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法人実効税率と大企業優遇税制 |
埼玉会 菅 隆徳 |
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日本企業のグローバル化の進展を総括的に示したものが(図表)だ。日本の海外現地法人の売上高は、2003年度からほぼ倍化して2010年度には9,299億ドル(1ドル=100円とすれば、GDPの約2割前後の水準)に、そして従業者数は234万人から358万人へと1.5倍化した。
この間、日本のGDP(国内総生産)は、名目でも、実質でも2007年をピークにマイナスを記録している。製造業の国内雇用者数は、ピーク時の1992年から500万人減少している。生産面でも、雇用面でも、日本のグローバル企業の成長は、国民経済の発展につながっていない。
1970年代初頭までの高度経済成長の時代には、国内市場の拡大を基礎に大企業の成長が国民経済の拡大を主導した。この関係は、輸出大国化、バブル経済の1980年代を経て1990年代半ばまでは、円高不況によるリストラの横行を伴いながらもかろうじて継続されてきた。しかし、巨額の貿易黒字を生み出してきた一握りの輸出関連の大企業が、1990年代半ば以降本格的にグローバル企業化することによって、この基本線が崩れだした。グローバル企業の成長は産業の空洞化、国内での雇用破壊、賃金切り下げを通じて国民経済の発展の阻害要因に転化してきた。 |
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