税は近代国家の成立基盤であり国家と国民の存立条件である。税が国に集められ、それを一定の目的に従って支出される仕組みが財政であり国家予算である。
本稿では、まず、税制を考える前提を考察する。すなわち、国家は国民の幸せのため、国民の福祉を維持向上するためにこそ存在するのだということを確認することが重要である。国は企業のためにあるのではない。国は、力の強いもの、豊かなもの、競争の勝者のためにあるのではない。国民すべての幸せを保証することが国家の存在理由である。そのような国家を経済的に支えるための財源として租税が必要となる。「国民すべての幸せの財源としての租税」という観点が根本になければならない。
国家と国民を考える場合の倫理的基礎について議論する。人間観(人の幸せと人と人との関係)、社会観(社会は何の為にあるのか、理想的社会とは)、正義観(人間の幸せのためには何が正義か)などについて考えていきたい。人の幸福、自由と民主主義これらの理念と税制のかかわりの根本に迫りたいと考える。 |