(1) |
税務調査の改革の方向 |
|
調査を中心とした税務署体制 |
|
税制は「大衆課税強化」に大きく変わろうとしている。今後、納税者がますます増加していくことが避けられない情勢の下で、 |
|
イ. |
政府・国税庁は
・納税者番号制度の確立
・記帳義務の強化
・納税者の説明制度の確立
・電子申告の強化
・書面添付制度の強化
・税務行政のアウトソーシング化 |
|
等々新たな制度の導入を行いつつ、 |
|
ロ. |
「税務署の役割」「税理士の役割」「納税者の役割」を改めて組み直し、税務調査の強化、調査を中心とした税務署体制の確立を目指している。
|
|
将来の税務署機構 |
|
|
多様化する調査手法 |
・総合調査 |
… |
総合特官の下で−納税者の法人税・所得税・相続税などその納税者にかかるすべての税目を一括して調査 |
・広域調査 |
… |
広域的に事業を展開している納税者に対して、その関連会社も含め数署から数十署が合同調査を展開する |
・連携調査 |
… |
法人部門や個人課税、資産課税部門が連携・共同で調査 |
・グループ調査 |
… |
調査部門全員又は数部門が合同で調査 |
・組調査 |
… |
調査担当者が2〜3人が組を作り調査 |
|
|
(2) |
無予告現況・現物確認調査 |
一方「高額・悪質重点」の名の下に「無予告現況・現物確認調査」が横行している。これに対して例えば大阪総合会計事務所では、「納税者のための税務調査10ヵ条を掲示して納税者に喚起を呼びかけている。その10ヵ条を参考のため掲載すると(税経新報の新年号にもほぼ同様なものが記載されているが)… |
|
|
令状なしの税務調査(任意調査)は、納税者の承諾と協力が必要です。問答無用の調査は違法です。税理士が人権を守ります。〔万が一のために、ビデオ、カメラ、テープを用意しておきましょう。〕 |
|
|
いきなり税務職員が来たら、はっきり断りましょう。そして、その場で税理士に連絡して下さい。〔身分証明書の提示を求め、所属と氏名を書きとめましょう。〕 |
|
|
税務署からの電話には、あわてずに要件と氏名を聞き、すぐ税理士に連絡しましょう。〔調査の日時は、税理士と相談して、都合のいい日に決めましょう。〕
|
|
|
なぜ調査に来たのか、その理由を確かめましょう。〔任意調査で調査理由の開示を求めるのは納税者の当然の権利です。〕 |
|
|
税務署員の質問に曖昧な回答は誤解をまねきます。即答する必要はありません。〔不正確なことは、よく調べて回答し、主張すべきことは主張しましょう。〕 |
|
|
金庫、引き出しなどを勝手に調べることはできません。店舗、倉庫への立ち入りも納税者の承諾なしにはできません。〔納税者の承諾のないこれらの行為は違法です。黙認せずに厳重に抗議しましょう。〕 |
|
|
勝手に帳簿等を持ち帰ることはできません。コピーの求めに必ずしも応じる必要はありません。〔納税者が納得できないものは、はっきり断りましょう。〕 |
|
|
呼び出し、お尋ね文書には法律上の強制力はありません。税理士に相談して下さい。〔応じるかどうかは納税者の判断にまかされています。〕 |
|
|
取引先や銀行などへの反面調査は納税者の承諾が必要です。〔無断の反面調査があれば強く抗議しましょう。〕 |
|
|
納得できない修正申告の強要は違法です。〔修正内容については、税理士と十分相談しましょう。〕 |
|
(3) |
税務調査官は敵か |
ここで議論になったことの一つは、のコピーの求めに応じる必要はないと点にあった。最も強硬な意見は「税務署には絶対に協力すべきではない」「税務当局にはコピーをとる権限がない」とするもので、一方「仮に当局にコピーを求める権限があるにしても、その前にコピーをとるべき根拠はきちんと問いただすべきだ」との意見もあった。
さらに「調査官は徴税権力の先兵なのだから敵である。徹底的に戦う以外にない」とする意見もあった。しかしこの「調査官はすべて敵」論には疑問も残った。 |