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書面添付制度のメリットとして税務調査の省略がいわれる。論者の意図はともかくそれは、事実において税理士を税務官庁の「下請機関」とする危険がある。仮に調査の省略があるとしたら、調査省略となる申告書の内容は税務当局が作成したものと同様の内容でなければならないからである。税務官庁には課税処分権(更正・決定)がある。書面添付制度により税理士側にいわゆる「税務調査の省略権」を与えることとした場合、課税処分権を行使しないことになる(そのようなことはあり得ない)。租税法律関係は税務行政庁と納税者との間の関係である。租税法律関係の性質上税理士の書面添付制度という意見表明に最終的な決定権を与えることなど論理的に説明はできない。
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書面を添付している場合、意見聴取の機会を与えているが、他方意見聴取の機会を与えなかったとしても、その更正の効力には影響を及ぼさないとしている(35条4項)。したがって、この「意見聴取」に関する措置は、一種の「みせかけ」で法的には全く意味がない。
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不服申立てに係る調査の場合にも、書面を添付していたら意見聴取の機会を与えるとしているが、意見聴取の機会を与えなかったとしても、裁決の効力には影響を及ぼさないとしている(35条4項)。したがって、この「意見聴取」に関する措置も法的には全く意味がない。
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申告書を提出した者について、その申告書にかかる租税に関しあらかじめその者に日時場所を通知して帳簿書類を調査する場合、添付書面を提出している税理士があるときにその税理士に対して意見聴取の機会を与えている。 |

租税法律関係の一方の当事者(税務当局)はぼう大な権力と専門的知識を有する。他方の当事者(納税者)は何の権力も専門的知識も有しない。税理士はこの関係における弱者である納税者を援助し、憲法および税法によって認められた納税者の権利を擁護する使命がある。問題が簡単でなく見解が分かれるときにおいて、税理士は納税者の代理人として納税者の立場をとることが要求される。税理士にとって法的に重要なことは、税理士は依頼人として納税者の権利を擁護しなければならないという点である。 |
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