論文
> 特集 地域会からの新年の挨拶 目次
東北会からのご挨拶
東北会会長 中川 俊昭
全国の皆さん、新年おめでとうございます。
これまでのご支援に感謝するとともに、今年もみなさんとともにがんばっていきたいとおもっています。

今年の3月11日が来ると、東日本大震災から満3年目ということになります。東北の場合、この大震災からの復興ができたのでしょうか。太平洋沿岸の方に行ってみると、いまだに一面荒野のような風景が広がっていて、復興は遅々として進んでいません。また各地に仮設住宅の生活がそのまま続けられております。宮城県の場合は、被災者の医療費自己負担分への補助が国・県・市とも昨年3月完全に打ち切られました。東北全体としては、建築費の高騰・建築資材の不足等により、二重三重に負担が強いられています。それに加えて、安倍内閣の増税ムードが加重されて、被災地の経済は見通しがつかない状況です。
池田善治郎会員を悼む

2012年1月号特集「地域会からの提言」の中で、「完全勝利の裁決を勝ち取った」福島の池田善治郎会員を紹介しましたが、その池田会員が、昨年9月8日に亡くなられました。

平成25年1月14日付国税速報第6247号に、最新裁決例紹介「配偶者の相続税軽減規定の適用に隠ぺい仮装はないと判断された事例」として掲載されました。以下引用します。

この事例は、相続人である配偶者が、配偶者名簿の有価証券等を相続財産に追加して修正申告したところ、税務署長が、その有価証券等を当初申告に含めなかったことは相続税法19条の2(配偶者に対する相続税額の軽減)5項に規定する隠ぺい仮装行為に当たるなどとして、更正処分及び重加算税の賦課決定処分を行ったものである。これに対し請求人(配偶者)は、配偶者名義の財産が相続財産であると認識していなかったために当初申告に含めなかったのであって、隠ぺい仮装行為はなかったとして処分の取消しを求めた。

審査請求の審理において、税務署長側は、請求人は亡夫の財産を原資とする多額の配偶者名義財産が存在すること及びその財産が亡夫の相続財産であることを熟知していながら、税理士にそれを伝えず、税理士に過小な申告額を記載した申告書を作成させたから、隠ぺい仮装行為があったと主張した。

しかし、国税不服審判所は、隠ぺい仮装行為はなかったとして、更正処分及び重加算税の賦課決定処分の全てを取り消している。その理由について、国税不服審判所は、1.配偶者名義財産が明らかに亡夫に帰属する相続財産であると認識していたとは認められない、2.税理士から配偶者名義財産に係る資料の提出依頼を受けておらず、税理士に説明しなかったとしても、過小申告の意図を持って秘匿したとはいえない、3.税務調査時の請求人の言動を記録した税務調査報告書が、応答の日から数か月経過した後に作成されたものであり、請求人に虚偽の申述や調査非協力の事実があったことを直ちに認めることはできない、と述べている。

この裁決は、税務署長が隠ぺい仮装行為の認定の根拠とした事実を中立的立場で検討した上で、隠ぺい仮装行為はなかったと判断したものであり、十分に納得できる結論である。また、税務調査報告書の作成時期やその根拠資料という証拠の面からも検討を加えており、この点は注目される。この裁決はまさに適正、公平な判断と認められ、国税不服審判所に対する納税者の信頼をより高めることになると思われる。

亡き池田会員の話によると、担当調査官は調査中、重いもの(重加算税)になりますよと、脅迫し、抗議すると認識の違いだとして取り消さない態度だったという。

池田会員の粘り強い取り組みは、私たちの模範です。

(なかがわ・としあき)

▲上に戻る