安倍首相は9月28日、臨時国会の冒頭で衆議院を解散しました。
学校法人森友学園への国有地格安払い下げ疑惑、学校法人加計学園の獣医学部開設疑惑については、解明されないまま通常国会は閉会しました。
野党は、憲法53条(「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」)にもとづき6月22日に臨時国会の召集を要求し疑惑の徹底究明を求めました。これを受けて臨時国会を召集したのであれば、まずこの討論を行うのが順序ですが、3ヶ月以上放置したまま冒頭で解散することは、疑惑隠しを狙ったものであり憲法違反であると言われてもしかたがありません。
その上、世論調査で内閣支持率が持ち直してきていることや、野党の選挙体制ができあがっていないことを理由に解散したとしたならば、職権の乱用に他なりません。
また、憲法が定める衆議院解散の条件は「内閣不信任案の可決」と「信任決議案への否決」に対する対抗措置のみです(69条)。首相の解散権の根拠に天皇の国事行為を定めた憲法7条(「衆議院の解散」)をもってきていますが、天皇への「助言と承認」を行うのは「内閣」であり、首相の専決事項ではありません。
税経新人会は、「憲法にもとづく国民の諸権利を擁護することを使命」(会則)としています。総選挙では、憲法の応能負担原則に反する消費税増税(2019年10月)、9条への自衛隊明記を含む憲法改正も重要な争点になると思われます。臨時国会冒頭での解散は憲法上問題があることを指摘するとともに、総選挙で有権者の良識ある判断が示されることを期待します。 |