標題だけで実効はあるのか 三木教授の欺瞞
雑誌「税理」2011年3月号に、「大綱から読み解くー平成23年度税制改正の着目点」(小池正明、平川忠雄、三木義一座談会)、三木義一(青山学院大学教授)、長谷川博(税理士)両名の共同執筆になる「納税者権利憲章の策定」の二つの文章が掲載されました。三木義一教授は、政府税制調査会の下にある専門家委員会(委員長神野直彦東京大学名誉教授)内の納税環境整備小委員会座長です。つまり、「平成23年度税制改正」の目玉の一つである「納税者権利憲章」の起草をした責任者の一人ということになります。
私は、本誌2月号に、「納税者権利憲章と国税通則法 憲章制定は税務行政の便宜のためであってはならない」という小論を掲載させていただき、今回の国税通則法「改正」がいかに危険なものであるかについて警鐘を鳴らさせてもらいましたが、前記「税理」3月号の座談会や論稿によって、それが一層容易ならないものであることを痛感しました。
本稿執筆時は、まさに所得税の確定申告の最中で、ゆっくり本を読んだり、原稿を書いたりして居られる状況ではありませんが、法案が国会に提出され、それを読むにつけ、改めて政府や財務官僚達の意図を批判しておく必要があると考え、走り書きであっても、法律案に沿って思いつくままに書き記しました。 |
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法案の「納税者権利憲章」に権利保障機能はない
2月号の原稿を書いた時は、まだ「税制改正大綱」が閣議決定された段階でしたので、批判は、「大綱批判」におわりました。
法律案が発表されて、それが「大綱」を超えた、納税者に対する権利侵害法案になったことが明らかになりました。
三木教授には大変失礼かもしれませんが、彼は「納税者権利憲章」という言葉に酔いしれて、中身の危険性についてはあえて意識的に目を瞑っているように思われます。学者としての良心を疑わざるをえません。
たしかに「改正」案の第4条には、「納税者権利憲章の作成及び公表」という表題がつけられています。しかし、これは裁判規範になるような憲章ではなく、単なる国税庁長官が作成する行政文書にすぎません。これは、従来の「税務運営方針」とほとんど変わらない程度の重さしか持ちません。
「納税者権利憲章」に記載すべき事項として、「改正」案4条に1号ないし17号が規定されていますが、この中に納税者の権利拡張に繋がる項目が一つでもあるのでしょうか。
3号の更正の請求は、1年から5年に延長されました。これは権利といえるのでしょうか。たしかに、法23条の規定は、現在、法定申告期限から1年間でした。しかし、減額更正は現行法でも5年間することができます(70条2項)。これは、税務署長の自由裁量の問題ではありません。減額更正をすべき事由があることを知ったときは、義務として減額更正をしなければならないというのが、現行法70条2項の正しい解釈です。これは、23条の更正の請求期間とは直接関係ありません。
ですから、23条の期限に拘わらず、更正の請求書を提出すれば、税務署長は、更正すべき事由があることを知るわけですから減額更正をする義務が生じることになります。実際は、3年、4年遡って減額更正すべき事由があるとき、私は、23条に拘わらず更正の請求書を提出しています。請願書で減額更正を求めても事情は同じです。税務署長は、その内容が正当であれば減額更正せざるを得ない筈です。そうやって、過去の誤った納め過ぎの税金を取り戻した例はいくつかあります。
ですから、更正請求期間を5年に延長するからといって、これを鬼の首を取ったように「改正法案」をほめあげる理由にはなりません。ないよりもあった方がいいという程度の問題です。もっとも、これは4条の問題ではなく23条の問題ですが、4条の各号について触れているので、ここで触れておきます。
11号の「事前通知」や「調査の終了通知」についてはどうでしょうか。これは、内容的には72条の2以下の「第7章の2 国税の調査」に関する問題ですがこれもここで触れておきます。
各個別税法の現行の質問検査権は、いずれも任意調査です。相手方である納税者や納税者と取引関係のある者等に対して、諒解と協力のもとにはじめて行うことができるものです。任意調査であり、相手の都合もあるので、事前に連絡して日時を打ち合わたうえで行なうのが当然の筋で、罰則による間接強制があるからといって一方的に通知も承諾もなしに行えるものではありません。そうであるならば、書いてあろうが無かろうが事前通知をし、かつ、調査が終わったらその調査の結果を相手方に詳しく説明することは、課税庁として当然の義務といえます。
「任意調査ですから断ることができます」というような記載をするならいざ知らず「合理的な事由がなく拒んだ場合は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」などと「脅し」文句を書くとしたら、これは「権利憲章」などではなく、脅迫文になりかねません。17号の「国税庁が行う事務の実施基準その他当該事務の実施に必要な準則に関する事項その他国税に係る手続並びに納税者の権利及び義務に関する事項」に至っては、何を書き込まれるのか、その概要さえ知ることはできません。国税庁長官通達によって新しい納税者の義務を付加されかねない条文といえます。
こんな内容を持つ文書に、よくも「納税者権利憲章」などという名称を付けたもので、その無神経さにあきれ果ててしまいます。
最初にあげた三木、長谷川論文で、「重要なことは、納税者権利憲章の策定に合わせて、国税通則法第1条(目的)の中に『国税に関する国民の権利利益の保護』という文言を入れること、そして同法の法律名が変更されることになったことである」と述べていますが、内容を見れば、もともと納税者に当然ある権利が羅列されているだけで新しい権利立法ではありません。
この点について、三木氏は、座談会で「今回、『納税者権利憲章』を具体的に策定することが記されました。小委員会の議論のときには、財務省の表現は『納税者権利憲章』ではなくて『納税者憲章』という表現になっており、できるだけ権利性を出したくないということだったと思います。最終的には民主党のPTで『納税者権利憲章』ということを明記されたわけです。こういう意味では、政治家の方々のセンスといいますか、問題点の捉え方が大変よかったのではないかと思っています。」(10頁)と述べています。
この点について言えば、したたかなのは、財務官僚の方です。「権利」という文言を入れない案を出しておいて、「権利」をいれるなら「これもいれてくれ、あれもいれてくれ」といって、結局、納税者権利憲章という名目の陰に隠れて、実体は、納税者を縛り上げる義務の体系となる条文を作り上げてしまったわけです。名称だけつけてもらって喜んでこれを有難がっている姿は、あわれでさえあります。しかも、それを「問題点の捉え方が大変よかった」などと称賛することは無益というよりは有害でさえあります。 |
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罰則つきの帳簿等の提出要求
第7章の2「国税の調査」(74条の2ないし74条の13)については、少し詳しく検討しておく必要のある重要な問題がまだいくつかあります。
現在の各個別税法の質問検査権は、「・・・税の調査について必要があるときは」、「質問し・・・」、「・・・帳簿書類その他の物件を検査することができる」という規定になっています。(所得税法234条1項、法人税法153条1項等)。
ところが、「改正案」74条の2第1項は、「・・・税に関する調査について必要があるときは、・・・質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めることができる」となっています(所得税、法人税、消費税についての質問検査権)。74条の3は相続税、贈与税、地価税に関する規定で、74条の4は酒税に関し、74条の5は、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、石油石炭税、印紙税に関し、74条の6は、航空機燃料税、電源開発促進税に関しそれぞれ同趣旨の規定をしようとしています。
何が問題かといえば、現行法にない、「物件の提示、提出を求めることができる」という規定が付け加えられることです。
そして、74条の7では、「当該調査において提出された物件を留め置くことができる」となっています。これは、刑事手続上では、「領置権」と呼ばれるもので、国税犯則取締法1条では、「犯則嫌疑者若ハ参考人ニ対シ質問シ、犯則嫌疑者ノ所持スル物件、帳簿、書類等ヲ検査シ又ハ此等ノ者ニ於テ任意ニ提出シタル物ヲ領置スルコトヲ得」と規定されています。
この国犯法1条は、令状による調査ではなく、任意調査であり、検査拒否、不答弁等について罰則はありません。刑事訴訟法では101条に「被告人その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる」と規定されているほか、同法221条では、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる」と規定されていますが、いずれも「任意に提出した」物件に限定されています。もちろん罰則はありません。
ところが、74条の2ないし74条の6の規定する物件は、税務職員の職権によって提示、提出を求めた物件となっています。
この提出要求は、任意調査の一環として行われるものではありますが、127条3号には「第74条の2から第74条の6までの規定による物件の提示又は提出の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件(その写しを含む)を提示し、若しくは提出した者」は、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」ことになっています。これは、刑事訴訟法60条により逮捕、勾留の要件を充たす罪になります。
したがって、これを治安立法的に運用しようとすれば、一罰百戒的に告発、逮捕ということも考えられます。任意調査だからそんな運用はしないだろうと安易に考えることはできません。有名な荒川民商の広田事件は、最終的に最高裁において有罪が確定したわけですが、これは、税務調査を妨害したというような公務執行妨害罪でなく質問検査に対する不答弁、検査拒否等を理由とする所得税法違反として訴追されたわけですから、74条の2以下の質問検査権の中に帳簿書類の検査だけでなく、提示、提出要求まではいって来たということは、「納税者権利憲章」という言葉を隠れ蓑にした納税者に対する義務の拡大以外の何ものでもありません。これは、今回の通則法「改悪」の最大の問題点の一つであることを強調しておきたいと思います。
さらに、質問検査権の規定が、各個別税法から削除され、国税通則法の中に一抱して統合されたことは、1962年の国税通則法制定の際、納税者団体、学界、実務界の強い反対によって税調答申の中から削除せざるを得なかった一項目(質問検査権の統合的規定)の復活になります。これも財務官僚の悲願の一つであったことは間違いありません。
その結果、どういう法的効果が生れるのかといえば、それは、何よりも人格のない社団等(労働組合や民主団体、その他の任意団体のほとんどがこれにあたります。)に対する質問検査権の行使が、全面的に可能になることです。
つまり、62年成立の通則法の政府案は次のようになっていました。
修正前第3条(人格のない社団等の地位)
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下「人格のない社団等」という。)は、国税に関する法律の規定の適用については、法人とみなす。
修正後第3条(人格のない社団等の地位)
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下「人格のない社団等」という。)は、法人とみなして、この法律を適用する。
約半世紀前に、われわれの先輩達が、大変苦労をしてかち取った「人格のない社団等」に対する質問検査権の適用範囲の規制を今回の「改正」で事実上失ってしまうことになります。この法律効果については、あまり検討されていませんが、財務官僚は、もしこの法律案が成立したならば、「してやったり」としてほくそ笑むところでしょう。
「留め置き」についてももう一つ触れると、この規定には、提出された帳簿書類等の返還についての規定がないことです。いったん領置されるといつ返してもらえるかわからないことになります。74条の11に「調査の終了通知」の手続が規定されているわけですから、おそくともこの調査終了通知までには返却することを明文で規定すべきです(もっともこの規定自体に合理性がないので、提出要求の方を削除すべきですが、もし規定するとすれば)。日常業務に使われている帳簿書類などは、要求があればすぐにでも返却すべきです。
国犯法2条は、令状による強制調査ですが、この場合は、令状に基づく差押えと差押え目録の交付が義務づけられていますが、領置についての手続は全く欠落しています。間接的であれ、強制力を伴う提出命令ですから、意図的であるにしてもこれは明らかに立法上の欠陥といえると思います。
提出された物件は、異議申立てや審査請求、さらには提訴などがあれば、いつまででも課税庁の手許に領置しておくことを予想しているのかもしれません。
刑事手続においても、領置は、任意に提出した物件に限られているのですから、行政調査において罰則付きの領置を認めるなど全く論外というべきです。 |
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「現況調査」を追認する「事前通知」?
74条の9は調査の事前通知について規定していますが、調査予定日の何日前までに通知をすべきかは全く規定されていません。前日に通知しても事前通知ということになってしまいます。これでは、事前通知を法定する意味がありません。また74条の10は、「事前通知を要しない場合」を規定しています。これで、いわゆる現況調査は適法という法律上のお墨付きをもらうことになります。そうなると、無予告の現況調査が一般化してしまうことになるでしょう。
この事前通知に記載される事項は、74条の9第1項1号ないし7号に規定されていますが、肝心の調査の理由は規定されていません。調査の目的と調査の理由は決定的に異なるものです。不答弁、虚偽答弁、検査拒否は処罰の対象になるものですから、調査理由の開示がなければ、その質問検査権の行使が適法なものであるかどうかを、調査対象者は判断ができません。
質問検査権は、「客観的な必要性があると判断される場合」(最高裁決定)にはじめて適法なものとなるのですから、その判断ができる程度に具体的かつ明瞭に理由が示される必要があります。1号ないし7号の記載事項はその要件をみたしていません。3号は、「調査の具体的理由」とすべきです。事前通知をすることの意味は、まさにこの点にあるわけです。
適法な質問検査権の行使に係る違反行為は1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられるわけですから、この罰則との比較衡量で事前通知の記載事項は明確にされなければならないというのが、立法論としては最も重要な課題であるといえます。 |
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目的不明の反面調査これも罰則つき
反面調査は、調査対象者本人の所得等を確認するために必要があるときに、補完的に行うものです。したがって、税務運営方針においても、本人調査だけでは所得等が確定できない場合に限って行うこととしてきました。ところが、今回の「改正案」では、本人調査と反面調査が混然一体となってしまい、調査を受ける相手先にはそもそも自分の調査なのか、反面調査なのかさえ分からなくなってしまいます。わずかにわかりそうなのが、74条の9第1項4号の「調査の対象となる税目」の記載があるかどうかという点です。
4号には、「調査の対象となる税目(調査の相手方が当該納税義務者である場合に限る。)」となっていますので、調査対象税目が書いてなければ反面調査であることがわかるかもしれないということです。この場合でも、調査対象者が誰であり、そのための反面調査であることは知りようがありません。
しかも、調査対象の納税義務者はもちろん、反面調査協力者であっても、その調査の過程で、調査目的以外の事項で「非違が疑われることとなった場合において、当該事項に関して質問検査等を行うことを妨げるものではない。」(74条の9第5項)とされています。こうなると事前通知は何のためのものかさえわからなくなってしまいます。事前通知に書かれていない税目であってもすべてを調査対象に取り込んでしまうことができます。
この場合は、納税義務者等が要求しても、通知書を交付することはありません(74条の9第5項後段)。つまり、内容を示さないでわけのわからない質問検査権の行使(書類等の提示、提出要求を含む。)が強行されることにります。他人のために反面調査に協力させられる取引関係者についてもそうなります。
反面調査については、少なくとも調査対象者と反面調査の対象となる取引を具体的に明示した事前通知を行うよう改めるべきです。 |
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修正申告を強要する「勧奨」規定
74条の11は、調査の終了通知を規定していますが、その中で、調査によって更正決定等をすべきと認められる事項がある場合は、その調査の結果に基づいて、納税義務者に対して、「修正申告又は期限後申告を勧奨することができる」(第3項)とされています。これは、従来から「修正申告の慫慂」といわれていたものですが、事実上は修正申告の強要となり、納税者の怒りを買っていたものです。その強要が、法律に「勧奨」として堂々と登場することになります。
もちろん修正申告をするか更正を受けて異議申立て、審査請求、裁判で争うかは納税者の決定すべきことですが、税務調査の現場においては、「修正に応じなければ、まだ調査は終らず、税額も増えるかもしれませんよ」というような脅しをかけ、強引に修正申告を提出させるようなケースが決して少なくありません。ですから、修正申告の「勧奨」が法定された場合には、これまで法律上の根拠がなく行われて来た「脅し」が堂々と罷り通ることになります。
この「勧奨」と関連して問題になるのは、更正の請求期限が法定申告期限から5年間に延長されることです。減額更正は、従来から5年間できることになっていたのですから、職権による減額更正を求めることは従来でもできたわけですが、「改正案」によれば「更正請求書に偽りの記載をして税務署長に提出した者」(127条1号)は、質問検査権に対する違反行為と同様「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられることになります。
修正申告書を出しても、後から更正請求書で改めて争うことができることになったとしても、税務当局が、更正請求、異議申立て、審査請求で争うのは総額としての所得金額や税額であるという総額主義の解釈をとるとするとすれば、再調査の結果、更正請求書に記載した所得金額や税額は過少であるという結果になり、更正請求書に偽りの記載をしたという言いがかりをつけられる可能性も否定できません。
法律論としては、修正申告書を提出しても法定申告期限から5年間は、修正申告に対する更正請求はできるわけです。もちろん、調査結果は文書で提示され、それによって争点は確定するわけですから、それ以外の事由によって確定した税額が過大であることが判明すれば減額更正を受けることができるのは当然です。
PT報告の段階では、「修正申告をした場合は更正請求ができないこととする」という趣旨の表現が使われていましたが、これはどう考えても筋が通らないと考えていましたが、法律の構成としては、更正請求を5年に延長すれば、その間に行われていた修正申告も更正請求の対象になることは当然です。
また、現行法でも、異議決定の段階までには白色申告に対する更正であっても理由を明示しなければならないことになっていますので、それによって更正理由は特定され、それ以後の争訟手続での争点は明確になる筈です。
さらにいえば、「大綱」の段階で、記帳の程度によって理由附記についても差を設けるような表現になっていましたが、さすがにこれは見合わせたようです。
何よりも説明を求めたいのは、これまでの白色申告者に対する更正は、理由なしでやってきたのかということです。前述のように、異議決定までの段階で処分の理由は明示しなければならないのですから、青色、白色を問わず、更正段階では明確な理由がある筈です。理由なしに課税処分をするなどは全く考えられませんし、処分の段階から彼らなりの理由は持っていたわけです。ただ、それを知らせなかっただけなのです。
白色に対する更正処分で理由を書かないのは、税法に書かなければならないという規定がないという、ただそれだけの理由だけしかありません。こんな無謀な処分をしているのは、先進国では残念乍ら日本だけです。租税法律主義においては、法律の根拠がなければ課税処分はできないわけですから、現在の白色に対する理由付記なしの更正処分は、適正手続と租税法律主義を無視した違憲無効なものといわなければなりません。 |
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よいところは一つもない11年度「税制改革」
所得税では扶養控除の削減、証券優遇税制の延長など大衆課税強化、大資産家優遇税制の強化、法人税では大企業優遇の税率引き下げ、消費税では課税事業者の範囲拡大、相続税でも課税最低限の引き下げなど大衆課税強化と、どの税法でも大企業優遇、大衆課税強化の方向が、これまでのどの年の「改正」よりも強く打ち出されています。その大衆課税強化を担保するための調査権限の強化を狙っているのが通則法の改悪といえます。それを、「納税者権利憲章」という内容とは相違する看板で強行しようとするところに今回の「改正」案の悪質さがあります。 |
(せきもと・ひではる) |