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時潮

時潮
法の正しい理解と税経新人会

副理事長土屋 信行
「3年B組金八先生」で、義務教育について「誰が決めたのか知らねえけどよ、行きたくもないのに義務だから来いなんて人権蹂躙だよ」と言う生徒に対し、金八先生が「教育を受けさせる義務、それは・・親、国、学校にあってね、・・お前は教育を受ける権利者なんだ、授業がわからなかったらね、わかるように教えてくれと君達は教師に向かって要求できるんですよ、教師はその要求に対して応えなければならない」と諭す場面があります。

当時中3の私は自分が「教育の権利者」と知って大変驚きました。当然に自分は「義務者」だと思っていました。この他にも、消費税の納税義務者は事業者(消費者ではない)など誤解されている法律は少なからずあります。

「国税局資料調査課」(佐藤弘幸著・扶桑社)という本が出版されました。OBが著者なので実態が赤裸々に描かれていておもしろいですが、「前近代的な組織」「質問検査権の教育をきちんと受けていない」「法令・通達を熟知していない者が出てくる」「無予告調査が原則」など、必ずしも法律どおりに運営されていない側面も描かれています。

「マイナンバー」の研修は各地で盛況のようです。今のところ事業主が従業員からマイナンバーを収集するのは努力義務であり、従業員が拒否して収集できなかったとしても、事業主・従業員ともに罰則はありません。収集して流出させてしまった方が重い罰則があります。しかし、こういうことよりも、処分もちらつかせながらどうやって従業員からマイナンバーを収集するかを教える研修の方が多いような気がします。

忙しさに紛れて条文を読まず、解説本で済ませてしまうとついつい違った方向に流れがちです。新通則法施行後の税務調査も変化してきています。「マイナンバー法」も施行されました。税法も複雑難解化しています。

しっかりと条文を読み、納税者の立場に立って解釈し、実践する。それらを集団的に検討して身につける。この税経新人会の基本姿勢は今後、大いに力を発揮する

(つちや・のぶゆき:関東信越会)

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