論文

第42回埼玉全国研究集会・速報 >>第42回埼玉全国研究集会・目次へ
第42回埼玉全国研究集会・速報
彩の国 埼玉へ!
編集部伊藤佳彦

税経新人会全国協議会の第42回全国研究集会が、埼玉県さいたま市浦和で開催されました。

埼玉会は17年前の1989年14名の会員で産声をあげ、過去に14年前の第28回日光全国研究集会を栃木県鬼怒川温泉で開催しています。当時埼玉には適当な宿泊施設がなく、「何時かは、自前の施設でやりたいね」と皆悔しい思いをしたそうです。

2001年のさいたま市の誕生、政令指定都市の指定、さいたま新都心の開発と発展著しい中、今回は埼玉会56名の総力により地元、県庁所在地、さいたま市浦和で開催することとなったのです。

東京から電車で荒川の土手を越えるとあっという間に到着しました。当初、都心に近すぎる、これといった観光地もない、おまけに金曜日なので人が集まるかと懸念されたようですが、蓋を開けてみれば398名史上最高の参加、新人会員1052名のじつに1/3以上が集まったわけです。日ごろ宿泊付だとなかなか参加できない人たちも日帰りで参加でき、新たな参加者を発掘できたようです。

浦和駅からは赤いTシャツの埼玉会の会員の方々に誘導され宿泊先でもある浦和ロイヤルパインズホテルで受付を済ませ、名札を首にお茶と埼玉名物、草加せんべいを片手に、各分科会へ向ったのでした。

<第1日(9月8日・金)>

分科会分科会は、県民健康センターで4分科会、埼玉教育会館で3分科会が開催されました。

・東京会 「所得税の必要経費の考察」
・大阪会 「会社再生の手法」
・神戸会 「租税基本原則から見た課税上の問題点」
・埼玉会 「元国税調査官が語る税務調査」
・埼玉会 「経営指針の作り方」
・全国協議会 「激変する福祉と税理士業務」
・全国協議会 「税制問題」

1時から5時まで『税経新報』8.9月合併号に掲載された記事及び会場での豊富な資料を手許に各会場では熱のこもった発表と活発な討論が繰り広げられました。詳しくは本号「分科会報告」をご覧ください。

途中、福祉作業所「ふれあいの里どんぐり」製の手作りクッキーでの休憩を挟みました。

昼過ぎからの小雨交じりの空は土砂降りとなりましたが、分科会が終わるころにはすっかり上がり、心も軽やかにいざ懇親会場へと皆むかいました。

懇親会 懇親会の会場は受付のあった浦和ロイヤルパインズホテルのRoyal Crownの間で6時から開催されました。

高野右吉と秩父社中による勇壮なる秩父太鼓のオープニングに続き埼玉会、高橋節男、阿部真理子両会員の司会で、埼玉会持田晶子会長の挨拶「埼玉を堪能してください」、平石共子理事長の挨拶「インターネット等のメディアが発達した現代だからこそ顔と顔が見える生身の人間の集まりを大事にしたい」、来賓として埼玉弁護士会上限金利引下げ実現本部事務局長久保田和志氏の挨拶「上限金利の法案が山場を迎えています。協力をお願いします」、埼玉憲法会議事務局次長天野憲氏の挨拶「教育基本法、憲法の改悪を阻止しよう」、全国青年税理士連盟会長城田英昭氏の挨拶「納税者の権利擁護にお互いがんばろう」、北野先生の挨拶は明日の全体会に譲って、埼玉会中山興次郎会員の乾杯により懇親会は始まりました。

会場には、彩の国の食材が満ち溢れており、ワインも日本酒も味わい深く、野菜、肉、麺、お寿司、やまめも美味しくて最高です。それに鮪、イカ(あれ、埼玉って海あったけ?タマちゃんもしばらく住んでいたんだから、まあ〜いいか!)、とにかく鱈腹いただきました。

途中埼玉の綺麗所のフラダンスグループ「プアオハナ」による優雅な踊りがあり皆を和ませてくれました。聞けば埼玉会の会員の奥様方とのこと、大河ドラマ「功名が辻」は埼玉にもありきですね。会場は懐かしい顔、顔で昔話、仕事のこと、家族のこと、今夜は如何しようかと歓談はつきず、楽しい時はあっというまに過ぎて行きました。

宴たけなわで各地新人会が北の北海道から南の沖縄まで18単位会の活動報告がおこなわれました。頭も足も使ったハンドベル、ヒンズースクワットなど趣向を凝らしたパフォーマンス、各会の近況、課題、目標などを聞くことができました。名残惜しいところですが、埼玉会の中野聡実行委員長の閉会の挨拶で、宴会も盛大にお開きとなりました。会場の皆さんは、埼玉が生んだカンツオーネ歌手、加藤順子が歌う「sai t’ama(だれかが、あなたを思っている。)」に送られて夜の埼玉へと繰り出していったのでした。

<第2日(9月9日・土)>

記念講演
開演前、埼玉税経新人会NEWS号外が配布されました。
宿泊先の道を隔てた、さいたま市民会館浦和大ホールにて9時より、時の人、弁護士・宇都宮健児氏による「深刻化する多重債務問題の現状と対策について」〜高利貸しのない社会の実現を〜と題する記念講演がありました。

現在サラ金利用者が1400万人を突破し150万人を越える多重債務者がいる。アイフルとヤミ金の電話の録音テープを聴くことにより強引な取立ての実態が明らかにされた。債権者の取立て、多重債務苦から夜逃げが年間数十万人いる、更に年間自殺者3万人のうち経済苦、生活苦によるものが8000人にもおよび交通事故死を上回っており、又自己破産申し立ても18万件を超えている。貯蓄ゼロ世帯、ニート、フリーター等低所得者層のサラ金の利用により格差社会が益々広がり社会問題化している。

現在利息制限法を越える貸付金残は20兆円、利率年25%だとすると5兆円が家計から支出されている。これを10%下げると2兆円の金利負担が軽くなる。ある意味減税と同じで余剰は消費にも回せ、地域経済の活性化にもつながる。グレーゾーン金利の撤廃に貸金業界、アメリカから圧力が掛けられているが、借金の為に自殺や犯罪に手を出すことのない健全な社会の実現には金利引下げが必要である、と言うお話でした。高金利、ヤミ金が社会に与える影響、マスコミ、政府、業界の実態が具体的にわかり金利引下げの早急な必要性を痛感しました。

全体会
清家裕副理事長の開会の挨拶に続き平石共子理事長が挨拶、山本友晴副理事長と西田啓治副理事長が座長団に選出され討論に入りました。

関本秀治会員 (東京会) 「不撓不屈と飯塚事件について」
伊藤清会員 (千葉会) 「税政連と税理士会について」
下地寛一会員 (沖縄会) 「出張出前研修と今後の課題について」
浦野広明会員 (東京会) 「税制問題について」
菅谷英雄会員 (埼玉会) 「変貌する税務行政について」
久保田幸夫会員 (東京会) 「憲法9条の会について」

これらの発言について平石理事長より総括した所見が述べられました。

次に特別決議として神戸会の濱田在人会員より「応能負担の税制改革こそ国民の願い」、続いて名古屋会の小林恵美子会員より「平和憲法を守る私たちの決意」が朗読され拍手喝采満場一致で採択されました。

議長団が降壇、引き続き佐伯事務局長より新役員が次のように紹介されました。

理事長 平石共子会員 (東京会) 2期目
副理事長 清家 裕会員 (大阪会) 3期目
山本友晴会員 (九州会) 3期目
西田啓治会員 (神戸会) 2期目
飯島健夫会員 (東京会) 新任
事務局長 佐伯正隆会員 (東京会) 2期目
監事 大湊俊子会員 (神奈川会) 5期目
横山南士会員 (東京会) 新任
平石理事長より活動方針の100%以上の達成を目指す意気込みと決意が示され、又新人会は会員あってのもの、皆さんの協力をお願いしますと就任の挨拶がされました。

来賓の北野弘久日本大学名誉教授の挨拶では、給与所得控除は勤労性控除、利子控除、把握性控除、必要経費性控除からなるとする学問的事実に反し政府税調は全て必要経費であるというスタンスに立ちこれに追随する学者、研究者がいる。憲法、教育基本法の改悪を公言する自民党総裁候補に対して無批判に各派閥が推薦する。こういった事実は権力を持ったものになびくという日本人の弱さ、翼賛政につながるもので応能負担の原則の崩壊ひいては世界に誇る憲法9条2項の改悪と歴史的に批判される事態になりかねない恐れが現状にある。これに対し共に手を携えて阻止しようとアピールがありました。

税経新報表彰は吉元伸機関誌部長より今回から機関誌部のリストアップの中から選考委員が決定したこと、若干の金一封が副賞として支給されることとなったことの説明があり、千葉会の伊藤清会員「税務支援への参加強制は、許されるか」「税務支援に公共性はあるか」と、神戸会の國岡清会員「省令案でより明確になった計算書類など」「法務省令が公布・株式会社には厳しい内容」が受賞されました。

最後に、埼玉会と神戸会の会員が壇上に上がり持田晶子埼玉会会長のお礼の挨拶の後、握手によるバトンタッチで次回開催地の神戸会に引き継がれ来年の再会を誓い合いました。

飯島新副理事長の閉会の言葉で第42回埼玉全国研究集会は閉幕しました。

(いとう・よしひこ:千葉会)


持田真理子さんデザインの埼玉全国研究集会のキャラクター『さいたまん』

▲上に戻る