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時潮

時潮 日税連の存在意義とは
事務局長 吉元 伸
税理士法改正を含む「所得税法等の一部を改正する法律案」が3月20日成立し、日税連の今回の改正運動は終結をむかえた。今回の税理士法の改正に至るまで、平成23年度、24年度、25年度と立て続けに、税制改正大綱に文言は異なりながらも税理士法改正について記載されていたが、ついに平成26年度の税制改正で納税環境整備の一環として成立を見た。

1.迷走する日税連の改正運動

日税連は、他資格者からの税理士登録が増加する傾向に危惧し「税理士資格」の自動付与制度の廃止を今回の税理士法改正の中心課題に据え、改正運動を展開。「税理士として必要な能力が担保されていない者に資格を付与し続けることは、国家資格としての税理士の根幹を揺るがす問題であり、(中略)適正な申告納税制度の崩壊に繋がる・・・」(『税理士界』平成25年9月号)と資格自動付与廃止に強い決意を示した。国民・納税者に対しても新聞全面広告で「日本の未来のために税理士法改正を」と訴え、会員税理士に対しては「自動付与廃止は(公認会計士や弁護士との)業際問題ではなく制度問題」として主張の正当性を伝えていた。

ところが昨年秋ごろ、改正案の具体化を目前にして突如、公認会計士協会と協議を開始することとなる。その背景には自動付与を既得権益として手放さない公認会計士協会の強い反対があり、このまま推移すると税理士法改正法案そのものの維持が危ぶまれる事態になることが予想されるに至ったことがある。

しかし、両者の協議は平行線をたどり、両者間の交渉が一向に進展しないと見るや自民党の税理士制度改革議員連盟会長及び公認会計士議員連盟会長を仲立ちに依頼し、新たな枠組みでの協議を再開することとなる。時間も押し詰まってくる中、自民党税理士制度改革議員連盟会長である町村議員の「最低限自動資格付与ではないようにすることを目指し」双方が協議を重ねた結果、合意が成立し確認書を取り交わすに至った。その合意内容は税理士資格の自動付与について、公認会計士について次のような研修( 実務補習団体等が実施する税法に関する研修。 指定する研修は、税法に属する試験科目の合格者と同程度の学識を習得することができる研修とする。)を履行した者に制限をすることとした。

しかし、この自動付与の形式的な廃止は、研修の受講のみで税法の合格者と同程度の学識は到底望むことはできず、日税連が強く望んでいた「税務に関する専門性を問う能力担保」には程遠い内容であり、実質的な自動付与の存続を残した結果となった。

さらに、その確認書の中には「 税理士法第3条に関して更なる見直しを求めない。」との記述があり、この実質的な自動付与を将来にわたって確約した内容で、これは譲歩というよりも「わび状」の差し入れに近い様相を呈している。このような帰結は、日税連が今回の資格自動付与の廃止を業際問題ではなく制度問題と訴えていたにもかかわらず、自ら公認会計士協会との業際問題に落とし、尚且つ今回の日税連の改正運動は当初の理念と大きくかけ離れ、内容も惨めな結果に終わった。この間の日税連の行動は多くの問題点を残す結果となった。

2.問われる日税連の独立性

日税連は税理士法改正の準備段階で、国税庁と財務省との「勉強会」を繰り返し行ってきた。その「勉強会」を持つ理由を次のように言っている。「財務省主税局は税制の立法の準備をするところで、一義的には税理士法は主税局が立法準備をすることになります。国税庁は法律上、日税連の監督権を持っていますが、主税局との関係では国税庁は要求官庁。税理士業務や日税連・税理士会のことを日税連から聞いてその改善等を主税局に要求する機能を持つ官庁です。勉強会はこのように税理士法に関する密接な諸関係を重く見てこの三者で構成されているわけです」(『税理士界』平成25年6月号「税理士法改正に係る研修会講演録」

日税連の税理士法改正の基本戦略は、この間一貫している。行政との友好な協力関係を築き、その中で税理士会に有利な法案の立案を引き出すことである。行政との友好な関係維持のためには、行政が税理士にどのような「期待」をしているかを先読みし、その「期待」に沿うための努力も惜しみなくしなければならない。今回改正項目にあがった租税教育の取組の推進にもそのことが垣間見える。平成23年に文部省・総務省・国税庁を構成員とした「租税教育推進関係省庁等協議会」から日税連の租税教育の取り組みが高く評価され、賛助会員に参画するまでになっている。この実績とあいまって自ら改正項目に「租税教育の推進」をピックアップし、これからも租税教育に邁進することをアッピールしている。そのほか「税務支援への従事義務化」は今回の改正案からはずれているが、これなども同様である。

行政にすり寄って得られたものは何があったのだろうか。日税連はこのみじめな結果を猛省し、行政から真に独立した組織に自ら変えなければ日税連の存在意義はない。

(よしもと・しん:千葉会)

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