リンクバナー
時潮

時潮 春爛漫?
副理事長 武本 康夫
確定申告も終わり桜の季節となり漸く春らしくなってきました。この季節、毎年のように花粉症との戦いがはじまります。目の痒みから鼻水と私にとって1年で一番いやな季節です。

世の中は4月からの消費税アップにともなう駆け込み需要に売上を伸ばしています。私の知り合いも今期は増収、増益で嬉しい悲鳴を上げていますが、来期の事を考えると喜んでばかりはいられないとのことです。何故なら駆け込み需要のおかげで次期の受注残が少なく、どうやって資金繰りをするかを今期の多額の納税資金とともに頭を痛めているそうです。

世界に目を向けると、冬季オリンピックで華やいだロシアで、隣国のウクライナでの国内の混乱の陰で、クリミア地区のロシアへの編入決議など、好転の兆しが見え始めた日本の経済にも大きなダメージとなりそうです。日本の安倍首相は親ロシアの外交政策で中国をけん制し、アジアでの外交の柱としてきましたが、この局面にどのように対応するか、日本にとって難しい判断を迫られることになりそうです。もとより日本は外交は二流、三流国と言われています。アメリカ、欧州と歩調を合わせた外交政策をとるのか、日本独自の方針で対応するのか、注意深く見守っていきたいと思っています。また仏教の国タイでも国内で混乱が生じています。今までのイメージでは温厚で礼儀正しい仏教の国という感覚でしたが大きく崩れてしまいました。

それにしても今の日本は平和です。これは日本では貧富の差が大きくなく、食べる事に困る人が少ないことに起因するのではないでしょうか?昔から「衣食足りて礼節を知る」ということわざがあります。確かに政情不安、治安の悪い国は概ね貧富の差が大きく、失業等により生活面への不安が必ずあります。

日本はどういうわけか1億総中流と言われたようにそのような要素は今の所、見当たりません。そんな平和な国で国民の関心の一つである消費税ですが、現状の国家財政を考えると税収を増やすためには、仕方がないのではという思いが全体的な雰囲気となっています。今回の8%の改訂は消費税率10%にするための途中下車の税率ですが、ここにきて8%に上げて日本の経済が失速してGNPが落ち込み円安によるインフレが加速すれば10%の話は飛んでしまうかもしれません。10%になって欲しいとは思いませんが、10%に出来なかったことの方が逆に心配です。

平和と言えば先日行われました大阪市長選挙は投票率25%を切る低い投票率・・・争点がなく対立候補と思われる立候補者もなく盛り上がりに欠けた選挙ではありましたが、政治に対する期待感、無関心の表れと思います。

国会に目を向けると「憲法」が中心となっています。安倍首相は憲法改正の前に「憲法」の解釈を変えようとしています。集団的自衛権での武力行使が可能とする解釈でありますが、内閣法制局長官の人事を従来の内部昇格から安倍首相が自ら選任した長官をすえて行うなど自民党内部からも批判を浴びています。我々が日々携わっている税法でもその解釈が変わるものではない。判例が出て通達により解釈が追加されたりすることはありますが、大きく違う解釈になることはありません。まして憲法ではやってはいけないことだと思っています。解釈の変更をするのであれば堂々と憲法を改正する法案を国会に提出し議論し賛否を取ったうえで国民投票すべきであると思っています。

別の紙面でも書いたことですが、「憲法」は国民が国家を縛る法律であり他の刑法や民法とはまったくその性質が違うものです。従って憲法には国民の義務の規定は本質的になく、日本の憲法に納税の義務といった項目があるのは世界的に見ても少数派であると言われています。

昨今、我が業界で声高に言われている租税教育でありますが、その時間をまず子供たちに憲法を学ぶ時間にあてることの方が大切なことのように思います。

この原稿が税経新報に掲載されるころには、消費税は8%となり、満開の桜の下で花見をしながら楽しんでいることだと思いますが、何かスッキリしない春爛漫となりそうです。

(たけもと・やすお:神戸会)

▲上に戻る