論文

第42回埼玉全国研究集会・速報 >>第42回埼玉全国研究集会・目次へ
突撃取材報告 2006 IN 埼玉
聞き手:編集部 大竹千聡 高橋泰子

新報取材班は今年も突撃インタビューを敢行しました。
最初に来年全国研を開催する神戸会の後藤幸男さんです。

○来年の全国研は神戸で行われますが、準備状況はいかがですか?
今回の資料の中にチラシを入れていますが会場も押さえて着々と準備は進んでいます。内容についてはこれから了解をもらうことになっています。ほとんど了解は取れているのですが。

○今までと違った斬新な形になるようですが、もう公開していただけるものがあれば教えていただけますか?
神戸会はもともとユニークな会で人のやらないことをやるということで、今まで2日で全国研をやっていましたが、1日で凝縮して、税経新人会は研究団体であると言う原点に戻って記念講演と研究集会を1日でやってしまおうと思っています。

○懇親会は開かれないのですか?
開かない予定です。

○ちょっと寂しくないですか、1年に1回顔を合わせる機会がなくなってしまうのは?
全体の懇親会はやらないけれども、それぞれの会でやってくださいということで案内は出します。

○分科会はどうなりますか?
分科会をどうするかは理事会等で練っていただくところです。今考えているのは記念講演と研究発表をやって全体集会を1日でやってしまおうという形です。
続いて今年の全国研を担当された埼玉会の持田晶子さんにお聞きします。

○今回、受付時に配られた第42回埼玉全国集会記念草加煎餅にもびっくりさせられましたが、懇親会場のお料理はビール以外すべて地 元産。お味の方も大変評判がいいようです。
ありがとうございます。ワインは秩父のワイン、日本酒は浦和にあるウチキ酒造の朝日正宗。テーマが「地産地消」ですから。

○開催されるに当たって、色々ご苦労もあったと思うのですが?
それはもう涙が出るくらい。とにかく当初は参加者が300人いかないと思っていたのです。常任理事会でも観光地や温泉がないなどと言われ新人会史上最低の研究集会になってしまうかなと思っていたので。それが苦労と言えば苦労でした。

○来年は神戸で、ちょっと形は違うようですが、やってみて何かアドバイスはありますか?
神戸は埼玉とは違う形でやるので埼玉の経験は生かせないと思うのです。でも分科会は多い方が選択肢も増えて、皆さんが学ぶという意味ではいいと思いますが。

○今日、受付の時にお茶やお煎餅をいただいたり、休憩の時にはクッキーが出されたり、流石女性が会長をしているだけあって気配りが 行き届いているなと感心しました。
いいえ、そんなことはありません。

○皆さんで考えられたことなのですか?
そうです、そうです。

○埼玉会はあまり人数が多くありませんが。
50人ぐらいしかいないから意見が通りやすいと言うことはあります。

○そうですか、ご苦労様でした。
はい、ありがとうございました。楽しんで帰ってください。
次は歴史の生き証人、東京会の関本秀治さんに「不撓不屈」について伺いました。

○何も知らないで映画だけを見ると、これぞ税理士の鑑と思ってしまうのですが?
実は私のところにも映画を見て、すばらしい税理士がいたと感激して電話をかけてきてくれた税理士さんがいたのです。それでとんでもないと言うことで急いで「不撓不屈とTKC」というのを書いたのです。それがちょっと物足りなかったので、もう少し歯切れよく商工新聞に書いてくれと言う依頼がありまして、そのとき資料を相当集めましたので、それを今度の税経新報に載せていただいたのです。

○若い人は真実を知らないので、本当のことを知ることができて良かったと思いました。
全国理事会でも飯塚事件のことを知っている方がほとんどいないそうです。歴史的な事実としてちゃんと皆さんに伝えておく義務があると思い敢えて書かせていただきました。

実は飯塚毅と言う男は、自己顕示欲が強く自分が一番偉いと思っているような人間なのです。人間性が全くゼロと言いますか。だから金に物を言わせて全国の税理士にTKCの会報を使って無料で新人会攻撃、民商攻撃、反共宣伝をやってきたのです。その辺の事実が映画では欠落しています。

我々は事件当時、吉田(敏幸)先生を始め全員で彼を応援してあげたのです。それを仇で返すということを平気でやる男なのです。そういう点は絶対に許せないと言うことです。

○関本さんを新人会に誘って下さったのは吉田先生なのですか?
いいえ、直接は創設者の一人の渡部至先生です。私は昭和38年、飯塚事件の起こった年に登録し、その直後新人会に入会しています。吉田先生に影響を受けて一生懸命飯塚事件に取り組んだり、日税連の税制審議会の役員をやったり、東京税理士会の理事をやったりと言うことで、今日あるのは先輩方のお陰です。

○これからもお元気で、後輩たちに色々教えていただければと思います。ありがとうございました。
続いて北海道会の山田彩加さん(事務員さん)です。

○初めての全国研はいかがですか?
まだ内容が良くわからなかったのですが、福祉について色々なことが聞けて良かったです。

○新報はどうですか?
今回初めて自分が受ける福祉のところを読みました。福祉の現状がわかりました。

○ありがとうございました。
次は沖縄会の期待の星、機関誌部員の嘉陽宗一郎さんです。

○沖縄で出張学習会が開かれましたが、いかがでしたか?
とても沢山の方が参加しました。税理士と職員の他にもお客さんが来て下さり、大変喜んでくれて、ためになる勉強会でした。

○今日はどの分科会に参加されましたか?
税務調査の分科会に参加しました。来週初めて調査の立ち会いをするのでとてもとても勉強になりました。是非実務に生かそうと思います。

○新報の感想を聞かせて下さい。
小説「歪んだ税務調査」がとても楽しみで読んでいます。ピンクのページも勉強になります。

○ピンクのページの回答も是非お寄せ下さい。ありがとうございました。
次は全国研初参加という埼玉会の名取久美さんです。

今日はどの分科会に参加されましたか?
税務調査の分科会に出ました。

○如何でしたか?
私は未だ税務調査の経験がないのですが、税務行政の現状とか、実体験を他の方から聞けてとても勉強になりました。

○新報は読んでいらっしゃいますか。好きな ページとかあったら教えて下さい
同じ事務所の持田さんが社会福祉法人のことをやられているのでそういうページはよく興味を持って読みます。
次は千葉会の上田郁さんです。登録は7年前ですが全国研は初参加。今年から千葉会の幹事も受けられて頑張っています。

○今日はどの分科会に出席されましたか?
「元国税調査官が語る税務調査」です。

○如何でしたか?
経験が少ないので色々なお話が聞けてとてもためになりました。

○普段、新報はお読みになっていますか?
はい読んでいます。北野先生の論文はすばらしいなと思っていますし、ここまで仕事に対して深い意識をもってできたらいいのですが、なかなか日常の業務に振り回されている感じです。

○ありがとうございました。幹事、頑張って下さい。
最後に日本大学名誉教授、法学博士の北野弘久先生です。

○今日の感想をお聞かせ下さい。
今日、私は「所得税の必要経費の考察」に出ました。そこで問題になったのですが、出席された大部分の税理士の先生方が、税経新人会の勉強家の先生方ですら、給与所得控除の根拠はサラリーマンの必要経費部分だと思っていたらしいのです。しかし、報告者の先生は立派な報告をされました。

給与所得控除の立法の根拠は、昭和31年以来サラリーマンの必要経費部分の他に、まず利子控除分があります。「利子控除分」というのは、サラリーマンは早めに税金を納めているから、その早い期間、5ヶ月間の利息相当分を引きましょうというものです。

2番目にサラリーマンの所得はlabor income労働所得です。身体が唯一の資本です。税金を負担する力が弱いのです。担税力が弱いのです。そこで特別の控除をしましょうという勤労性控除分。

そして3番目にサラリーマンは100%源泉徴収で、あまりにも捕まりすぎているから、国税庁が努力しても事業者などとのバランスがとれないから、バランスをとるために立法上の特別の控除として調整控除があるという話をしました。そういうことを「学者」と称している先生すら知らないという指摘が会場から示されました。

○はい、知りませんでした。
知らないと言うことは学問をやっている人としては不勉強です。こういう小さな問題を見逃すと恐ろしいのです。

ちょうど今から60〜70年前には真実を述べられなかったのです。再びそういう空気になっていますね。権力者が動く方向になびかなければ自分たちは生きられないと。そうすると真実までが黙ってしまうのです。そしてやがては憲法の改悪、教育基本法の改悪、共謀罪の創設と全部繋がっていく。

そういう意味で今日の分科会の議論は非常に良かった。税経新人会の千数百人の会員がこの恐ろしい流れをくい止めてほしい。くいとめは可能であると確信を持ったと言うことです。

○最近、老年者控除が無くなったりして弱いものに皺寄せが来ていると思うのですが、これは憲法違反にならないですか?
憲法25条は、すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると言っています。

だからもし諸控除を止めるのだったら基礎控除額を最低300万円に上げるべきです。300万円なら皆生活できるでしょう。そうしたら老年者控除、保険料控除、配偶者控除を止めてもいいのです。ところが現在は38万円です。38万円ではホームレスの人が座る場所も確保できません。

これは明らかに憲法違反です。ドイツの憲法裁判所は今から10数年前に「生活扶助基準額を下回る基礎控除額は違憲無効」と言ったのです。東京都も単身者の生活扶助基準額は130万円以上なのです。

ですから諸控除を止めるのであれば基礎控除を300万円以上にしなければなりません。そういう議論をしなければいけないですね。

○北野先生、いいお話をありがとうございました。はい、知りませんでした。

 以上、突撃レポートでした!

▲上に戻る