」は、個人番号の記載された書類等は特定個人情報と位置づけ、取扱いについて厳しい安全管理措置を義務付け、不正提供等については厳しい罰則を科すとしている。建物の内装や設備、機器等の設置、担当者の教育や研修など、事業者は過大な有形・無形の負担を背負わされることとなる。

中小事業者にとって、このような総合的な安全管理体制を整えることは困難であると考える。安全管理体制が不十分なまま特定個人情報等を取扱い、従業員の特定個人情報等の漏えいなどが発生すれば、悲惨な結果をもたらすことになる。安全管理体制が整わないうちは、個人番号の取扱いを延期することが最良策であると考える。政府の問答集では、行政機関は個人番号の記載のない申告書・届出書等について受理するとしている。事業者への記載の督促・強制は無く、記載がないことで罰則などの不利益を受けることは無い。従業員にとっても不利益となることは無い。個人番号は、行政機関が私たちを識別するために利用するものである。日常生活での健康保険証書などの保険証書や、住宅ローン等で銀行に提出する源泉徴収票などには個人番号の記載は不要だからである。むしろ記載してはいけない。

安全管理体制を整える努力は行いつつ、体制が十分整備されるまでは個人番号の取扱いを延期する。この決断こそ「番号法」の主旨に則る判断でもあると考える(従業員への周知の文例は別添)。
5.共通番号(マイナンバー)制は危険がいっぱい

今年6月、日本年金機構は年金の受給者や加入者の基礎年金番号、氏名などの個人情報125万件が流出したと発表した。

7月には、米連邦政府職員2150万人の個人情報の盗難が明らかになった。流出したのは、職員の学歴・職歴・薬物使用歴・精神科通院歴・個人資産・パスワードなどの情報である(「日経」15年7月11日付)。同記事によると2月には米医療保険大手アンセムの契約者の個人情報、8千万件の漏えい事件も発生している。

今や、コンピューターによる情報管理には、情報漏えいを前提とした対策が必要となっている。目的別の個人番号であれば他の分野への漏えい拡大は無いが、共通番号の場合は関連分野への被害の拡大が起こりうる。

「番号法」の個人番号は共通番号である。重複のない、一生変更の無い番号であり、官民の様々な分野への利用拡大が計画されている。ある分野での個人番号の漏えいは、別の分野でのその人の個人情報との結合を可能にする。「イモづる式」に個人情報の漏えいが拡大していく。

様々な「個人情報」につながる「個人番号」は売買の対象となる。商売にも、犯罪にも利用される。データの流出、なりすまし犯罪などの増大。人格を丸ごと曝け出すことになる。損害を受けるのは私たち一人一人である。

国民にとっては、「番号法」は危険がいっぱいの制度である。「共通番号制」ではなく、目的別・分野別の「個別番号制」の方が一人一人の個人情報の保護にもなり、十分機能させることができるものと考える。

先進国では、共通番号制ではなく個別番号制の方向にあり、「番号法」のように全ての国民に重複の無い番号を付ける制度は実施されていない。「番号法」は時代遅れの制度と言える。
6.「共通番号(マイナンバー)制は中止・延期・廃止を!

「番号法」は国民にとっては百害あって一利無しの制度である。

労働者のリストラを促進する
事業者にとっては、労働者をリストラして派遣社員に変えることで個人番号の取扱いは不要となる。委託となるので消費税仕入税額控除の対象となり、消費税の納税が減ることになる。

中小企業者の廃業を促進する
安全管理措置の整備は中小事業者に過大な費用負担、実務負担となる。死活問題であり、廃業を促進することになる。

息のつまる監視・管理社会となる
「番号法」は「官民分野の共通番号制」を目指すものであり、個人番号による監視・管理社会となる。

税などの負担増と社会保障の給付減が促進される
国が一人一人の所得や財産状況を把握することで、「生殺与奪」権を握ることになる。いくら負担させるか、いくら給付を削るかは国の匙加減しだいとなる。
財政問題の根源は、大企業・大資産家への特権的減免税制度にある。

憲法の空洞化が促進される
「番号法」は人格権・プライバシー権・労働権・幸福追求権・平和的生存権の侵害へつながる。消費税増税や「戦争法」と一体のものである。
「共通番号(マイナンバー)制」の中止・延期・廃止を求める運動が必要である。
「番号法」抜粋(「個人の責務」の規定はない!)
第1条(目的)
第2条(定義)
第3条(基本理念)
第4条(国の責務)
第5条(地方公共団体の責務)
第6条(事業者の努力)
(行政機関等の)個人番号の利用に関し実施する施策に協力するよう努めるものとする
第9条(利用範囲)
(行政機関等は)事務処理に関して保有する個人情報を効率的に検索し、及び管理するために必要な限度で個人番号を利用することができる
第12条(個人番号利用事務等実施者の責務)
個人番号の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人番号の適切な管理の為に必要な措置を講じなければならない
第14条(提供の要求)
個人番号利用事務等実施者は、必要があるときは、本人に対し個人番号を求めることができる
第15条(提供のための制限)
何人も、他人に対し、個人番号の提供を求めてはならない。(第19条を除き)
第16条(本人確認の措置)
第19条(特定個人情報の提供の制限)
何人も特定個人情報の提供をしてはならない(第1号から14号を除き)
第20条(収集等の制限)
何人も、特定個人情報を収集し、又は保管してはならない(第19条の第1号から14号を除き)
個人番号(マイナンバー)の取り扱い延期について
2015年11月吉日
マイナンバー(共通番号)制度とは、国民1人1人に12桁の個人番号を付け、行政機関等がこの番号を利用して、私たちの税や社会保障の情報を管理する制度です。

◆ 「通知カード」は大切に保管を、「個人番号カード」は任意
10月以降、「個人番号・氏名・住所・生年月日・性別」の5項目の書かれた「通知カード」(紙製)が1人1人に送られてきます。世帯単位にまとめて簡易書留で届きます。「通知カード」は大変に大切なカードです。「実印」と同じと考えて大切に保管してください。「個人番号カード」(プラスチック製)の申請は任意です。

◆ 年内は記載は不要
年末調整のとき「扶養控除申告書」や「源泉徴収票」に個人番号(マイナンバー)を書くようになります。ただし、年内は記載は不要です。個人番号(マイナンバー)は書かないで下さい。
雇用保険の届出等は2016年以降、社会保険の届出等は2017年以降の予定です。
尚、個人番号の記載が無くても届出等の書類は受理されます。皆さんの不利益となることはありません。

◆ 事業者には厳しい安全管理の責任と義務が
個人番号(マイナンバー)の書かれた書類等を「特定個人情報」と言います。事業者は「特定個人情報」を集めたり、保管したりの取り扱いについて厳しい安全管理の責任と義務が課せられます。又、義務違反の時や情報漏えいの時には重い罰則が科せられます。しかも、安全管理の費用は事業主の負担です。

◆ 当面、個人番号(マイナンバー)の取り扱いはいたしません
当事業所としては、現時点では十分な「安全管理体制」が整っておりません。今後、「マイナンバー(共通番号)制度」に適切に対応できる「安全管理体制」を整備していきたいと考えています。当面、個人番号(マイナンバー)の取り扱いはいたしませんのでよろしくお願いします。

行政機関等は個人番号(マイナンバー)の記載が無くても書類は受け付けます。皆さんの不利益になることはありませんのでご安心ください。
10月にお手元に届く「通知カード」は各自大切に保管してください。「実印」と同じと考えて下さい。
今年の年末調整の書類から様式が変更となりますが個人番号(マイナンバー)は書かないで提出して下さい。

事業所名 bar03.gif
詳しくは 担当者の bar03.gif まで
「共通番号(マイナンバー)制」の心得5ヶ条
(第1条)「マイナンバー(個人番号)」は私のための番号ではありません

「マイナンバー」というと「私の番号」で、私の為にある番号と考えますが、そうではありません。法律には「マイナンバー」という用語はありません。「マイナンバー法」の正式名称は「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下「番号法」)です。

宇賀克也東大教授は、「番号法の核心は個人番号の付番と個人番号をキーとした関係機関間の情報の共有にある」としています。私たち一人一人の為にあるのではありません。「マイナンバー(共通番号)制度」は、国民一人一人に12桁の個人番号を付け、この個人番号を利用して行政機関等が私たちの税や社会保障の情報を共有し、共同で管理する制度です。

(第2条)「マイナンバー(個人番号)」は大事に保管をし、持ち歩かないこと

私たち一人一人に「個人番号・氏名・住所・生年月日・性別」の5項目の書かれた「通知カード」(紙製)が送られてきます。「通知カード」は大変大事なカードです。「実印」と同じと考えて、大切に保管してください。サイフに入れて持ち歩くことなどはしないようにしましょう。特に、子供さんや高齢者の方には持たせないようにしましょう。「マイナンバー詐欺」に注意しましょう。

(第3条)「個人番号カード」(プラスチック製)は申請しない

「通知カード」と一緒に「個人番号カード」の申請書が入っています。申請は任意です。写真を付けて申請すると「個人番号カード」がもらえます。表面に「写真・氏名・住所・生年月日・性別」が、裏面に「個人番号」と「ICチップ」が、それぞれ表示されます。「ICチップ」は185Kバイトで週刊誌一冊分の文字が入ります。

「個人番号カード」の所有権は市町村にあり、私たちへの貸与となります。大人は10年、子供は5年たったら市町村に返納することになります。身分証明に使えると言われますが、「通知カード」と同じで大変大事なカードですので持ち歩かないように。「ICチップ」に情報が入っていますので、プライバシーを守る意味でも「個人番号カード」は申請しない方が安全と考えます。
「カード」が無くても、必要な時に個人番号付きの「住民票」をあげれば私の「個人番号」は分かります。カードを持つ必要は特には無いと言えます。

(第4条)「マイナンバー(個人番号)」は見せない、書かない、教えない、聞かない

私たち一人一人は個人番号を受け入れる義務や責任はありません。
12桁の個人番号は、税や社会保障の情報につながる「共通番号」です。「番号法」の第15条は「何人も、他人に対し、個人番号の提供を求めてはならない」と定めています。個人番号は他人に対して「見せない、書かない、教えない、聞かない」番号であることが、法律の大原則です。

例外として、税・社会保障の関係で、税務署・職安・福祉事務所等の行政機関等への申告書・届出書・申請書等に「個人番号」を書くことになります。
「個人番号」を書かなくても、行政機関等は申告書等については受け付けします。「個人番号」を書くことは強制ではありません。罰則もありません。
尚、行政機関等は、独自に私たちの「個人番号」を調べることはできるのです(第14条)

(第5条)「事業者」は安全管理体制が整うまでは「個人番号」の取り扱いはしない

「番号法」は事業者に対して、行政機関等が「個人番号を利用して実施する施策に協力するよう努めるものとする」(第6条)と定めています。事業者の「努力」を求めています。
「個人番号」の書かれた書類等は「特定個人情報」となります。「番号法」では「何人も特定個人情報の提供をしてはならない」(第19条)、「何人も特定個人情報を収集し、又は保管してはならない」(第20条)と定めています。

「番号法」では「特定個人情報」を取り扱う事業者には「個人番号の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人番号の管理のために必要な措置を講じなければならない」(第12条)として、「特定個人情報」を集めたり、保管したりすることについては、大変厳しい安全管理の義務と責任が課されています。しかも、そのための費用は自分持ち。万一、義務違反や情報漏えいの時には、重い罰則が科されます。最悪、懲役4年かつ200万円の罰金です。

事業所での各種安全管理措置が整うまでは、「マイナンバー(個人番号)」の収集・保管などの取り扱いはしないのが最良策です。
尚、行政機関等は、個人番号の記載が無くても申告書等は受け付けます。従業員さんに不利益になることもありません。

(さび・じゅんいち)

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