論文
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東北会から現況報告
東北税経新人会 佐々木 正彦
直近の新人会東北の例会に、入会後10年近くなる会員が、初めて参加しました。報告は、驚きと感動、ビックリの連続でした。彼が、農事組合法人に関与していることは、4、5年前の新報にも掲載されています。私たちが接する農事組合法人は、組合員が10人程度で、農業の増産が奨励されていた頃に出来たもので、その後も細々と続いているというのがイメージでした。ところが、彼が関与しているのは、組合員が数百人という大規模なものもあり、町村合併前の旧自治体の規模に近いものということでした。彼は今、地域でこのことに精通した数少ない税理士として、農民、農協はもとより、県も含めた地域自治体から、大きな信頼を得て忙しくとびまわっています。

稲作と言えば、品種改良、耕作技術の進んだ今日では、いずこも美味しい主食米の生産と思っていましたが、彼の地域で作っているのは、家畜用の飼料用米というのも驚きでした。TPP でも入ったら破綻してしまい、そうなると、地域社会も大変ということです。

東北をめぐる経済状況は極めて複雑で、困難もあります。福島の原発事故の被災者は、故郷に帰るあてもなく、県内はもとより県外にも多くの人が避難しています。帰宅ができても、そこに帰って農業をするわけにもいかず、人がいないところでは、商売をすることもできません。生活を支える「生業」が、根底から破壊され、その復旧の見通しもありません。一方で、停止中の原発の再稼動が進められています。「一度ことが起ったら、原発と住民の生活は両立できない」という判決もあり、現状はその通りに進んでいるのにです。

宮城、岩手の津波の被災地では、破壊された建物の撤去こそ進んでいますが、それ以上のことは、あまり進んでいません。「地域創生」を自玉政策とする総理は、「東北の再興、再建が何よりも優先」と、この地に足しげく通いますが、何の前進もありません。

東北新人会は、これまで、全国税のOB 税理士を中心に組織され、他への働きかけは不十分な傾向にありました。これまで、40代で退職して開業する人あり、定年退職、即開業という人ありで、それなりに、組織としても活気を維持してきました。ところが、退職金、年金等の相次ぐ改悪と最長5年の再任用で、OB で開業する人は、激減しています。特に、被災3県では、生業の回復が遅れ、容易ならざる状況もあります。このような中ですが、新しい層への働きかけを強め、組織の拡大に頑張っていきたいと考えてます。

(ささき・まさひこ)

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