イ |
個人特官所掌に関していえば、貧富拡大の社会状況をにらみ、非事業性の高額所得者、富裕層にターゲットを絞るということが重要。この層に国税のメスが入っているかが問われる。高額悪質重点では、継続管理1を厳選し管理対象を減らす。 |
ロ |
継続2管理事案の対象は、大口資産家、関係個人、関係法人の3つ。加えて、資産課税部門の超大口資産家を継続2に統合。資産特官との対応関係を整理し、その上で『相続税課税も視野に入れた効果的管理』をめざす。
今後は個人調査時点で相続課税を前提に財産を把握していく。
継続2は7年一巡の循環接触。これには庁が作成する財産債務明細表の文書照会も接触と位置づけ毎年4〜 6月に実施。財産債務明細表記載不良、記載内容要確認者を調査選定対象にする。 |
ハ |
一定の高額所得者に対する無申告事案把握の試行、事業所得等を中心とした無申告事案への対応も試行する。 |
ニ |
着眼調査は、消費税無申告、消費税還付を優先実施できたが、着眼から特調や一般調査への振替は原則なし。単に金額が出ただけでの振替は効率性に反するため。
個人納税者の管理と調査体系の全体像が示されたといえる。
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(2)大口・悪質な不正・無申告事案等への取組
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イ |
大口・悪質な不正事案等への取組
いわゆる「ハリ」の調査に関して具体的指示を出している。 |
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常習的に不正を繰り返す業種・業態など調査困難かつ悪質な事案 |
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課税上の問題が伏在していると想定される事案
この事案に対しては的確な選定と組織的な対応で調査せよと指示し、各事項の調査体系を示した。
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(イ) 局資料調査課等における調査
先端的・潜在的事案→資料調査課が情報を集積し、料調が優先調査。
(ロ) 情報収集機能の充実・強化
課税上の問題が伏在していると想定される事案→課税総括課が管理分析し、料調・署総合特官へ引継ぎ調査。
(ハ) 他部課を含む関係部署との連携強化
処理困難と見込まれる事案、波及効果の高い重要事案→調査部、査察含む部署の連携強化および適切な調査体制の編成による調査。
(ニ) 適切な調査体制の編成等
署のみでは調査が困難と認められる事案→課税総括課が担当部署確定など調整し、適切な調査体制の編成による調査。
ロ 無申告事案への取組 無申告事案は所得税、法人税のみならず消費税や源泉所得税の観点からも選定し、無申告個人・稼働無申告法人は資料の活用や組織的対応で調査を充実するとしている。
前述の個人課税局幹部は無申告に対する取組みを次のように説明したという。
従来、過少申告と無申告のどちらが悪いのかといった議論があったが、経済悪化の中では、国税が無申告を放置していていいのかという問題から
一定の高額所得者に対する無申告事案の把握を試行する。この場合の無申告とは、各種所得のうち一部の所得を申告していない者を含む。
とは別に、中低階級の無申告対策として、事業所得等を中心とした無申告事案への対応としての試行を行う。個人課税全体事務量の10%程度を目安として事務量を投下。
(3)国際化・高度情報化に対する積極的な取組
イ 国際的租税回避スキームなど国際化への対応
海外取引、海外資産保有の納税者に対する積極的調査。国際的租税回避スキームに係る情報は「連絡せん」作成の徹底。
ロ 高度情報化への対応
電子商取引、業務の高度情報化・ネットワーク化の顕著な納税者への適切な調査。高度なIT調査の展開と、調査手法の開発。
(4)消費税課税事業者への取組
消費税は主要な税目と位置づけ。新規課税事業者の把握、不正還付対応を含め調査・指導、還付処理を適切に実施。
(5)源泉所得税事案への取組
預り金の性格を有する源泉所得税と性格付け。未納の早期処理、過年分納付遅延者に対する計画的処理、未納整理処理困難事案に対しては調査による処理を指示。
国際源泉課税などに対して、重点的かつ深度ある調査。
(6)資産運用が多様化・国際化する富裕層への対応
富裕層に対する課税上の問題点を整理し、所得(フロー)の把握とあわせ、相続税の適正課税をにらみ、相続財産(ストック)を確実に把握する調査等の充実を打出した。前述のとおり試行や深度ある調査が展開される。
(7)広域展開する法人グループ等への対応
(8)公益法人等への対応
(9)好況業種等への対応 例年と変わりがない。
(10)署調査部門の運営
イ リード役を中心とした部門運営の推進 特定の上席調査官を部門のリード役に指名し、統括官を補佐して選定に従事するほか、コミュニケーションの中心的な役割を担わせることを目的として実施。
ロ 署特別国税調査官のマネジメントの着実な実施
署長・副署長のマネジメントの下で、単独調査(特官一人)の実施、集中配置・グループ運営による調査体制の構築。 |