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時潮

政治に参加しよう
税経新人会全国協議会  副理事長  山本  友晴  

8月30日投票の総選挙は、自・公政権へのノーの有権者からの鉄槌が下された。選挙結果は、野党の民主党が193議席増の308議席、共産党が現状維持の9議席、社民党も7議席、国民新党は3議席であり、与党の自民党は181議席減らし結党以来最低の119議席そして公明党は10議席減のこれも結党以来最低の21議席であった。

投票率は、69.28%(小選挙区)と前回(67.51%)を1.77ポイント上回り、小選挙区比例代表制度が導入された1996年以降の総選挙で最高となった。

民主制の国家では、国民が政治へ関心を示し、投票行動に参加することが大前提である。今回の自公政権崩壊は、自らが招いた国民無視の政治にその大きな原因がある。小泉純一郎元首相の「自民党をぶっ壊す」の威勢の良い掛け声のもとに、郵政民営化一本やりでかすめ取った300議席と公明党の31議席合わせて331議席、この議席占有3分の2以上の上に胡坐をかき、前回の参議院選挙で過半数を割っているのにも関わらずにこれを無視し、民意を問うことなく、悪法を衆議院で、ごり押ししてきた。参議院で否決された法案が、衆議院で再議決された法律は12にも上る。これは前代未聞の暴挙である。また政権の中枢である総理大臣は、安倍、福田そして麻生首相へとたらい回しにしてきたのである。

この間、経済や生活はどうなったであろうか。まさに大企業優先の雁行型経済運営が派遣労働者を生み、アメリカ経済の破たんで日本の大企業に不況の波が及び景気後退となると、大企業は派遣労働者を真っ先に契約解除で路頭に放り出したのである。政府は、これらの弱者救済には無策で、その失業した派遣労働者を支援することなく、民間主導の派遣村ができて初めて支援に乗り出すという世界に類を見ない見苦しい政治をしてきたのである。社会保障に対する財源の削減は毎年2,200億円が継続されてきており、75歳以上の老年者を後期高齢者として区分し、国民生活に格差をもたらし、日本的な道徳や弱者への思いやりは遠ざかり、その生活は破壊されて来ている。また、定額給付金という途方もない無策のばらまきを総選挙前に行い、財政運営を苦しくして来ている。この財政の手当として消費税の税率引き上げまでももくろんでいるのである。

この度の総選挙は、これらの国民の間で不満が渦巻いている中で行われたのである。マスコミの政権選択選挙との誘導も多々あったが、自・公政権への退陣要求が大勢を占め、大鉄槌がこの政権に下されたのは当然の帰結であった。

さて、この度の総選挙で選挙に参加するとこのような大変動が起こるということを多くの有権者国民が理解し、納得したのではと思う。民主主義の政治は、有権者が自覚し行動することで花を開くのである。その自覚をするためには、政府はあらゆる情報を隠すことなく開示しなければならない。幸いにして、民主党を主体とするこの度の政変にはある程度の期待が持てる。民主党には保守系の議員もいるが、リベラル派の議員もたくさんいる。国の政治を動かすのは議院内閣制である以上、議員であるが、その議員を選ぶのは、国民有権者である。政治を託した議員が自分たちの想いを代弁しているのかのチェックはいつなんどきでもしなければならないだろう。

裁判員制度が実施され早くもその制度への違憲性との訴えが発生しているが、この制度もその裁判員となった人が、自覚し、人格を高め包容力を持ってその裁判に臨むことが必要である。国の政治を良くしていくのも、国民一人一人がこの自分たちの国のあり方を想い、理想を掲げて行動することが必要である。旧来の政治は、議員がなすことには仕方がないとの思いが強く、なかば投げやり的な人々が多かったのではと思う。この度の総選挙結果は、まさに政治の地殻変動であり、国民が参加する土俵がつくられたと言える。政治を任せる議員も見識を持って行動し、国民もその見識を温かく見守り、見識を外した議員に対しては声を大にして糺す行動を起こすことが求められる。

この総選挙結果を次への新たな発展の足掛かりとするために、一人ひとりが政治に関心を持ち、参加しよう。

(やまもと・ともはる)


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