論文
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2014年の振り返りから2015年の抱負へ
沖縄会 嘉陽 宗一郎
新年号の原稿ではあるが、これを書いているのは12月なので、抱負の前にどうしても2014年を振り返ってしまう。そこで、2014年の振り返りから始めて、2015年の抱負につなげていきたいと思う。

2014年のニュースを振り返ってみると、消費税増税のこともあるが、直近ということもあって、やはり選挙のことが頭に浮かぶ。特に私の住む沖縄では、1月、辺野古を抱える名護市の市長選に始まり、11月には天王山の知事選、それに伴う那覇市長選、県議補選、那覇市議補選があった。12月には、突然の解散に降って湧いた衆院選とまさに選挙イヤーだった。いずれの選挙においても、(濃淡はあったが、)普天間基地の辺野古移設が争点となり、補選で一部例外はあったものの、ほぼすべての選挙で移設反対の候補者が当選した。県民の移設反対の民意ははっきりと示されたといえる(また、知事や県選出国会議員が当初の移設にかかわる公約をひっくり返したことに対する県民の意思表示がなされたという点で、大げさかもしれないが民主主義の在り方が問われた選挙だったともいえるが、この点については高良会員が別稿で触れてくださると思う)。

一方、全国的な視点から衆院選について言えば、TPP、震災からの復興、集団的自衛権にかかわる閣議決定による憲法解釈の変更、原発の再稼働、特定秘密保護法の施行、一票の格差の問題、そして普天間基地の辺野古への移設問題を含む安全保障など議論すべき問題はたくさんあるはずなのに、もうすでに決まったことだといわんばかりにさしたる論争もせず、あっという間になし崩し的に終わってしまった。

私は、政治は、最終的には多数決で決まるものの、その過程の中で活発な議論が行われることによって、建設的な妥協や合意が形成されていくのが健全な在り方だと思っている。そこには、存在感のある野党は不可欠である。その意味では、今回のほぼ与党一色の衆院選の結果に、やはりチルダイしてしまった(「チルダイ」とは、沖縄のことばで「失望・落胆・放心・がっかりして体中の筋がだれる」というくらいの意味)。野党の主張はもちろん、少数者マイノリティの声はもっと届きにくい。

私たち一人一人は常にマジョリティ(多数派)であると同時にマイノリティである。自分はマイノリティだと思っていても見方を変えればすぐにマジョリティになる。そして、マジョリティに属した途端、私たちは無関心になってしまう。また、マイノリティに置かれた状況にあっては、どうせ声を上げたって届かないと無気力になってしまう。私は基地の負担に苦しむ沖縄県民であると同時に障害もなく生活保護も受けていない。沖縄には原発もない。

そのとき、必要になるのは、想像力と希望なのだと思う。「もし自分が福島県民だったら・・・」「もし自分が大病を患ったり、障害を抱えることになったとしたら・・・」「本当の意味の民主主義国家ってどんな国なんだろう・・・」。ふとした時にちょっと考えてみる。また、失望はしても絶望はしない。今日一日自分にできること、目の前にあることに精一杯取り組み、それをコツコツと続けていく。こういうことを2015年の抱負にしたいと、これを書きながら思った。

それがたとえ小さな取り組みであっても、思いを同じくする人とつながり、次代に引き継がれ、いつかは実を結ぶと信じている。

(かよう・そういちろう)

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