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速報!第50回東京浅草全国研究集会報告
編集部 石川典子 木下 良
記念すべき第50回という節目に東京会が企画運営し、9月5日(金)、6日(土)の両日、東京浅草で東京浅草全国研究集会が開催されました。第50回ということもあり、参加人数は450余名で盛大に行われました。

第1日目は、午後1時から5時まで浅草ビューホテルで分科会が、6時からは同ホテル飛翔の間で懇親会が開催されました。第2日目は、浅草橋ヒューリックホールで記念シンポジウムの後、全体会が行われました。

141001.jpg <第1日目>

少々駅から歩くものの、途中でスカイツリーや下町らしい風情がうかがえ、気が付くと浅草ビューホテルに辿り着きました。

分科会
12時から受付をし、分科会は予定通り午後1時より開始されました。
各分科会の内容は次の通りです。

東京会 「破壊される国民生活と税理士の責務消費税批判を中心に 141002.jpg
大阪会「法人税制はどうあるべきか、改めて考える!!」
千葉会「熟練税理士の相続税調査の実態!若手税理士による所有型法人活用の相続対策」
神戸会「国際的租税回避とこれからの対応方法の検討」
埼玉会「加算税「ちょっと待った!その重課」」
関信会「日本の財政を斬る!!だまされるな日本の財政

分科会会場は3階と4階に分かれ、東京会・千葉会・神戸会は3階で、大阪会・埼玉会・関信会は4階で行われました。各会とも何か月もかけて研究した研究内容を報告し、分科会参加者はおのおの、その報告に対する質問を投げかけ、熱い討論が繰り広げられました。

懇親会

懇親会は、浅草らしくチンドン屋さんの鳴り物から始まり、はっぴを着た実行委員と会場が一体となって、大東京音頭で一気にお祭りムードになりました。そして平石共子会長の開会宣言のあと、佐伯正隆理事長の挨拶に続き、来賓の東京税理士会副会長である菅納敏恭氏の祝辞をいただきました。
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今年で49回参加されている湖東京至氏からは、正しい乾杯の仕方を伝授していただき、正式な乾杯の音頭で第50回にふさわしい乾杯になりました。しばし歓談の時を過ごし、ビデオレターや50年史の紹介、各会の紹介で檀上にあがり盛り上がりました。2時間という時間はあっという間に過ぎてお開きとなり、1日目を終えました。
<第2 日目>
記念シンポジウム


全国研究集会2日目は、午前9時より浅草橋ヒューリックホールで「第50回東京浅草全国研究集会記念シンポジウム」が開催されました。
シンポジウムのテーマは、「これからの国民の暮らしを考える税制と社会保障制度のあり方」でした。これは、統一スローガンにある「これからの50年」という文言から、これからの半世紀を展望して、将来への提言ができるようなシンポジウムにしたいという担当者の思いを表したテーマでした。シンポジウムの進行の流れとしては、パネリストに基調報告をしていただき、その報告に基づいて、会場の参加者と質疑応答を行いました。 141004.jpg
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左から小澤、山根、山口の各氏
現在、この国の税制は、庶民や中小企業をないがしろにして、大企業や資産家を優遇する方向へシフトしており、消費税増税により国民の暮らしはどのように変わったのか、本当に暮らしは良くなっているのか、低所得者等への社会保障制度の現状はどうなっているのか、憲法規範の本来あるべき姿はどのようなものなのか等、パネリストと新人会会員が一緒になって議論を交わした時間は有意義でした。パネリストには、以下の有識者の方々をお招きしました。
山口一秀氏(中央社会保障推進協議会事務局長)、山根香織氏(主婦連合会会長)、小澤隆一氏(東京慈恵会医科大学教授・憲法学)

全体会

全体会は、午前11時50分より副理事長の土屋信行会員の司会により進行されました。
まず佐伯正隆理事長から挨拶があり、引き続き「2013年度活動報告・2014年度活動方針」について「私たちを取り巻く情勢」を中心に報告をされました(税経新報8月号参照)。
佐伯理事長の挨拶が終わると、あらかじめ発言通告のあった会員より会場発言がありました。

阿部國博会員(東京会・VTR出演)
税経新人会という団体が生まれた経緯、これまでの新人会の歩み等を対談形式でお話をされた模様を収録し、そのビデオが、会場のスクリーンに流されました。

関本秀治会員(東京会)
関本会員からの訴えとして、現在、岡山県で税理士法違反ということで、民主商工会の事務局に対する弾圧事件が発生している。
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事実関係は係争中であり、詳細については不明確な点もあるのだが、民主商工会会員の法人税脱税事件に関連して、1月に事務局員1名が逮捕・勾留された。また、その他の事務局員2名も税理士法違反で逮捕された。一方で、5月には、国税庁の諮問機関である国税審議会が税理士20数名の懲戒処分を決定した。つまり、税理士法は、納税者の権利を守るためではなく、税理士の取り締まり立法として運用していきたいという当局の気持ちが表れているのではないだろうか。そして、民主運動の弾圧に税理士法が利用されるのであれば、税経新人会が会をあげて阻止しなければならないと訴えました。

藤原二郎会員(大阪会)
東京会の分科会発表に出席して、消費税について考える良い機会になった。消費税減税・廃止と言うことは容易である。それでは、どのようにして消費税を減税・廃止していけばいいのだろうか。それは、消費税に代わる代替財源を見つけること、また歳出削減を行うことが必要であると考える。しかし、国民は贅沢になりすぎたのかもしれない。これからの歳出削減について国民は、悪路を走行する車のように大変な覚悟をもって歳出削減に取り組むことが必要である旨の発言をされました。

河野 先会員(東京会)
社会保険労務士の部会を作ってもらいたいという訴えをされた。成長すれば、独立した会として運営していきたいとのこと。税と社会保障の一体改革により、社会保険労務士の重要性が増してきた背景があるため、執行部で検討をしてほしいという要望が出された。また、財政問題、民間税調のような機関を新人会に作ってもらえないだろうかという要望も出されました。

高良正一会員(沖縄会)
沖縄の現況報告があった。昨年末、仲井真知事の辺野古埋立て容認等に対して、沖縄では怒りと憤りが高まっている。基地問題、オスプレイの問題等、問題が山積しているのが現在の沖縄である。最後に、いま沖縄は大きな節目に立たされている。沖縄県民は正念場の戦いをしている。ぜひ全国の皆様にも一緒に戦っていただきたいという旨の発言がありました。

伊藤 清会員(千葉会)
税理士の仕事は、納税者の代理人として税務代理を行うことである。高齢ではあるが、納税者の代理人として現場で仕事をしていくことが非常に楽しく、これからも続けていくつもりである。そして、会員の皆様も納税者の代理人として活躍してもらいたい旨の発言がありました。

次に、特別決議案が朗読されました。1本目は、東京会の平井智子会員が「中止せよ!更なる消費税増税と法人税率の引き下げ」について朗読。2本目は、四国会の佐藤克哉会員が「集団的自衛権行使の閣議決定の撤回を要求する」を朗読しました。これらは、全会一致をもって承認されました。

特別決議案が承認されると、新役員の紹介がされました。新年度の役員の方々は以下のとおりです。

理事長 戸谷隆夫 (名古屋会・新任)
副理事長 松田周平 (東京会・留任)
疋田英司 (大阪会・留任)
土屋信行 (関信会・留任)
武本康夫 (神戸会・留任)
事務局長 吉元 伸 (千葉会・留任)

新理事長の戸谷隆夫会員の就任の挨拶のあと、来賓として出席された全国青年税理士連盟第48代会長の坂本和穂氏の挨拶を頂きました。

そして毎年恒例となっている機関誌部の税経新報投稿者表彰です。今年は千葉会の伊藤清会員が受賞されました。

最後に今回の労をとっていた東京会の実行委員の紹介があり、担当者全員が壇上に集まり、東京全国研実行委員長の米澤会員がお礼の挨拶をすると、会場の参加者からは、ねぎらいの拍手が送られました。

そして、来年の開催地である四国会の宮田裕司会員から、来年の開催地が高松で行われることが発表され、東京会と四国会が固い握手を交わし、来年の全国研究集会へのバトンタッチが行われました。

(いしかわ・のりこ:東京会)
(きのした・りょう:東京会)

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