論文

特集  第44回札幌全国研究集会
札幌市の財政はどうなっているか?
「市民がつくった札幌市の財政白書」を読む
  東京会  新国  信
全国研究集会の期日が迫ってきた。本稿は、「さっぽろの「おサイフ」を知る会」が本年1月に発表した「市民がつくった札幌市の財政白書」(以下「白書」という)の要約を示し、9月の全国研究集会の開催地の財政を少しでも会員・読者に知ってほしいとの思いで書いたものである。白書は、A4版横書きで1歳入の部に28ページ、2歳出の部に69ページをあて、他に3資料と4用語解説などで合計171ページの大部のものである。

I  発刊の理由などー「財政白書の発刊にあたって」から

発刊の理由として、1「トンネルでつなぐまちづくりよりも先に、吹雪の中をバス通学する子どもたちのために小学校を建ててください(すでに土地は確保され10 年来塩漬け冬眠中)」、2「夕張市の財政破綻が大々的に報道され市民の苦悩する姿に衝撃を受けたこと」としている。

夕張市の後藤市長が市議会で財政再建の表明をしたのが06年6月、その2ヶ月後の8月におサイフの会は、住民による財政白書づくりのブームの火付け役である多摩住民自治研究所の大和田一紘氏を講師に招いて「決算カード」を手にその一歩を踏み出した。平均年齢60ウン歳の12人は、千円単位の数字にまごつき、また、財政用語も理解不足のなかでの手探り状態からわずか1年半で本冊子をまとめ上げたのである。

白書づくりを支えた条件として、同会の飯原慶子代表は、1活動拠点となったエルプラザの存在212人(男性4名、女性8名)のメンバー3札幌市の高い情報公開4市職員の親切な対応5大和田さんの指導の5点をあげ、どれ一つ欠けても完成できなかったとしている。

II  札幌市の概況ー「水と空気のおいしいまち札幌は」から

札幌市は北海道の石狩平野の南西部に位置し、市の中心部はサケの遡上する豊平川で東西に二分されている。1869(明治2)年7月、開拓使の設置、同年8 月蝦夷地を北海道と改称、1875( 明治8)年屯田兵入植、1922(大正11)年市制施行、1970(昭和45)年、人口が100万人を突破、1972(昭和47)年2月、札幌オリンピック開催、同年4月、福岡、川崎両市とともに政令指定都市になる。現在の人口は189万人(北海道の人口の3分の1)、全国5番目の大都市である。

自然環境としては、森林が札幌市の面積の64%を占めること、気候は日本海型気候で温暖、夏はさわやか、冬は積雪寒冷(世界の大都市で最多の積雪量)を特徴とし、年平均気温は8.5℃、年間降水量1,100ミリ。

札幌の地名は、アイヌ語の「サリ・ポロ・ベツ(その葦原が・広大な・川)」とする説と、「サッ・ポロ・ベツ(乾いた・大きな・川)」とする説がある。
札幌の花・木・鳥は、すずらん・ライラック・カッコウ。

III  歳入の部

1 歳入総額
2007(平成19)年度予算でみると、会計規模は、一般会計で7,756億円、特別会計で4,797億円、企業会計で2,981億円、三会計合計で1兆5,534億円である。一般会計予算のうち市税などの自主財源は4,421億円(57%)、国庫支出金や地方交付税などの依存財源は3,335億円(43%)である。

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(表II) 807802.gif

2 市税収入
2005(平成17)年度の市税収入は、2,611億円で歳入総額の32.4%で、政令指定都市14市(当時)のなかでは、下位から3番目である。市税収入2,611 億円のうち、市民税(個人・法人)が1,045億円、固定資産税が1,096億円でこの二税で地方税総額の82.0%を占めるが、この割合も指定都市の中では下位から二番目になっている。さらにこの二税を人口一人当たりでみると113,866円で、指定都市の中では最低位になる。ちなみに最高位の大阪市は、197,973円で札幌市の1.73倍になっている。

(表III)

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3 地方交付税
国民が日本中どこに住もうと一定の行政サービスを受けられることを保障するために、収入の不足する自治体にその財源を保障するのが地方交付税である。2006年度決算では、普通交付税で1,110億円、歳入全体に占める割合は、14.3%であるが、ピーク時の2000年度では1,410億円、同17.1%であったから金額で300 億円、歳入比で2.8%減となっている。

4 地方債
2006年度の地方債収入は、434億円で歳入総額の5.6%であった。金額のピーク時の1998年度で1,136億円と比べると大幅な削減となっており、歳入比のピークの1996年度で13.8%であったから歳入比でも大幅に低下している。しかし、2005年度末の地方債残高は、2兆2,071億円で市民一人当たり118万円の借金となっており、指定都市の中では少ない方から5番目に位置している。大阪市は指定都市では最大の地方債をかかえており、その金額は市民一人当たり219万円となっており、札幌市の倍近い借金を抱えている。

(表IV)

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