時潮

生活保護費に課税してよいのか
人格なき社団等プロジェクト隆徳
伊藤塾の伊藤真さんの憲法の話を聞いた。日本の憲法で一番大切なことは人権の尊重ということ。小泉さんがイラクへ自衛隊を派遣した。何で正しいの?国民の多数がイラク派兵をわかっていて選挙で与党を支持したから。これを国民主権というが、でも多数派が賛成したら、常に正しいのだろうか。

日本の60年前の戦争、アメリカのイラク戦争、そうではないだろうというのが人類がいろいろな歴史の中で経験してきたことだ。それは別に国民がおろかだというのではなくて、どの時代の誰でも、人間というのはその時代のムードに流されたり、目の前のことが大切であったりして、根本的に大切なところで誤った判断をしてしまいがち。誰もがもっている人間の弱さ、人間の不完全性なのだ。

だから頭が冷静な時に、その時々の多数派によって奪ってはならない、その時々の多数決によってもやってはいけないことをあらかじめ列挙しておいた、それが憲法だ。だから憲法は、その時々の多数派に歯止めをかける、国民の側が国家に歯止めをかけていく道具なのだ。憲法は国家権力に歯止めをかけて、国民の人権を守るためにそもそも生れたものだ。これを立憲主義というのだというような話だった。小泉さんの支持率の高さにいつも「なんで?」と怒っている私には、実践的な勇気を与えてくれる話だった。
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政府税制調査会が所得税、住民税の「抜本見直し」を議論している。かつて27兆円の税収のあった所得税が今では14兆円程度になっている。「所得税の復権」のため「抜本見直し」で増税する内容だ。5月13日の石税調会長のインタビュー記録を読んで驚いた。

税収減は不況のためだけではなく、最高税率を大幅に引き下げたことが大きな要因になっているのに、現行の「50%ぐらいでいいのでは」と税率アップは拒否。「抜本見直し」は課税ベースを広くして、所得控除の見直しにつきるんですと庶民増税にすりかえている。生活保護費と課税最低限の関係を問われて、「いったん渡して課税にするほうがすっきりしている、それをしないから、生活保護費と課税最低限のつなひきが起こる」と述べて生活保護費に課税を表明した。

健康で文化的な最低限度の生活を保障した憲法25条、だから生活保護費に課税することは生活保護法で禁止されている。最低生活費非課税の原則だ。一方で課税最低限が生活保護費よりも低いことが、憲法違反ではないかとしばしば問題になっている。日本の課税最低限は増税のため現在では先進国中で最も低くなっている。石会長の発言は最低生活費に課税すること、最低生活費よりも低い課税最低限を合理化しようという、2つの憲法違反を同時に発言している。
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伊藤真さんは言います。「私は憲法の本質も知らずに23年間生きて来ました。それは私は20年以上、それまで強者の側、多数者の側の人生を歩んで来た人間だったのです。強者の側の人間にとってみれば憲法はわかりません。多数派の側、強者の側の人間にとってみれば、弱い立場の人達や少数の皆さん達がどういう思いをしているのか、それをイマジネーションを働かせないとだめな世界なのです。」本当にそうだと思う。中小企業が身銭を切らされる消費税。

シーリング(目張り)工事の社長が言っていた。「材料が10%以上あがっているのに、一切単価はあがらない。請求書に消費税も書いて送るのだが、うちは内税だの一言だものね。」あるマーケットの魚屋の奥さんも「これからどうなるんでしょうね、これ以上消費税あげたら商売やっていけませんよ。」中小企業と庶民は決して少数派ではありませんが、私達の仕事はその立場に立って考えていくことが、とても大切だと感じます。
文責すがたかのり

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