今年の全国研究集会は、山口県の下関で9月8日、9日の日程で開催されました。第1日目は海峡メッセと下関生涯学習プラザ分かれて、5つの分科会が行われました。18時の懇親会に続いて、20時30分より交流会が開催されました。2日目は同じく海峡メッセにおいて、記念講演を拝聴したのち、全体会が行われました。研究集会全体の参加者は250名を超えました。
第1日目
分科会の会場はJR 下関駅から歩いて7〜 8分と便利な立地にありました。
今年は5つの分科会と新たな試みとして、ご家族と職員用に観光ツアーも用意されました。東京羽田発の飛行機が遅れるというアクシデントがありましたが、各分科会は予定通り12時より受付を開始し、13時より開催されました。
各分科会の内容は、以下の通りでした。
東京会I 「税理士法〜憲法から考える税理士のすがた〜」
東京会II 「相続税務における財産評価」
大阪会 「ふるさと納税の考察」
神戸会 「国税通則法改正と基本的人権」
九州会 「自然災害から学ぶ〜熊本自身を体験して〜生活 平和 安全から考える」
各分科会とも、報告者から貴重な研究発表がなされ、活発な質疑が行われました。
18時から行われた懇親会は、中村聡実行委員長の挨拶により始まりました。
戸谷隆夫前理事長の挨拶に続き、来賓の全国青年税理士連盟会長である森智之様、翌日に記念公演を頂く松下孝幸先生より祝辞を頂戴しました。乾杯は中国税経新人会会長である山本充会員がおこないました。
懇親会終了後は、希望者による「税務調査質問応答記録書への対応」をテーマに、土屋信行新理事長を座長として交流会が行われました。 |
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第2日目
記念講演
全国研2日目は、海峡メッセ9階の海峡ホールにおいて、特定非営利活動法人人類学研究機構の理事長である松下孝幸先生をお迎えし、「人骨から日本人のルーツと未来を探る」と題した記念公演が行われました。松下先生は40年間に渡り人骨の研究をされているそうです。
(1)はじめに
まず、日本人のルーツを考える場合には、東アジアのスケールで考える必要があって、土器や石器を調べても作った人の姿が見えなかったので、直接人骨を調べることとしたそうです。ただし、人骨は土器や石器に比べ保存状態が悪いものが多く、作業は困難を極めたことも少なくなかったようです。
また、過去の事ばかり調べて、未来のことも考えないと社会に貢献できないと考えられ、最後に人骨から見た日本人の将来の姿についての研究も行っているとの事でした。
松下先生は、骨は恐怖に陥れる材料として使われがちだが、骨が健康でなければ生きていけないこと、義務教育が心や体の働きについて学んでいないことなどを挙げ、骨から何がわかるかということについて、知っておく必要性があることを述べられました。松下先生が1989年に初めて人骨からDNA(有機物)の抽出に成功したことによって、現代人はアウストラロピテクスや北京原人などとは直接つながっていないことが判ってきているとの事でした。
(2)日本人のルーツと先祖の特徴
日本人の先祖が日本に来たのは、3.5〜 4万年前までは遡れるけれども、それ以上はまだこれから研究しなければならなく、また、沖縄人のルーツが全く分からないとのことでした。遺跡などのスライドを多用し、解り易い解説が行われました。
松下先生が研究されている土井ヶ浜遺跡は、1953年の第1次発掘調査から発掘が開始されました。人骨がよく残っている遺跡として知られているようです。土井ヶ浜遺跡では顔の向きが全部西(海)を向いて埋葬されていることや、男性の身長は163cmで 女性150cmで高身長であったようで、これは戦後まで男性も平均160cm超えないことからすると、戦後に男子の平均身長が171cmとなったことは大きな成長であるが、これも30年変わっていないことから、人骨の視点からは、これ以上日本人の平均身長は伸びないと考えられているようです。
九州や山口で発見されている弥生人は、縄文人と顔の特徴が全く異なっており大きく3つのタイプに分類できるようです。実は弥生人の人骨は8割りが山口より西で発見されており、関西と北海道で1割ずつ発見されているが、その他の地域からは発見されないため分からないことが多い。日本人には2つのルーツがあり土井ヶ浜弥生人のルーツは中国大陸にあるようで、松下先生が実際に中国に人骨を見に行ったところ、やはり似ていたそうです。
(3)現代そして未来の日本人
次に未来の日本人についてお話しされました。日本人は将来美しくなるかというと、総論では美しくなるとのことでした。一方で、短命化を心配しているとの事です。若者に見られる危険な兆候の一つとして、顎が小さくなっていること、乱杭歯(らんぐいば)の人が増えてきていることを挙げていました。歯を一本抜くと寿命が2〜 3年縮むといわれていることから、しっかり咀嚼して唾液を出すことが必要だと注意されていました。永久歯が欠損している子どもが10人に1人いる現状が2005年に報道されて以来、その傾向は改善しておらず、楽観視できないとの事。硬いものをたべたり、20分以上かけてゆっくり食べたり、また形のあるものを食べたりすることの重要性を指摘されました。
また、今の若い人の足は細くて長いが、歩かないためであり、足腰が弱いと指摘されました。
最後に食文化を取り戻すことの重要性について述べられました。「貯筋」や「貯骨」を若い時にやった人が長生きできることは明らかであり、これのない若い人には難病などが多発したり、アレルギー症状が出たりしているとの事です。複合汚染にさらされているのが原因ではと考えられているようでした。
研究で分かったことは、人間はあらゆる環境の影響を受け、骨にも変化が現れるのだから、本来の生活を取り戻すために全ての環境を見直して再構築することが求められるとの事でした。 |
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全体会
午前10時50分より、松田前副理事長の進行により全体会は開始しました。まず戸谷隆夫前理事長から開会の挨拶があり次いで会場発言へと移りました。
戸谷前理事長からは、安全保障の話しから始まり、新たな脅威となり得る共謀罪や通則法に取り込まれた扇動罪、最近問題化が加速している滞納処分の問題や、東京都議選の結果から見た世論の風など、最近のトピックスを中心に新人会が今後取り組まなければならないものを示してくれました。
名古屋会 富田偉津男会員
最近出された国税庁の質疑応答事例、これに基づきNPO 法人がこれに基づいて課税された。
健常児は非課税、障がい児福祉事業は請負であり課税されている
実態など多くの問題があり、新人会としても取り組まなければならないのではないか。
東京会 湖東京至会員
倉敷民商弾圧事件、国税通則法について倉敷民商事件は税理士法違反で、最高裁に上告中であるが、 税理士法違反で弾圧をするのはおかしい。税理士法では名義貸しを禁ずるものであり、これを弾圧の材料とするのは無理ではないか。また期ズレで法人税法違反も本来無理。
そこで、今後は扇動罪でやるように切り替えていると思っている。通則法を弾圧立法としたのではないか。一罰百戒で必ず誰かをやるだろうから、通則法126条廃止の運動が必要だ。
沖縄会 前川敏充会員
54回研究集会が沖縄で開かれる。実行委員会をすでに4回開催している。
多くの参加を期待している。税経新報で沖縄での全国研の案内をしていくので皆さん参加してほしい。
会場発言終了後は、特別決議案の朗読 が行われ、下関全国研究集会実行委員長の中村聡会員より「憲法改悪を阻止しよう」とする決議案が読まれ、特別決議は採択されました。 |
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7月の理事会で決定した新三役が吉元事局長から紹介された。 |