|
|
|
中小企業の命綱といえる信用保証協会が100%の保証を行う現行のセーフティーネット保証5号融資(指定不況業種に対する融資)が部分保証になることが決定される |
東京会 御影池 秀夫 |
|
平成29年6月6日、参院経済産業委員会は中小企業信用保険法改定案を賛成多数で可決し、これによって業況が悪化している業種に信用保証協会が100%の保証を行う現行のセーフティーネット保証5号(1)融資(指定不況業種に対する融資)が部分保証になることを決定した。
セーフティーネット保証5号が部分保証制度に改定されることにより、中小企業融資にどのような影響を及ぼすのかについて明らかにするとともに、5号と自治体制度融資が果たしている役割等について筆者の業務経験および研究を基に原稿を書く。
- セーフティーネット5号保証の役割 -
あらめて、セーフティーネット5号保証の歴史と果たしてきた役割について振り返ってみる。筆者が経済産業省の資料で知る限り、この制度は昭和48年日本で最初の石油危機が起きた時、それまで高度成長を続けて来た日本が不況に陥り、混乱し、中小企業も苦境に立たされた。このオイルショックを端に混乱した日本経済から立ち直り、中小企業を救済するためにセーフティーネット保証5号融資制度が制定されたと理解している。
この制度は、信用保証協会が金融機関の貸し出しに際し、中小企業者の融資を保証承諾し、その時々の不況に苦しむ中小企業者を助けてきた。この5号保証を含む信用保証協会の保証残高は最盛期平成11年に43兆円を記録した(資料1)。
信用保証協会の保証を利用した中小企業は、全国中小企業者数385万者(平成26年度末の数値)の内141万2千者(36.6%)に及ぶ。この保証協会利用者の内5人以下の従業者の企業が75.1%を占める(資料2)。
セーフティーネット保証5号融資だけを取り上げると、指定不況業種が絞り込まれる中、東京信用保証協会の資料27年度実績(平成27年4月〜平成28年3月)では東京では約2,400件、521億円に上っており、景況の悪化した業種の資金支援で重要な役割をしてきた。
- セーフティーネット保証5号保証の利用要件 -
現在利用できる要件は次の通りである。
セーフティーネット保証5号は、中小企業信用保険法に基づき経済産業大臣が指定する不況業種(中小企業庁のホームぺージの「金融サポート」に掲載)が対象である。利用者のほとんどの方が利用している売上要件で説明をすると、売上高が前年同月比3カ月間の比較で5%以上減少していれば、決算書の数値がよほど毀損しておらず、税金の滞納などがなければ、公的保証人の性質を持つ信用保証協会の保証をつけて融資が実行される制度である。信用融資枠は普通保証枠と別に無担保融資であれば、最大8,000万円の融資枠がある。
これまで不況で苦しんでいる、多くの中小企業者がこの融資制度を利用し、倒産・廃業を回避し経営を維持してきた。いわば、中小企業の命綱の役割を果たしてきた制度と言える。
- 指定不況業 -
指定不況業種は現在3カ月ごとに見直しされる。
平成29年7月1日〜同年9月末までは産業標準分類1,100余りの業種の内184業種(約16.5%)が不況業種として指定されている。
ちなみに平成29年7月1日〜同年9月30日までのセーフティーネット保証5号の指定不況業種の一部をみると、建設関連業種では、大工工事業(型枠大工工事業を除く)、型枠大工工事業、鉄筋工事業、レンガ工事業、タイル工事業、コンクリートブロック工事業、左官工事業、塗装工事業、屋根工事業、防水工事業、はつり解体工事業などがある。
その他、製造業の指定業種をいくつか見てみると、綿スフ織物業、靴下製造業、手袋製造業,木箱製造業、たる. おけ製造業、鏡縁、額縁製造業、壁紙、ふすま紙製造業、なめし皮製造業、革製履物製造業、革製手袋製造業、かばん製造業、袋物製造業、ハンドバッグ製造業、顕微鏡. 望遠鏡等製造業、自転車、同部品製造業、漆器製造業などがある。
サービス小売、卸業では、男子服卸売業、下着類卸売業、靴履物卸売業、かばん、袋物卸売業、生鮮魚介卸売業、乾物卸売業、荒物卸売業、陶磁器ガラス器卸売業、スポーツ用品卸売業、男子服小売業、靴小売業、履物小売業(靴を除く)、下着類小売業、金物小売業、陶磁器ガラス器小売業、ガソリンスタンド、紙. 文具小売業、スポーツ用品小売業、花植木小売業、カラオケボックス業、警備業などがある。
履物、かばんなど一世を風靡した業種が今は万年不況業種となっていて、時代の移り変わりを感じる。
- 5号保証認定融資を受ける方法 -
指定不況業種で 上記の融資要件である前年3カ月間比較で売上が5%以上減少していることを試算表などの資料に基づき、市区町村の金融課(役所によっては観光課など)に示し、金融課の所定用紙にこれを記載し、5号認定の証明の押印(5号認定)を受ける。この認定書を金融機関に持参し、信用保証協会の最終審査を受け保証が受諾されると金融機関から融資が実行される。
- 部分保証制度(責任共有制度)へ移行された歴史 -
セーフティーネット保証5号は信用保証協会の保証割合が現行100%保証から80%保証に縮小されることが国会で可決成立したため、来年度から他の一般の融資と同様、部分保証制度(責任共有制度)になる。責任共有制度とは借り手である中小企業が破たんし、返済不能となった場合、信用保証協会が借手企業の返済残額の8割を借り手企業に代わって弁済し、貸し手の金融機関は融資残額の2割を負担する制度である。
信用保証制度はもともと、平成19年9月までは借り手の中小企業が破たんした場合、借り手の企業に代わって、信用保証協会が100%残債務を金融機関に保証弁済する制度でしたが、平成19年10月より、保証協会付融資はごく一部の小口融資などを除いて、部分保証制度(責任共有制度)に改正されたのである。
- 100%保証から部分保証制度に変更された時、信用保証受諾が激減。金融機関の貸し渋りが鮮明に生じた -
平成19年10月から、特別な保証でない限り、部分保証制度に移行されましが、部分保証制度になってから、信用保証協会の保証がそれまでの100%保証の前年と比較すると、資料3の東京信用保証協会の冊子『保証マンスリー』から集計した表に示されるように、部分保証制度が実施されると、東京信用保証協会の借入保証受諾件数、借入保証受諾金額とも、ほとんど毎月前年比2割以上激減した。
責任共有制度が導入される前は、保証受諾件数、金額ともに増加していたが、責任共有制度になったその年は、前年比で大きく激減し、貸し渋りが相当出ているのが分かる。
これは当然である。信用金庫、信用組合など不良債権を多く抱えている(今でも後述するように大銀行と比べ、多くの不良債権を抱えている)町場の信用金庫、信用組合の金融機関は、借り手企業が破たんすれば、残債務の2割を負担するため、融資に慎重にならざるを得ない。
例えば、融資残が1,000万円の時に借り手の業者が破たんすれば、1,000万円の2割、200万円を負担、つまり貸倒償却として金融機関は費用が発生してしまう。
今のマイナス金利の中でこれだけ負担が生じれば、経営が圧迫されるのは明らかだ。
そのリスクを避けるために、融資に二の足を踏み、世間で言う貸し渋りになることはこれまでの歴史を振り返ると容易に想像できる。
- 5号融資は地場の産業にとって命綱、地域金融機関も地場産業との共存に重要な役割 -
このセーフティーネット保証5号は指定不況業種の借り手の企業が破たんした場合、借り手企業に代わって、100%全額信用保証協会が弁済する制度で、これまで約40年間続いてきた中小企業支援制度だ。信用保証協会の100%のバックアップ体制があったため、信用金庫、信用組合も地域金融機関として、中小企業を支えることができた。
セーフティーネットの100%保証の制度融資がなくなれば、資金繰りで悩んでいる中小企業を廃業、倒産に追い込む恐れがある。
セーフティーネット保証5号はオイルショックから始まり、これまで何度も危機を救い、最近では、貸し渋り、リーマンショックに対応してきた緊急避難のセーフティネット(安全装置)の重要な役割を果たしてきた。
これまで日本を支えてきた高齢化の波が押し寄せている中小企業の伝統産業の資金の枯渇化を防ぎ、持続可能な措置として、100%保証のセーフティーネット保証5号が果たしてきた役割は重要だ。地場の産業が廃業に追い込まれてしまえば、地場の町の風景は大きく変わってしまうことだろう。地域を支えてきた中小業者が締め出されることになれば、経営は弱肉強食の世界になりかねない。
ここ20年以上も新自由主義政策が進められる中、国民皆が豊かになったかといえば豊かになっていない。格差を生んで、貧困者を増大させてきただけである。いたずらに、市場原理を打ち出し、不況時に中小業者を市場から退場させても景気が良くなるわけでもない。
大企業が栄えても内部留保が膨らむだけでは、賃金に還元されず、雇用は増えても非正規ばかりの低賃金層が多くなっていくだけで、一人当たりの購買力は増えず景気は循環しない。
中小企業の雇用者数は、『中小企業白書』(2017年版)で見ると3,361万人、全雇用者数の70.1%を占める。この中小企業を守り育て地場の産業が栄え、維持できてこそ地域経済が循環すると感じる次第である。
- 圧倒的中小業者はバブル期の一時を除けば慢性的に赤字体質 -
大企業と違い、日々の生業で生活している企業が圧倒的に多い。
日本政策金融公庫の生活事業部の資料を見ると、日々経営上、苦戦しているのが分かる。セーフティーネット保証5号の信用保証協会が部分保証になることにより、追加融資が困難になり経営を圧迫されるだろうことは、日本政策金融公庫の「全国中小企業動向調査結果」(小企業編)からも想像できる。
従業員20人以下の小企業(小売、卸、サービス業は5人以下)でみるとDI(業容が上向いているから業況が悪くなっているという数値を差し引いたアンケート調査)分析数値はとんど、マイナス(▲)になっている。従業員規模別1人〜 4人では平成29年7月〜9月見通しは▲ 36.9と多くが業況悪化の見通しをたてている。
時計・光学機械小売にいたっては▲ 58.3。書籍. 文具小売にいたっては▲ 60.8という数値である。
業況判断DI 分析ではどの業種もほとんど▲で業況が悪いことが分かる。このように経営が厳しい企業のほとんどは売上不振の悩みを抱えている。
家族経営ともいえる企業は、慢性的資金不足、労働力確保など経営資源が不足している中で日々生活している。一例をあげると、靴卸小売、かばん卸、小売業などは慢性的に指定不況業種だが、時代時代に、これまで地域に貢献してきた業種である。
- セーフティーネット保証5号100%保証の役割は中小金融機関にも及んでいた -
全てが部分保証になると、中小企業を支える信用金庫、信用組合なども、またリストラ、再編、店舗の閉鎖に追い込まれることになろう。『2008年金融ジャーナル増刊号』(資料5)によると、東京では都市銀行信託銀行など大手銀行の店舗数は1997年3月1441店舗から2007年3月の10年間で1029店舗に減少した。また地方銀行は同224店舗から199店舗へ。信用金庫は同1012店舗から784店舗へ。信用組合にいたっては同381店舗から177店舗へ半減した。不良債権処理の時代に再編の嵐で激減している。
不良債権処理をするため公的資金を多額に受けたメガバンクがこれまで店舗(営業店)を削減し、リストラを実行して、現在自己資本比率が潤沢にあるのとは違い、不良債権を現在でも多く抱えている信用金庫は財政基盤が不安定であるから、信用保証協会の100%保証のセーフティーネット保証5号融資制度は自己資本の毀損を防ぎ、経営維持にも重要な役割を果たしている。
町場の信用金庫などの金融機関は債務者が破たんした場合、残債務の内、保証協会の弁済保証を受けられない2割が自己負担となれば、それまでの金利収益は飛んでしまい、貸出でマイナスになってしまう。貸倒れに耐えきれないところが、相当数出てくることが考えられる。
セーフティーネット保証5号の保証割合の縮小は地域業者にとどまらず、地域金融機関の存続にとっても大きく影響が及ぶ。
- 地域金融機関が町からなくなる -
関東で見てみると、関東財務局資料(平成28年3月決算概要)では信用金庫は不良債権が減少しているとはいえ、不良債権比率が現在でも約5%、信用組合にいたっては7.4%を抱えており、メガバンクの1%強とは雲泥の差がある。
借り手が破たんしてしまえば、金融機関は貸倒処理を余儀なくされるため、自己資本が大幅に減少することになる。自己資本が4%割れになってしまえば、金融機関は国内で銀行業務を行うことができなくなる。つまり金融機関の免許の返上となる。
10年以上前の船橋信用金庫、永代信用組合などの町場の信用金庫、信用組合が1年間に60行消滅した。再編がまた巻き起こる可能性が高いと言える。
信用金庫、信用組合は中小業者といわば車の両輪の役割をしてきた。中小業者が廃業すれば、信用金庫、信用組合もおのずと淘汰されていく。これは統計資料を見れば、一目瞭然である(資料6ー :金融庁信用金庫等の推移資料参照)。
- 5号保証を100%保証に戻す運動と、指定不況業種の拡充を -
中小というより零細家内業者は資本力がないためおのずと金融機関からの借り入れに依存せざるを得ないが、これらの業者をメガバンクは相手にしない。地場の信用金庫、信用組合が主体になる。
今回、信用保証協会の保証割合が80%に改正されたセーフティーネット保証5号を元の100%保証制度に戻す運動が今最重要の課題と言える。また、指定不況業種の拡充が求められている。
さらにはセーフティーネット保証5号の、指定不況業種に該当しなくても、売上減少、あるいは普段の資金繰り支援のために、金利、保証料を補助する制度融資制を拡充すべきである。
- 自治体による中小企業支援のための融資制度 -
最近の国の方針を見ていると、信用保証協会の保証受諾を縮減する流れになっていることからも、セーフティーネット保証5号が責任共有制度に改正され、自治体融資制度も縮小されていく可能性がある。
自治体の中には、セーフティーネット保証5号融資の指定不況業種に該当しなくても、責任共有制度ではあるが、金利だけでなく信用保証協会の保証料補助をして低利融資制度を実施しているところも全国的に存在する。
一例として、東京都の北区の不況対策資金(2)がある。中小企業の要件を満たしていることが前提だが、融資実行後1年間は区の利子補給で、実質金利ゼロ%、2年目以降0.4%以内。信用保証協会の保証料は半額補助という融資制度である。
同じく東京の中央区などでは経営改善資金融資(3)を利用すると金利0.4%、信用保証協会保証料3分の2補助。代表者が中央区在住の場合は信用保証料全額補助となっている。練馬区の景気対策特別貸付け(4)の実質金利は0.2%だけである。信用保証協会の保証料については、1,000万円までにかかる信用保証料の半額を補助する。
京都でも久御山町では中小企業低利融資制度(略称「マル久制度」)(5)というものがあり、運転資金は2,000万円まで金利は1.4%。最初の2年間は支払利子を全額補助。2年間実質金利ゼロ%。信用保証協会の信用保証料は2分の1補助している。
京都でもう一つ紹介すると、長岡京市の中小企業振興融資制度(6)がある。売上の減少要件は設けていない。利率1.4%。この内融資期間終了まで0.9%利子補給。信用保証協会の保証料2分の1補助するという中小企業に手厚い制度を設けている。これは業者を優遇するという発想でなく、地場の業者が潤うことで、市町村も税収を確保でき、自治体運営が成り立つという、自治体は地域業者と共存関係の精神の表れだ。
このように中小企業を支援する自治体制度融資は数多くある。市区町村のホームページの産業融資等をチェックして活用してほしい。融資制度の宝の山は数多く存在する。
このような中小企業を応援する自治体融資制度を後退させず、運動で拡充して行くことが必要だ。町づくりを担っている地場に根差した中小企業を、地域で再生し、共生する社会を展望する上で重要なことだと思う。
- 信用保証協会100%保証の制度は限りなく制限されている -
信用保証協会の100%保証制度としては、現在、新規創業融資や、総額1,250万円までの小口融資(今回の改正で2,000万円までの引き上げが予定されている)くらいしかない。
一方、セーフティーネット保証5号は自治体の融資制度のほとんどに連動している。自治体の融資を受ける場合はセーフティーネット保証5号に該当すれば、手厚い融資を実施しているところがほとんどです。中小企業は自治体の金利、信用保証料融資補助によって、経営を一息つかせているところが多い。これで安心して中小企業も経営できる。
自治体は、セーフティーネット保証5号に該当し、その地域で1年以上経営を行っている企業に利子補助や信用保証協会の保証料補助などを実施し、低利融資を後押しするものがほとんどです。しかし、セーフティーネット保証5号が8割保証になると、融資を受ける際、厳しい選別融資が行われる可能性が出てくる。そうなると、町場の信金信組なども上記記載のように再編へと跳ね返ってしまう。
- セーフティーネット保証5号を利用して経営が立ち直った顧問先、相談先 -
これまで、筆者の顧問先でも5号保証を利用した顧客あるいは相談を受けた業者は数多くある。筆者の顧客で空調を行っている業者は1年半ほど前、セーフティーネット保証5号の要件に当てはまり、国の制度と同じもの、いわば電車の相互乗り入れのような方法の東京都独自の制度融資「経営セーフ」、無担保別枠融資限度8,000万円までという融資を利用した。
経営セーフの利点は、指定不況業種に該当し、前年3カ月比較で売上高が5%以上減少しているという要件をクリアしていれば利用できる。国の基準と同じ東京都の「経営セーフ」を利用するとさらに有利で、金利で0.5%補助、保証料が半額補助(保証額により異なる)になる。
経営セーフを利用しながら、経営改善を行い、ここ5年で利益を1億円5千万以上出して、債務超過を解消し、経営を立て直している。
この他にも板橋区の5年ほど前の緊急融資(セーフティーネット5号と同要件で金利を0.3%にする自治体融資)を活用しながら、20%近い高金利から脱し、代表者の給料月額120万円を取ることができて、毎年500万円〜 1,000万円の利益(今年は約1,500万円の利益)を出すなど、経営改善努力をされてきた方がいる。
このように経営改善ができたのは、セーフティーネット保証5号や自治体の融資制度の後押しがあり、それを糧に経営努力が実ったのです。
セーフティーネット保証5号融資を縮小させることは、企業の再挑戦の機会を奪うことになる。
今度の5号保証制度の改正はこれまでの制度趣旨を根本から変えるもので、公共で支えるものを市場原理に移行したともいえる驚くべき国の転換政策である。
この改正にいたるまで、2年近く中小企業政策審議会ワーキンググループ会議が行われてきたが、委員は5名、オブザーバ19名の内中小企業に寄り添った参加オブザーバは信用金庫常務理事、信用組合常務理事、全国商店街振興組合連合会専務理事など少数で、零細業者、弱小金融機関の声が反映されずに決定されてしまったといえる。
また中小業者がなくなっていけば、他人ごとでなく、我々税理士業界も昨今の過当競争にみられるように存在の基盤が液状化のようになくなっていくことになる。
地場を支える中小零細業者の声が反映されるように、今セーフティーネット保証制度を元に戻し、さらに自治体融資制度を拡充、充実させる声を様々な団体が上げていかなければならない時期にある。 |
(みのいけ:ひでお) |
|
注
(1) セーフティーネット保証5号
1、対象者
業績の悪化している業種に属する事業を行う中小企業者であって、経営の安定に支障を生じていることについて、市区町村長の認定を受けた中小企業者。
企業認定基準
指定不況業種に属する中小企業者であって、以下のいずれかの基準を満たすこと。
イ 前年3か月間の売上高が前年同期比で5%以上減少している中小企業者。
ロ 製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上上昇しているにもかかわらず製品等価格に転嫁できていない中小企業者。
2、保証限度額、保証割合、保証料率
現行年度
保証限度額 一般保証とは別枠で、無担保保証8千万円、最大で2億8千万円。
保証割合 借入額の100%保証
保証料率 保証協会所定の料率(0.7%〜1.0%)
*セーフティーネット保証制度は中小企業庁のホームページの金融サポートに掲載されている。融資に際して信用保証協会の保証を付けるもので、次のように1号から8号まである。中小企業者が日常的に利用しているのは5号である。
1号 連鎖倒産防止
2号 取引先企業のリストラ等の事業活動の制限
3号 突発的災害(事故等)
4号 突発的災害(自然災害)
5号 業況の悪化している業種(全国的に)
6号 取引先金融機関の破綻
7号 金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整
8号 金融機関の整理回収機構に対する貸付債権の譲渡
(2) 東京都北区の不況対策資金融資
融資限度 1,000万円
最近3カ月又は1年間の売上高が昨年同期と比較して減少していること。
金利1年間ゼロ%、2年目以降0.4%
信用保証料半額補助
(3) 東京都中央区の経営改善融資
融資限度1,300万円(代表者が中央区に居住の場合は1,500万円)
最近3カ月又は1年間の売上高、生産額が前年同期と比較して減少していること。
金利は0.4%
保証料は代表者が中央区居住の場合は全額補助、代表者が中央区居住以外は保証料3分の2補助。
(4) 東京都練馬区景気対策特別貸付
融資限度1,500万円。申込月の3カ月を基準月とし、基準月を含む連続した3カ月又は12カ月の売上高又は売上総利益率又は営業利益率の合計が前年同期と比較して減少していることが要件。金利0.2%、信用保証協会の信用保証料は融資実行1,000万円まで半額補助。
(5) 京都久御山町中小企業低利融資制度(略称「マル久制度」)
1、 町内に1年以上住所を有し。継続して1年以上事業を営み、町税を完納していること
2、 保証協会の保証となる中小業者
3、 融資限度 運転資金2,000万円、設備資金3,000万円。
4、 融資利率1.4%。ただし支払利子全額2年間補給
5、 信用保証料2分の1を補給
(6) 京都長岡京市の中小企業振興融資制度主な融資要件
個人の場合
市内に居住していること
継続して6か月以上事業を継続していること
市税を完納している者
京都信用保証協会の保証対象業種であること
法人の場合
市内に事業所を有するもの
市内において法人登記をしていること
市税を完納している者
京都信用保証協会の保証対象業種であること |
(みのいけ:ひでお) |
|
|