自民党圧勝をどうみるか 7月21日に投票が行われた第23回参議院議員通常選挙の結果について、テレビの速報や翌日の新聞報道は「自民党圧勝」「衆参ねじれ解消」と大々的に報じたが、詳しい数字をみていくと決して盤石なものではないことがわかる。自民党は改選議席121のうち65議席をとり議席占有率では53.72%と単独過半数を超えるが、得票率でみると選挙区は42.76%、比例区では34.68%にすぎない。加えて、投票率は52.61%と過去3番目の低さで、前回より5ポイントも下げている。有権者の半分しか投票に行かない低い投票率の中、議席数の過半数を獲得したものの、国民の支持は4分の1に過ぎなかったのである。 その中で朝日が22日社説で、「両院制した自公政権―民意とのねじれ恐れよ」という見出しで、政府の憲法96条改定や原発再稼働について、世論調査では反対の声の方が上回っていると指摘したのは的を射ていると思う。 『米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は22日付社説で、「安倍首相は自身の右翼的外交見解が承認されたものととるべきではない」とくぎを刺し、安倍政権の経済政策を支持しTPP(環太平洋連携協定)をてこに「改革」を推進するように主張。一方、消費税の税率アップは「少なくとも景気回復が確固としたものとなるまで」やるべきではないとしている』(7月24日付赤旗)。海外メディアにとっても安倍政権は要注意なのである。 選挙後の政治課題は私たちの生活に直結するものばかりであり、政権与党の暴走に歯止めをかけるために声を上げていくことがますます重要になってくる。 なお、自公以外では、民主党は国民の信頼を大きく失い結党以来の最低議席数となり、維新の会は橋下発言で正体をみせつけられた有権者が敏感に判断し、みんなの党は消費税も原発も明確な反対ではなく改憲派であることで票は伸びず、これら野党への不信はその投票の受け皿として共産党へと向かい、同党は改選3議席から 8議席へと大きく伸びる結果となった。以下、重要課題3点について述べることとする。