新人会記事

政府税制調査会に「租税刑罰の強化に反対する」文書を提出
 東京会の会員から政府税制調査会で納税環境整備の一環として、租税刑罰の強化案が検討されているとの情報があり、常任理事会でメーリングリストにより検討した上で、下記掲載の「租税刑罰の強化に反対する」文書を、昨年12月14日に政府税制調査会に簡易書留で提出しました。

しかし、政府税制調査会は私たちのこの反対意見を無視して、昨年末の10年度税制改正大綱に租税刑罰の強化案(税制調査会のHP参照)を盛り込みました。したがって、今年の通常国会に法案が提出される予定です。

税経新人会全国協議会はこの問題の学習に取り組み、問題の本質を明らかにして反対運動を展開したいと考えています。ご協力をお願いします。
(清家裕)
2009年12月14日
政府税制調査会 会長 藤井裕久 様
税経新人会全国協議会 理事長 清家 裕
租税刑罰の強化に反対する
政府税制調査会は、配偶者控除、扶養控除の廃止などを含む平成22年度税制改正についての審議を急ピッチで行っている。税調の審議項目は多岐にわたっており、その中には、税制、財政だけでなく行政法など広い分野にわたる専門家による慎重な検討が必要となる問題点が多々あるにもかかわらず、財務官僚が提示した論点に絞って拙速な審議が行われ、性急な結論を出そうとしているように思われる。

われわれが特に懸念を抱いているのは、いわゆる納税環境の整備の中の「租税罰則の見直し(案)」の中に含まれている罰則の強化と新しい罰則の創設に関する部分である。

そもそも、税法は、国の課税権の濫用から納税者国民の権利を守ることを重要な目的としている。したがって、一般の商取引や知的犯罪、金融犯罪などに対する罰則とは同列に論ずることはできない。

ところが、税調に提出された資料によれば、他の主要な経済犯における罰則の強化の例をあげて、脱税犯、無申告犯、源泉税不納付犯、検査忌避犯等に対する罰則を現行の倍以上に引き上げようとするほか、無申告脱税罪、不正還付未遂罪の創設など、これまで行政罰として附加税(過少申告加算税や重加算税等)との二重の制裁となる危険性があること、納税者の正当な運動を抑圧するために弾圧法規として恣意的に運用される危険性があることなどを理由として立法化を差し控えられてきたものである。かつて、昭和37年の国税通則法制定の際に、学界、専門家団体、納税者団体等の反対によって立法化を見送られた経緯も考慮されなければならない。

今回の動きは、納税者憲章を制定して納税者の基本的人権を尊重する制度を創設しようという選挙公約等とは全く矛盾する内容を含むものであり、租税刑罰の加重化は絶対に認めることはできない。
よって、納税環境整備の一環として租税刑罰の加重や創設の立法作業は直ちにやめることを求める。

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