論文

第48回名古屋全国研究集会
分科会・懇親会・記念講演そして全体会
編集部 清野 智江
第48回全国研究集会は名古屋で2012年9月7日(金)・8日(土)に「ウインクあいち」、「名古屋マリオットアソシアホテル」で行われました。今年のイメージキャラクターは「はち丸くん」です。名古屋市のマスコットキャラクターで名古屋開府と同じ1610年、名古屋生まれ。人とふれあうことが大好きで、名古屋をあちこち旅しているとあります。
1日目 9月7日(金)

・受付(12:00より)
分科会場のウインクあいちで受付を済ませ館内の各分科会場に向かいました。
・分科会(13:00 17:00)
 千葉会「解散・清算の実務対応」
 東京会「マイナンバー制度を斬る」
 大阪会「所得税の必要経費について」
 神戸会「日本の財政は破綻するのか」
 全国会「質問検査権と憲法が求める基本的人権の考察」
分科会
分科会
今回は5分科会と例年と比べ少なかったのですが、制度、実務問題と時機を得たテーマが並び、どこに参加するのか迷われた方も多かったと思います。内容は、新報8月号分科会テキスト並びに11月号の分科会報告をご覧ください。各会場では活発な討議が繰り広げられました。報告者の皆さん、お疲れ様でした。
・懇親会(18:30 20:30)
分科会場のウインクあいちから移動し、名古屋マリオットアソシアホテル16階での懇親会です。このホテルは名古屋駅の真上に位置し、名古屋で一番高い(お値段です)ホテルと言われているだけあり、駅構内の賑やかさから隔離されて落ち着いたとても高級感のあるホテルでした。

懇親会は、宮田直美会員の司会で開会。高見満実行委員長の挨拶があり、年に一度の交流会の開催を宣言。
懇親会
懇親会
清家理事長から以下のような2つの嬉しいことの紹介がありました。1つ目は、昨年国税通則法改悪問題で意見書を出しましたが、それを見てエヌピー通信社から原稿の依頼がきて、自分では日程が厳しかったため元理事長である関本秀治会員にお願いしたところ1日で書き上げて頂いた。新人会の名前を世間に知って頂くよい機会となった。2つ目は、福島第一原発により被害を受けた中小事業者の事業再建のために東電に対する完全賠償を勝ち取るために、税経新人会、自由法曹団、全国商工団体連合会の3団体で「福島原発被害・完全賠償請求中小業者連絡会」が2011年10月に結成された。その後、東北会、関信会、埼玉会、千葉会、東京会などの会員で活動して頂いた。このお礼に全商連より多額の寄附を頂いた。ここでも新人会を世に押しだすことができた。

次に来賓の名古屋税理士会の小川令持会長から、名古屋名物蒸し暑さでお出迎えしましたと始まり、昭和55年の税理士法改正時の東海税理士会との地域区分のこと、ミュンヘン税理士会との交流についての御挨拶を頂きました。
来賓の全国青年税理士連盟の青木久直会長の挨拶は2日目の全体会で頂戴しました。

清家理事長と来賓2名の3名での鏡割りにより第一部が終了し、第二部のジャズバンドの音楽を聴きながらの食事で全国の会員との交流を図りました。
19:30より大抽選会が開かれ、名札の上に記入されている番号での抽選でどの会の誰が当たったかがすぐ判り、スムーズに進められました。スケジュール通り20:30でお開きとなり、2次会へと名古屋の街に繰り出しました。
2日目 9月8日(土)
・記念講演(9:00 10:00)
渡辺哲雄氏による「爆笑 成年後見人制度を知るーあなたの終活宣言ー」
<イヌに生きる権利はあるか>
初めに「イヌに生きる権利はありますか?あると思う方は手を挙げてください」と問われ、ほとんどが手を挙げました。次に「ネコに生きる権利はありますか?」。再び手を挙げます。次にネコをネズミに変え、ネズミをゴキブリに変えていくと戸惑ってきます。それでも手を挙げます。「それでは蚊に生きる権利がありますか?」。手を挙げ続けます。
記念講演
記念講演
「今手を挙げている人の中で、これまで蚊の生きる権利を奪ったことのない人はそのまま手を挙げていて下さい」と問われると、誰も手を挙げていません。「ということは、皆さんは簡単に奪ってしまうようなものを権利とよんでいるのですね?」。こうしてタイトル通りの爆笑に包まれました。

<日本国憲法>
「皆さんには生きる権利がありますか?なぜ生きる権利があると思いますか?根拠を教えてください」。すぐには答えられません。日本国憲法に規定があるからで、憲法は国民に生命だけでなく、「個人として尊重されること」「自由であること」「幸福を追求すること」についても権利として認めています。

<権利の起源、無自覚>
イギリス、アメリカ、フランス、ドイツとそれぞれの国内で被支配階級が支配階級に血を流しながら勝ち取った「権利」という成果を私たち日本人は、易々と手に入れた。日本は江戸の封建社会から天皇主権国家に移り、占領軍の主導によって国民主権国家に移行した民族だから、権利について無邪気なのは仕方がないのかもしれない。だからこそ私たちは権利という近代社会の価値を、その獲得の歴史に思いを馳せて認識する必要がある。

<判断能力と委任契約>
判断能力の衰えたお年寄りが内容をしっかりと理解できないまま、財産等を管理する会社と委任契約を結んで全財産を預け、通常は時間の経過とともに更に判断能力は失っていきます。不正を監視するものもいません。

<成年後見制度>
一定の人の申立てに基づいて家庭裁判所が判断能力の衰えた人に「代わって」判断を補う権限を、それに相応しい特定の人物や法人に与える制度です。後見人には「同意権」といって本人が行う契約について、裁判所が認めた範囲で同意を与える権限が付与され、また「代理権」といって裁判所の認めた事項について、本人に代わって契約を行う権限が与えられます。委任代理に比べ、法定代理である後見人は裁判所によって選任され、裁判所の厳正な監督下に置かれるという意味で格段に安全であると言えます。
全体会
全体会は大塚洋美副理事長の司会で議長団に松田周平副理事長、疋田英司副理事長が選出されました。
清家理事長から挨拶と2011年度活動報告がありました。詳細については税経新報8月号をご覧ください。
会員からの発言は次のとおりです。
神奈川会・角谷啓一会員
10月に国税徴収法の手引書を出版する。動機は、徴収は大事だが、それには歯止めのセイフティーネットが必要になってくる。それを検討した結果を書いている。
全体会
全体会
茨城会・古徳正義会員
原発被害の賠償請求の活動についての説明及び茨城会の税理士で病に倒れた会員の息子さんの御礼と新入会員の御紹介がありました。
次に意見として、東京会・新国会員から原発被害の損額賠償請求の件で佐伯事務局長に税経新人会が関わる経緯と経過の説明を求めました。

特別決議では「税理士法改正に関する決議」「消費税増税に抗議する決議」が読み上げられ満場一致の拍手により採択されました。議長団解任に続き以下の新役員が紹介されました。

理事長  清家 裕(大阪会・4期)
副理事長 戸谷隆夫(名古屋会・5期)
 同   松田周平(東京会・4期)
 同   疋田英司(大阪会・2期)
 同   土屋信行(関信会・新任)
 同   武本康夫(神戸会・新任)
事務局長 吉元 伸(千葉会・新任)
会計監査 飯島健夫(東京会・4期)
 同   伊藤寛治(東京会・新任)
 なお、事務局次長に佐伯正隆(東京会)

清家理事長から三役の若返りを図ったこと、2012年度活動方針の決意の挨拶がされました。次に今回で退任する山本友晴副理事長、大塚洋美副理事長から8期務めた山本副理事長が代表して挨拶されました。

来賓の全国青年税理士連盟の青木久直会長より挨拶を頂きました。国税通則法の改正、税理士制度についてはこれからも意見表明していきたい。新人会とは東京会の中央ブロックの例会でご一緒して勉強している。新人会と青税の先輩方のおかげで今の自分がある、と話されました。
税経新報の清水裕貴機関誌部長より新報表彰の経過の説明があり、今年は特集北陸税経新人会として5本の原稿を寄せて頂いた北陸会の4名(青木文衛会員、世戸英明会員、彼谷肇会員、手賀武会員)と清水和雄会員「想定外の事件ー被告人になってー、その後」が受賞されました。

名古屋会の会員が壇上に上がり、高見満実行委員長から全国研が無事に終了できたことの御礼の挨拶があり、来年の全国研究集会担当の京滋会から、リーガロイヤルホテル京都で開催し懇親会では舞妓の踊りもあり楽しみに来てください、との話があり来年へのバトンタッチが行われました。

戸谷隆夫副理事長の閉会の挨拶で名古屋全国研究集会は終了しました。来年の京都全国研究集会で再会しましょう。
新報表彰
新報表彰

京滋会へバトンタッチ
京滋会へバトンタッチ

(せいの・ともえ:東京会)

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