大企業・大金持ちには、一貫して減税が行われてきましたが、このことをマスコミは、一言も語りません。
89年に消費税が導入されました。その時の政府の謳い文句は、「直間比率の是正」でした。所得税・法人税などの直接税中心の税制から、消費税などの間接税中心の税制へ転換すると言うものです。 |
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【法人税の税率引き下げ】
消費税の導入と引き替えに、86年から89年にかけて、法人税率は42%から40%へ、所得税最高税率も70%から50%へ引き下げられました。
その後、法人税率は、90年37.5%、98年34.5%、そして99年に30%にまで引き下げられました。1000億円の利益があれば、420億円の法人税であったのが、今では300億円ですむのです。3割引です。
昨年の法人税収入は11.7兆円です。これは、42%の税率に引き戻すと、概算で11.7兆円×42%÷30%=16.4兆円で、4.7兆円の減税と言えます。 |
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【所得税の税率引き下げ】
所得税の最高税率も、99年に37%に、引き下げられました。
課税所得1億円の場合、86年では5808万円の所得税が、99年では、3451万円の所得税となり、2357万円の減税と言えます。(マンションが1戸買える!)課税所得200万円の場合、所得税は86年で248,500円、99年で200,000円となり、48,500円の減税です。これに、プラス「定率減税」があります。20万円×20%=4万円が追加減税となり、合計で88,500円の減税です。(家族一泊旅行ができる?)
富山泰一税理士の試算では、課税所得2000万円以上の所得者は、人数で25万〜26万人。86年比で、毎年、2.3兆円〜2.4兆円の減税の恩恵を受けているのです。 |
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【消費税増税と引き替えの減税】
この間の減税は、庶民にも少し恩恵はありましたが、大企業・大金持ちには、大盤振る舞いとも言える減税でした。それは、消費税創設増税との引き替えで行われた減税でもあります。こうしてみてみると、「せめて、税率を86年当時に戻す!」このこと抜きに税制を語るのはどう考えても片手落ちの議論と言えます。税率を86年当時に戻すだけで、法人税・所得税で約7兆円(消費税3%分に相当する)の税収となります。現在の大企業の経済力からすれば、十分負担能力があります。大減税を続ける理由は何も無いと考えます。大企業・大金持ちにも、応分の税負担をしてもらう。庶民増税の前に、この点を正すべきです。 |