論文

復興も方便とする税と社会保障の一体改革
立正大学法学部客員教授 浦野 広明

1 消費税増税

菅内閣は、2011年6月8日、「税と社会保障の一体改革」の「成案決定会合」を開き、社会保障改革に関する集中検討会議(1)がまとめた「社会保障改革案」の推進を議論した。

「社会保障改革案」は、消費税を2015年までに10%引き上げることを明記した。将来的に「社会保障給付にかかる公費全体」について、主として消費税でまかなうのだという。政府の試算では、2015年度に社会保障にかかる公費(国・地方)は47兆円となり、消費税を10%にしても「22兆円不足」だという。
所得課税の適正化(応能負担)には目をつぶり、国民に消費税増税がいやなら社会保障の大幅削減だという脅しをかけている。

消費税増税が大手を振るには訳がある。元凶は自民・公明両党(当時の与党)が、2009年3月27日に成立させた「平成21年度所得税法等の一部を改正する法律付則第104条(税制の抜本的な改革に係る措置)」(以下「付則104条という)である(2)。付則104条は、「消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成23年度〈2011年度〉までに必要な法制上の措置を講ずるものとする」としているのである。

政財官学界の消費税増税勢力は「付則」を盾に取り、消費税増税を突破しようとする。事実、民主、自民、公明の3党は、合意書(3)を締結し、悪税制(反応能原則)推進の「大連立」路線に踏み切った(2011年6月21日)。
2 復興も方便

菅首相が発足させた復興構想会議の議長は、五百旗頭真(いおきべまこと) 氏(防衛大学校長)である。復興は生存権の保障が最大課題となる。こともあろうに、復興構想会議の議長に生存権の対極にある自衛隊幹部養成校である防衛大学校(防衛省の付属機関)校長が就任したのである。五百旗頭議長は、臆面もなく復興構想会議の初会合で「震災復興税」が必要ではないかと消費税増税を意図とする問題提起をした(2011年4月14日)。

復興構想会議は、4月30日、経済3団体から聞き取りをした。経済同友会は、東北地方を道州制の先行モデルとする、公共サービスの民間開放、農地の大規模化や他地域への集団移住、法人経営の推進、漁港の拠点化など大胆な構造改革を求めた。復興財源について、商工会議所は「消費税の引き上げはやむを得ない」と提言。経団連と経済同友会はともに、社会保障費削減を意味する「財政健全化」と消費税増税に向けた「税と社会保障の一体改革」の着実な遂行を求めた。経団連は、TPPの推進も求めた。

これらの政策は、大企業の国際競争力強化のために必要として、震災前から財界が要求してきた構造改革路線そのものである。五百旗頭議長は、経済3団体の提言を「大変力強く議論していただいた」とお追従を言う始末である。

次の表は「復興税」の候補に上がる増税項目である(日本経済新聞2011年4月19日)。

  内容は? 利点は? 課題は?
所得税 税率を一定率上乗せする「定率増税」。
1割上げ → 1兆円の財源確保に
◎ 被災者・被災企業を増税の対象外にしやすい
◎所得の多い人・企業ほど多くの負担に
◎ 確保できる財源が消費税に比べ限られる
◎経済の活力や、企業の国際競争力を損ないかねない
◎ 現役世代に負担が偏りやすい
税率を一律引き上げる。
1%上げ → 1兆円規模の財源確保に
法人税 政策減税の廃止・縮小。平年度で約6000億円の増収(11年度当初予算ベース)
税率を一定率上乗せする「定率増税」。
1割上げ → 数1千億~1兆円の財源に
消費税 税率を引き上げ。
1%上げ → 2.5兆円の財源確保
◎ 多額の財を確保できる
◎ 広く薄く国民に負担を求める
◎ 被災者を増税の対象外にしづらい
◎ 社会保障の安定財源確保に支障のおそれも

日本経済新聞が報ずる復興税構想は、大半が応能原則に反する。東北大震災の復興施策は、不公平な税制を是正することにより財源を確保し、  破壊された生活基盤の回復・再出発(憲法13条、同25条)、 仮設住宅の早期建設(避難所生活者、在宅被災者)、 被災者の債務の凍結・減免、が急務である。
3 災害理由に改憲

最初の原子力予算や原子力関連立法にかかわった日本自由党の前田正男衆院議員(のちに自民党、科学技術庁長官、2008年死亡)は、「われわれの運動を終始、応援してくれたのが経団連だった。会合の場所や会合費(昼食費)を世話してもらった。原子力関係では電気事業連合会が支援してくれ、言論界にも全面的にバックアップしてもらった。」と述べている(『自由民主党史』1987年)。

電気事業連合会は電力会社の業界団体である。原子力開発予算を推進する中核を占めたのは改憲派議員であった。稲葉修氏(最初の原子力予算の趣旨説明を行った)は、のち自民党憲法調査会長として7080年代の9条改憲論を束ねた。中曽根氏は現在も新憲法制定推進議員同盟会長として改憲の旗を振っている。その中曽根氏は自然災害の際には生存権(憲法25条)を制限する、そのために改憲しなければならないという(4)

大震災の救援・復興は、生存権(国民の健康で文化的な生活)を最大限に活かすことであるのに、逆に生存権が邪魔だから憲法を変えるという。

参院本会議は、改憲手続法に基づき改憲原案の審査権限を持つ憲法審査会の規定を採決、民主、自民、公明、みんな、国民新、たちあがれ日本の賛成で可決した。反対は、共産党、社民党であった(2011年5月18日)。
4 原発事故の責任

技術的に安全が確立していない原子力発電(原発)の運転の強行は、これまでも事故があいついでいた。この狭い島国で原発大国を目指し、事故が生じたら、想像を絶する恐るべき惨禍を招くであろうと多くの人が指摘していた。しかし、自民党政府、電力会社は『安全だ』と偽り、住民の安全に生きる権利を無視して原発開発をがむしゃらに進めた。このような姿勢からは、人権尊重の精神はひとかけらも見出すことはできない。

日本では、原発の実用化に際して「原子力損害の賠償にかんする法律」(損害賠償法)とその付属法である「原子力損害賠償補償契約に関する法律」を制定している(1961年)。この法律により、原発事故で損害を与えた原子力事業者は無過失責任を負う(損害賠償法3条)。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、免責が認められている(同条但書)。

今回の福島原発事故は天災と人災の複合だと原子力事業者はいう。しかし、もともと危険なものを強行導入したのであるから、人災の度合いが圧倒的といえる。

損害賠償法は、原子力事業者の責任を明らかにしている。さらに、原子力業者に対して損害賠償措置として、原子力損害賠償責任保険契約とその締結もしくは供託(1工場当たり1,200億円)を義務付けている(6条,7条)。この法律は事故が発生した場合、被害者救済は当然であるが、原子力業者の倒産回避を考慮して、損害額が1,200億円を超えるときは、政府は必要に応じて原子力業者の援助を行うこととしている(16条)。

国の援助に関して見逃してならないのは、原子力会社役員、原子力行政を推進した政治家、安全性神話を振りかざした「識者」の責任である。賠償責任が、原子力業者や国の陰にかくれて加害者個人の顔が見えない。現に不法行為をしているのは個人であるから、その個人に対して、求償(民事責任)し、それに留まらず、業務上過失致死傷罪・詐欺罪で起訴(刑事責任)すべきである。

もちろん、原子力事業者の責任は重大である。東京電力は、純資産、引当金、金融機関の債務免除(5)、不当利得者の求償によって4兆円以上の損害賠償責任を負うべきである。国が被害者に損害賠償を払った後の求償措置について、国民に情報公開をすべきである。なぜなら巨額の税金のゆくえにかかわる問題であるからである。
5 治安立法の策動

悪政の推進は国民の反感を買う。国民を権力的に取り締まる治安立法が必要となる。共通番号制度、国税通則法改定はその一環である。

(1)共通番号制度

政府の「社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会」(座長は与謝野馨経済財政担当相)は、2011年4月28日、2015年に導入を目指す「社会保障・税番号要綱」を決定。6月をめどに「大綱」をまとめ、秋以降できるだけ早く、国会に法案を出すとしている(6)

菅政権は、2011年1月28日、あらゆる事項を一つの番号で把握する「共通番号制度」の基本方針を決めた。2014年6月をめどに個人、法人、任意団体などに番号を付け、2015年1月からの利用開始を図るとしている。年金手帳や医療保険証などの機能をICカード(integrated circuit card。情報の記録や処理機能を持つカード)1枚にまとめて配布するのである。2011年秋の臨時国会に「番号法案(仮称)」提出をめざしている。

番号付けは、個人には、住民基本台帳ネットワークを基に総務省が、法人、任意団体(人格のない社団等)には、国税庁が行う。

2011年度税制改定大綱は番号制度について、 取引を行うときには、取引の相手先に番号を告知する。 取引の相手方が税務当局に提出する法定調書に番号を記載すると述べている。国家があらゆる取引を管理しようというものである。

すでに政府税調は、2007年11月の答申で納税者番号制度について、「現在、税務当局が行っている各種資料の『住所・氏名』による名寄せ・突合に代え、資料に記載される『納税者番号』を用いることによって作業の効率化を図り、適正・公平な課税を実現しようとするものである。」と述べている。

政府税調委員は、2009年10月20日、事務局が提示した次の文書を検討した。
提示文書は、番号制度を税務面で利用する場合について、次のように述べている。

「税務面における『番号制度』とは、納税者に広く番号を付与し、 各種の取引に際して、納税者が取引の相手方に番号を『告知』すること。 納税申告書及び取引の相手方が税務当局に提出すべき資料情報(法定調書)に番号を記載することを義務づける仕組みである。これにより、税務当局が、納税者から提出される申告書の情報と、取引先の相手方から提出される資料情報を、その番号をキーとして集中的に整理(名寄せ)・マッチング(突合)できるようになり、納税者の所得情報をより的確に把握することが可能となる。」

さらに、提示文書は、資料情報の範囲(法定資料)を拡大することにより、現行の資料情報(全53種)年間約1億4千万枚が一層増大し、所得把握が可能となるとしている。

利子所得や配当所得の支払いなどをした場合、その支払者等は、所得税法や相続税法の規定によって各種の支払調書、源泉徴収票等を税務署に提出する義務をおう。この提出義務をおうものが「法定資料」である。

提出義務者が、法定資料を提出期限までに出さなかったり、偽りの記載をして税務署に出したら、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」に処される(所得税法第242条)。

2010年度税制改定大綱は、「番号制度は、主として給付のための制度」であるという。給付を理由に番号制度を正当化しようとしている。
給付の考えを、政財官界の考えに即して分析すると、次の三つの問題が出てくる。第1何のために(目的)、第2どのような内容か、第3どのような仕方か、である。

順にいえば、 給付の目的は、国民の利益を目的にするものでなく、権力の国民支配の一手段であり、体制維持のためである。 保護の内容は国民各層にわずかな給付を与えながら、資本の利益に、より多くの給付を与える。 給付するという名目でわずかな金をあたえ、受給者を規制する。国税通則法の改悪も納税者を規制する点では同根である

給付を受けたいと申告した場合には、税務署(歳入庁)は所得・資産を徹底的に調査する。銀行借入をする場合にも、銀行は所得・資産を調査する。税務署と大企業が一体となって、全面的に国民の私生活に関する情報管理にのり出す。情報は、必要に応じて民間にも知らされる。プライバシーを侵害する共通番号制度は憲法13条違反である。

(2) 国税通則法の改定

国税通則法は、国税に関する基本的・共通的事項を定めた一般法である(1962年4月制定)。制定当時において国税通則法は、政治的暴力行為防止法(政暴法)の税務版だとさわがれ、学会、言論界、中小企業や労働者の団体などから、はげしい批判を受けた(政暴法は、大衆運動を抑圧するものだとの反対運動によって廃案となる)。

国税通則法も反対の声の影響を受け、「実質課税の原則」「租税回避行為」「行為計算の否認」「記帳義務」「納税義務に関する調査」などの納税者規制条項は削除となった。とはいっても、国税通則法は、「人格のない社団等」の納税義務規定を導入など団体の自主的活動規制をはじめとする徴税強化法として大きな意味を持つものとなった。

民主党政権の下で50年前の納税者規制の亡霊が復活してきた。2011年度税制改定において、国税通則法という法律名を「国税に係る共通的な手続並びに納税者の権利及び義務に関する法律」に変えるという策略をめぐらした。この「国税に係る共通的な手続並びに納税者の権利及び義務に関する法律」第4条は、納税者権利憲章(憲章)の作成・公表をするとしている。この第4条が規定する「憲章」は次のような内容である。
「国税庁長官は、次に掲げる事項を平易な表現を用いて簡潔に記載した文書(納税者権利憲章)を作成し、公表する。 作成目的  申告・納付期限 更正の請求  更正・決定  納付の手続  督促・滞納処分  還付 延滞税・利子税  加算税  更正・決定の期間制限  税務調査  申請の拒否  不服申立て・訴訟  税理士の義務  申告を適正にするための情報提供  守秘義務  納税者の義務」
納税手続と納税義務を羅列したにすぎないものを「憲章」というのである。そもそも納税者権利憲章は、納税者の権利を侵害する課税庁の行為に歯止めをかけるために必要なものである。こともあろうに権利侵害の最高責任者が「納税者権利憲章」を作るという。冗談はいい加減にやめてほしい。納税者権利憲章ということばをもてあそび、実際には納税者を尊重しない憲章を作られたのでは、たまったものでない。
本来、納税者権利憲章は納税者に対する命令ではなく、税務職員に対する命令として作成するものなのである。納税義務を羅列したものなどは、納税者権利憲章の名を騙る納税者抑圧規定としか言いようがない。
6 国民本位の税制改革

企業や高所得者に応分の負担をしてもらえば、消費税を上げる必要はなく、社会福祉への財源が生まれる。増税を進める政財官学界は、「税と社会保障の一体改革」という言葉をもてあそび、本当は「庶民増税と社会保障切りすて一体改革」を進めるのである。

憲法前文は、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」とうたっている。

国民の信託を裏切る政治家は退場してもらうことが大切である。中小事業主、年金生活の高齢者やワーキングプア層、一般の労働者に苦しい生活を強いる消費税の増税、社会保障の改悪は、耐え忍ぶだけでは打開できない。税制の「大きな方向転換」が必要である。

税制は、政治と直結している。勤労者・年金者が納税者の権利(応能負担原則・全ての税が福祉社会保障目的税)を実現するためには、その階層的利益の代弁者を国会に送り込むために最大限の活動をしなければならないことは明らかである。これからの選挙の課題は、単なる「政権交代」から次の局面である応能原則を実現させる「政策交代」をつかみとることとなる。
(1)第5回「社会保障改革に関する集中検討会議」は2011年4月27日に開催されている。この検討会議の幹事委員5氏は「もはや方向性の議論を行う段階から…安定財源確保の道筋と工程表を明らかにして国民に提示する段階に来ている」とする文書を提出した。文書を提出した幹事委員は、自公政権で厚生労働相を務めた柳沢伯夫・城西国際大学学長、吉川洋東京大学大学院教授は、宮本太郎北海道大学大学院教授、清家篤慶応義塾塾長などで、自公政権以来各種審議会委員として社会保障削減と消費税増税の旗を振ってきた人物である。

(2)佐々木憲昭議員(日本共産党)は2010年8月4日、衆院財務金融委員会で、「2009年度税制『改正』法付則104条は削除するのが当然だ」と追求した。これに対して野田佳彦財務大臣は、「消費課税、所得課税、法人課税、資産課税、それぞれ抜本的な見直しをするのが、政府の規定方針だ」、「(付則の扱いは〉その抜本改革の議論がどうなるかによって中身が変わってくる。2012年3月までの段階で検討する」と付則の削除はしないと答弁している。

(3)合意文書は次の内容となっている(別紙は省略した)。「平成23年度税制改正法案等の処理について(平成23年6月8日)1.平成23年度税制改正法案のうち、一 個人所得課税の諸控除(給与、特定支出、成年扶養)の見直し及び退職金課税の見直し、一 法人税の税率引下げ及び課税ベース拡大(いずれも中小特例を含む)、一 相続税の控除及び税率等の見直し並びに贈与税の税率構造の緩和及び精算課税の対象の拡大、一 「地球温暖化対策のための税」の導入としての石油石炭税の税率の上乗せの扱いについては、復興のための23年度補正予算の検討と併せ、各党間で引き続き協議する。

地方税法案についても、国税と同様のものについては、同様の扱いとする。国税通則法の抜本改正についても、各党間で引き続き協議を行い、上記の改正項目についての協議の際に、更正の請求期間の延長をはじめとする納税環境整備が進展するよう、成案を得るものとする。なお、今通常国会会期中に成案を得られない場合には、会期末において、閉会中審査手続をとるものとする。

2.平成23年度税制改正法案及び地方税改正法案のうち、1.の改正項目以外の改正については、現下の厳しい経済状況や雇用情勢に対応して税制を整備するため、1.とは別の政府提出の法律案(別紙の内容とする。)として切り出すこととし、衆議院財務金融委員会、総務委員会において、直ちに審議、採決の上、参議院に送付し、参議院において、6月末(国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法等の一部を改正する法律における租税特別措置の期限。地方税についても同様。)までに成立させることとする。以上、合意する。民主党幹事長岡田克也 政策調査会長玄葉光一郎 自由民主党 幹事長石原伸晃 政務調査会長石破茂 公明党 幹事長井上義久 政務調査会長石井啓一。」

(4)「東日本大震災を受け、憲法に非常事態条項を盛り込もうとする動きが自民党内に浮上している。武力攻撃・テロや大規模災害時に政府の権限を拡大し、国民の権利を制限する狙いだ…ポーランド憲法では自然災害事態が発令されると、国民の移動の自由や所有権などを制限できる…超党派の新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)も4月28日の大会で、スローガンに『大規模自然災害にも即応できる憲法をつくろう』と付け加えた。」(朝日新聞2011年5月2日)

(5)「枝野官房長官が < 2011年5月 > 13日朝、金融機関に債権放棄を促す発言をしたことは、金融機関に大きな波紋を広げた。株式市場では、東電に融資する大手銀行の株価が軒並み急落。直後に決算発表の会見を控えていた大手銀行の幹部たちは『発言の背景がわからない』(みずほファイナンシャルグループ〈FG〉の塚本隆史社長)、『考える時間がなくコメントを控えたい』(三井住友FGの 宮田孝一社長)と戸惑った。銀行側には、賠償の枠組みが決まり、『東電からの融資返済も見込める』との安心感が広がっていた。そのすぐ後に飛び出した枝野氏の発言は『後出しジャンケン』のように映り、複数の銀行幹部は『債権放棄は絶対にありえないと強く反発する。」(朝日新聞2011年5月14日)

(6)「要綱では東日本大震災の経験を踏まえて『防災福祉の観点からも番号制度の在り方を考える必要がある』と指摘」(日本経済新聞2011年4月29日)
(うらの ひろあき)
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