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2015年新年挨拶文
静岡会 栗原 幸夫
明けましておめでとうございます。
さて新年の題材に相応しいとは思いませんが、私たちの周りに漂う閉塞感について考えてみたいと思います。

GDPは、一定期間内における一国の経済活動全体の規模を示すものであり、人間が本来人生に最も望む幸福と健康の度合いを測るものではなく、金銭的発展度合いを測るだけの指標。人間生活の豊かさの度合いを表したものではないという批判に応え『地球幸福度指数世界ランキング』をイギリスの環境保護団体が2006年に公表したそうだ。GDPで世界第3位である日本は、2014年の幸福度による指標の順位は先進国では最下位の43位とのこと。調査の2007年から「幸福度」が上昇したのは、インドネシア、中国、パキスタン、マレーシア、ロシアと続き、『人口ボーナス』現象が起きて経済成長している国が目立つようだ。ネットで検索するといろいろな幸福度に関する指標が載っているので興味のある方は一度検索したらよいと思う。

日本の内閣府も「幸福度に関する研究報告」を載せており、切り口を三つに分け 経済社会の状況、 心身の健康、 関連性(人の繋がり)で分析している。人々の「幸福感」の要素は主観的幸福観と客観的幸福観に分けられるようだが、特に宗教を含む将来に対する価値観が大きなウェイトを占めるのではないかと感じる。選挙を引き合いに出すまでもなく今日の日本は、閉塞感が大きいと感じている。辞書によれば、閉塞感とは、『閉じふさがっている感じ。また、比喩的に、閉じふさがったように先行きが見えないさま』とされているが、要は "あきらめ" とか "無力感" が充満していることを指しているのだと思う。

国レベルで言えば、自らの利権擁護のため、最高裁の現選挙制度の違憲状態を指摘されても、二割の得票で八割の議席確保の選挙を押し通す、『身を切る覚悟』と言いつつ、政党助成金を手放さない各政党(共産党を除く)。派遣業法改正でますます拡大する格差と生活の不安定化。消費税法上の課税仕入に賃金が対象とならないため、企業経営者が税負担を免れようとすれば消費税率相当分の賃下げをせざるを得ない、外形標準課税も同様だ。本来中立的であるはずの為替さえも無理矢理円安の方向へシフトさせようとし、その結果輸入インフレとなり中小の企業も労働者も大変な状況だ。

まあ世間にはいろいろなところで不公正なことがあると思うけど、世の中は進歩していると信じつつ、納税者の権利擁護と税理士の自主性確保の一助として今年もがんばってみようと思う。

(くりはら・ゆきお)

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