新人会会員の皆様、税経新報読者の皆様、明けましておめでとうございます。
今年は全国協議会創立50周年、9月には第50回東京・浅草全国研究集会が開催されます。研究と提言、運動を大いに広げるとともに、組織の拡大強化に取り組み史上最高現勢で全国集会を迎えましょう。
税経新人会にとって新たな胎動の年にしようではありませんか。
社会の動きに新たな胎動が
昨年は、特定秘密保護法の強行採決、国家安全保障会議(日本版NSC)の設置、米軍普天間基地の移設問題での自民党沖縄県連の公約撤回、消費税の8%引き上げ決定、そして高齢者に負担増を求める社会保障改革プログラム法の強行採決、生活保護受給手続きを厳格化する生活保護法「改正」など、きな臭い動きと弱者切り捨ての政治が押し進められてきました。
しかし、平和と民主主義を求める声、新自由主義・構造改革の推進に反対する国民の声・運動が新たな広がりを示し、この国のあり様を根っこから変える動きになりつつあるのではないでしょうか。特定秘密保護法と消費税問題を通じて考察してみたいと思います。
特定秘密保護法の廃案を求めた世論
国会で同法案の審議が始まるなか国民の反対の声は急速に広がり、日本弁護士連合会、日本新聞協会、日本ペンクラブをはじめ学者、研究者、文化人、宗教界、市民団体など多くの団体と個人が思想信条の違いを越えて反対の声を挙げました。
「秘密保護法案は、国家安全保障会議と合わせて、集団的自衛権の行使を認め、米軍と一緒に戦争ができる国にするためのものです」(鳥越俊太郎さん)、「秘密を決めるのは官僚と政府だけで、政治家は与党も野党もみんなカヤの外」(高村薫さん)、「例えば原発反対のデモを行うとする。デモのための打ち合わせをして、……規模はどのくらいにするかを決める。もちろん、整然としたデモを行うわけだが、警察がその気になれば、こうした当たり前の活動さえも、テロ防止と結びつけられなくはない。いやむしろ、積極的に結びつけようとするのではないか。要するに、公安警察が狙っているのは治安維持、いや治安強化であり、その対象はほかならぬ、日本国民全般なのである」(田原総一朗さん)、「こんな法案を成立させようとする政府が、憲法に背いて日本を『戦争する国』に仕立てようとしているとしか思えない」(瀬戸内寂聴さん)などなど。
国会でこれらの声に応えた質問を行ったのは日本共産党ぐらいでしたが、全ての野党がこれらの声に応える本質に迫る質疑を行っていればこの法案の結果も変わっていたかもしれません。
保守二大政党制が崩壊し保守多党制のもとで圧倒的多数を占める自民党がこの問題で国会会期延長をせざるを得ないなど国民の声に追い詰められたことは、今後の日本の政治・経済が安倍総理の思い描く新自由主義・構造改革の再起動(アベノミクス)、改憲、軍事同盟強化の新戦略にも大きな障壁となるのではないでしょうか。
消費税の8%への引き上げ決定
一昨年暮れの総選挙で政権を奪い返した自民党は、昨年7月の参議院選挙でまたも大勝し「ねじれ国会」を解消しました。衆議院選挙勝利後、安倍首相が来年4月(今年4月)からの消費税8%への引き上げを公言するかと思っていましたがその気配はなく、参議院選挙でも「景気の動向を見て判断する」と引き上げに慎重な姿勢を見せました。
参議院選挙後も有識者60人に意見を聞く「集中点検会合」を開き、予定通り引き上げるのか、1%ずつにするのか、それとも全て先送りするのか、セレモニーではあるが「民意を聞いた」ことにしました。
財界、財務省は消費税引き上げに執念を燃やし、マスコミはその応援団に身を落としたにもかかわらず、消費税引き上げ慎重論が、安倍政権内で一定の力を持っていました。これは、消費税引き上げ反対の根強い世論を前に、安倍政権の維持・存続という統治目的が重視されたことのようです。
「安倍は、消費税増税派と側近の統治の利益を考慮して苦慮したが、支配階級の圧力に抗しきれず、消費税引き上げに踏み切った。東京オリンピック招致の決定にともなう、経済効果論が湧き上がるどさくさに紛れての決定であった」(渡辺治著「安倍政権の改憲・構造改革新戦略」より)。
新たな胎動に応えて
昨年の「きな臭い動きと弱者切り捨ての政治」は、これまで続いた安倍政権の高支持率が崩壊する潮目になると思います。
TPP問題、原発問題などもあり、「保守的な人々」、「革新的な人々」、「中立的な人々」も含め様々な分野で共同の取り組みが始まり、平和と民主主義を守り、歴史の歯車を前に進める動きが広がるのではないでしょうか。
税理士業界では消費税増税問題を中心とした税制問題、新国税通則法のもとでの予想外(?)の「行政指導と机上調査」などの税務行政の問題があり、あるべき税制と税務行政について引き続き提言・対案を示し税理士業界や中小企業に伝えていくことが求められています。また、税理士法改正問題では資格取得に関する規定で「お茶を濁すような改正処理」が行われようとしているようですが、納税者の権利を擁護する代理人としての立場を明確にする改正を引き続き求めて行きましょう。
そして、税経新人会を大きくしましょう。 |