私は、元全国協議会理事長である浦野広明先生の「税務調査とのたたかい」で紹介されている「請願法」を活用して、納税者の人権侵害と思われる税務調査に対処して対応する場合があります。そのほとんどが、「税務調査で大変なことになっている」というSOS が発信され、税務調査の立ち会いから着手したものです。もちろん、「その事実が本当にあったか」「その事実がどの程度なのか」「納税者が心底怒りを感じているか」「そのことによって精神的・経済的にも不利益を被っているか」などを聞き取り、納税者に「請願法」で税務署に対抗していこうという意思を確認してから、文書を作ります。事態を収束するにうまくいったケースがほとんどですが、空振りに終わったケースもあります。後者のケースを反省してみると、納税者と代理人との信頼関係が不足していたのも否めません。
紹介する事案は、請願書を出したことによって、税務調査そのものが中止となったケースです。余りにも人権を蔑ろにした事案で私自身も驚きました。税理士が非関与のところや人権意識の少ない税理士の下では、少なからず散見しているのではないかと推察されます。その生々しい内容をご紹介します。 |