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時潮

第50回全国研究集会を最高時現勢で迎えよう!
理事長 清家 裕

新年おめでとうございます。今年も元気で楽しく、新人会活動をやりましょう。
全国協議会はここ数年、「会員拡大・新報読者拡大を常に念頭に置き、研究の成果を会外に発信する活動」に力を入れてきました。しかし、会員を増やしても増やしても、それを上回る会員の死亡や廃業などで会員が減っています。そこで、今年度は会員減を上回る拡大の取り組みとして、記念すべき第50回全国研究集会(2014年)をめざし、会員を最高時現勢に回復することを、昨年9月の理事会で提案させていただきました。

全国の会員のみなさん、各会の最高時現勢を回復するために、会員拡大を「一緒に考え、一緒に行動」したいと考えています。ご協力の程、よろしくお願いいたします。
1.納税者が求める税理士

昨年11月4日号のしんぶん赤旗日曜版の「経営者仲間の命奪った消費税」という見出しに目が留まりました。記事は元倉敷青年会議所副理事長でビル管理会社社長の寺居勉さんの話です。青年会議所の後輩や友人、得意先の社長が相次いで自殺、その原因に消費税の滞納問題があると言います。ご自身も得意先の倒産でアテにしていたお金が入ってこず、「従業員の生活が最優先」と考え、税理士に相談したところ、その税理士は「納税第一」と言い張り、「民商みたいなことを言うな」と怒鳴ったそうです。その後、寺居さんは民商に入会されました。

また、2011年2月号の「企業実務」に「顧問税理士に対する企業の評価とホンネ」と言う記事の中で、「税理士が頼りになると感じるのは税務調査の立会のときと答える企業が多く、『調査官にはっきり反論する』税理士は頼りになり、『税務署の言いなりになる』税理士が頼りにならないとする意見が多くなっています。税理士にとっては、税務調査で手強い人物となれるかどうかがカギのようです。」と指摘しています。

納税者は納税者が置かれている状況を本質的に深く理解し、納税者に寄り添ってくれる税理士を求めています。税務調査では納税者の権利を擁護する代理人としての税理士を求めています。税理士は納税者の良きパートナーでなければなりません。
2.税経新人会が目指す税理士

税経新人会全国協議会会則の前文に、「日本国憲法は、国民主権、戦争の放棄、基本的人権の尊重、地方自治の保障など民主主義的原則をうたっている。しかし、いろいろな面においてこれら民主的原則が、ないがしろにされつつある。私たちは、自らの職業を通じて、憲法にもとづく国民の諸権利を擁護することを使命と考える。」と定め、憲法にもとづく国民の権利を擁護する立場から、(1)税制、税法、税務行政及び会計制度の民主化、(2)租税及び会計に関する専門家の自主的で民主的な諸制度の確立、(3)租税及び会計に関する専門家の社会的地位と専門能力の向上をはかることを目的に活動しています。この理念と目的に従って、「新人会税理士」と呼ぶべき多くの会員が、全国で納税者に寄り添い、納税者の権利を擁護するための役割を果たしています。

私たちはこの理念と目的を十分に発揮するために、税理士法第1条(以下、第1条という)の改正を求めてきました。現在の第1条は「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念に沿って、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」と定め、納税者からの独立を求めています。

しかし、納税者は納税者からの独立ではなく、複雑難解な税法を納税者に代わって見極め、納税者が適法な申告・納税が完結できる手助けを、また、強大な課税当局と税務調査などで対等な立場で対峙してもらえる税理士を求めています。したがって、税理士に対する納税者の求めと第1条の「独立した公正な立場」とは相容れないのです。

税務調査の現場において、税理士は「独立した公正な立場」に縛られ、納税者の権利を擁護する立場に立てず、税務署寄りの立場に立ち、納税者に「税理士さんは税務署の味方ですか、納税者の味方ではないのですか」とさえ言われる場合があります。また、税務署主催の確定申告相談会場に税務支援と称して、税務署の受託事業(下請事業)で納税者の確定申告相談に従事する税理士は、納税者の目には税務署の下請に使われている専門家と映っている筈です。

国民・納税者のための税理士制度を本当に実現するためには、「独立した公正な立場」の文言を削除し、日本税理士会連合会(以下、日税連という)が1972年に機関決定した「税理士法改正に関する基本要綱」で、「(1)税理士は、納税者の権利を擁護し、法律に定められた納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。(2)税理士は、前項の使命にもとづき、誠実にその職務を行い、納税者の信頼にこたえるとともに、租税制度の改善に努力しなければならない。」と定めた第1条の文言に改正する必要があります。

私たち税経新人会は日税連の「税理士法改正に関する意見(案)」(2010年5月31日付)に対し、いま改正すべきは第1条であることを強く求めました。しかし、日税連が昨年9月26日に機関決定した「税理士法に関する改正要望書」は、現在の第1条を前提にした「改正要望」になっています。これでは、国民・納税者の求める税理士制度は実現できません。
3.「新人会税理士」を増やそう!

国民・納税者が求める税理士は、税経新人会の理念と目的を基本に、納税者に寄り添い、納税者の権利を擁護する「新人会税理士」です。国民・納税者の求めにフィットする「新人会税理士」を大いに増やそうではありませんか。また、会員拡大につなげていくために、「税経新報」読者も大いに増やしましょう。

(せいけ・ひろし:大阪会)


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