小泉政権は「国」から「地方」へ、「地方」でできることは「地方」へと提案しその方向で改革を進めているようだ。
日本は江戸幕府まで長く幕藩体制で地方自治の国家であったが、鎖国が維持できず欧米がアジア諸国を植民地化していく中、各藩が日本国に目覚め明治政府を樹立し富国強兵政策のもと中央集権国家を強力に押しすすめた。
以来わが国は「大きな政府」のリーダーシップにより独立国家を維持し、資本主義を標榜しながらも政府が各種国策企業の立ち上げ、国庫補助金等種々の政策により民間経済に強い影響を持ちながら、「実質的計画経済」を実行しその成果もあげてきた。
しかしながら社会が一定の成熟をみたとき、過度の中央集権国家の欠点が露呈し、中央での行政では余りにも画一行政で地方の細部が見えない。
各市町村で地域密着の施策を策定しても、財政が中央政府主導ではなかなか予算が付かないので、政府の意向に沿った施策しかできないこととなってしまう。
地方行政団体の財政は中央政府からの「地方交付税」が約20%、特定財源である「国庫支出金」約15%と合わせると歳入のかなりの割合となる。
これに課税標準が国税に依拠した市民税、財産課税である固定資産税等の地方税(約35%)である。
これでは「あてがい扶持」の財政で、天下り人事の横行するゆえんであり、旧自治省官吏助役から首長へのお決まりコースとなる。
しかも選挙では市町村職員組合の強力支援を受けて、借りを作っての当選では、市町村長もやりにくかろうし、本当の意味での健全財政運営ができないのではないかと思われる。
そういうことで、「税源移譲」となるのであるが、なにせ幕藩体制以来の「地方」への移譲である。
受け皿となる「地方」は今改めてその能力を問われることとなり、その規模的問題点からここ近年の市町村の合併となっている。
市町村数は平成15年度で3,132、平成17年4月現在で2,395となり総人口約1億2,700万人で一市町村平均約5.3万人となる。
現状の歳入規模は一行政団体当り、町村(2,537)約50億円、小都市(448)約200億円、中都市(148)約480億円、大都市(12)約8,300億円(総務省統計平成15年度分)であり、この財政運営がうまくできていない。又歳出に占める人件費率は22%で、その半数近くが教育関係の人件費であるが、地方公務員の資質・組織・勤労意欲はそれを担う準備が整っているのだろうかと危惧する。
勿論今すでに日夜奮闘されている人がいるのも承知しているが、最近マスコミで取り上げられている問題として、お手盛り職員厚遇問題、我々が直接見聞きする閑職・余剰人員、馴れ合い又は談合による公共事業の発注問題、第三セクター方式等責任の所在がはっきりしない安易な事業の失政…。一番その能力を疑っているのは「霞が関」の税源移譲組であろうか?
そういう訳で、総務大臣に竹中平蔵氏の登場となった。竹中氏は小泉政権の政策、「構造改革」「金融再生」「郵政民営化」の実行委員長のような存在で、いよいよ総仕上げの職場に着いた感がある。
税源移譲をするには、各市町村の「構造改革」が前提となるであろう。しがらみのない立場からの思い切った改革に期待したい。
我々民間人からみると、役所仕事の無駄があちこちに見られるが、それぞれに既得権・慣例が存在し長く是正・改善されていない。
地方行政にも長期を見据えた「構造改革」がなされ、信頼される行政団体で地域に密着した無駄のない地方自治が実現されることを期待し、各々地域住民も一体的に参画して「おらが良き街」を作りあげたいものです。 |