新人会記事

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日本税理士会連合会会長森金次郎殿 2005年4月18日
税務援助(支援)についての会則等の改定に関する意見書
税経新人会全国協議会理事長新国
日本税理士会連合会(以下、「日税連」という)は2004年12月開催の理事会において税務指導対策部がまとめた「新時代における税務支援のあり方」について、その基本的な考え方を承認しました。この基本的考え方に基づき日税連は4月21日開催予定の臨時総会で「会則の一部変更」と「税務援助の実施の基準に関する規則の全部変更」を議案とし、日税連会則・規則に準じて今年の各税理士会総会においても会則・規則の改定が実施される予定とされています。

私達は以下の理由により会則の変更と税務支援規則の制定に反対します。

1.会員の権利義務に関する重大な事項について会員の意見の聴取が行われていません

日税連会則の一部変更(案)及び税務援助の実施の基準に関する規則の全部変更(案)は、従来の会則及び税務援助規則が税理士法第66条「小規模零細納税者(無償又は著しく低い報酬でなければ税理士又は税理士法人に委嘱することが困難な経済的理由を有する者をいう)に対する税理士の業務に関する施策を実施しなければならない」にもとづき実施されていた税務援助を大幅に拡大し、従来の税務援助事業の他に税務指導事業として「本会が指導を必要と認める納税者に対する税務支援」が加えられるとともに、「税理士会の会員は‥税務支援に従事しなければならない」とし、現行会則の「‥税務援助に従事するよう努めなければならない」から会員の義務へと変更されています。

税理士法に根拠を置かない税務支援事業を無制限に拡大し、さらに会員に対して義務化(義務違反は会則により処分がありうる)することは会員の権利義務に大幅な変更をもたらしますが、今回の改訂等は会員の意見が聴取されないまま行われようとしています。

日税連から各税理士会に対する意見の聴取については各税理士会の理事会等での議論はありましたが、会員及び各支部の意見はほとんど聴取されていません。

税務援助のあり方については様々な意見がありますが、会員の権利義務について大幅な変更をもたらす事項に関しては、各支部での会員の意見聴取が充分に行われたうえで決定される必要があります。

2.税務援助を無制限に拡大することが税理士の使命ではありません

日税連が「新時代における税務支援のあり方」を提起した理由は、1 2003年度(平成15年)の消費税法の改定により、新たな課税事業者(個人)が約150万人輩出されることとなり、これらの事業者への対応が必要なこと。2 近年の社会経済の急速な多様化、複雑化、国際化の進展に伴い、業務独占資格士業には、国民各層から一層の利便性が要求されていることとしています。

消費税法における免税点の引き下げや、所得税法における配偶者特別控除(上乗せ部分)の廃止・公的年金控除の引き下げ・老年者控除の廃止などにより従来消費税や所得税の確定申告を必要としなかった者が確定申告を要することとなりました。

税務援助(支援)を拡大することは、結果として、今進められている大企業、高額所得者への税負担の軽減と、その税負担の庶民へのシフト、国民大増税の路線に加担することになりはしないでしょうか。

私たち税理士はその使命からして、国民の権利(生活に必要な財産の保障も含む)を護ることが必要であり、税務援助を無制限に拡大し税務当局支援となりかねないような事態をまねくことは避けるべきであります。

応能負担原則に反する税制等の押し付けに対して適切な批判を行い、憲法の求めるあるべき税制をめざすことが必要ではないでしょうか。

3.税理士が国税庁の下請機関とされる恐れがあります

納税者の大幅な増加と、その税務相談が税務署に殺到することを危惧した国税庁がその対策として、税理士会、商工会議所、青色申告会などを受け皿として税務行政の一部をアウトソーシングする方針を定めました。(2004年4月開催の全国国税局長会議)そして日税連と国税庁幹部との懇談会が8月25日開催され、国税庁からは「改正消費税法への対応について」「平成16年分確定申告について」などの要請があり、日税連からの要望・報告事項では「税務援助事業の抜本的見直しについて」などがありました。その後11月に日税連税務指導対策部から「新時代における税務支援のあり方」の中間報告がなされたのです。

国税庁の方針に沿って、さらに国税庁の予算を使っての税務援助(支援)は税理士が税務当局の下請機関となる恐れがありはしないでしょうか。

税理士の税務当局の下請機関化への方向は、税理士の社会的地位の低下をもたらすものであり、税理士の社会的地位の向上をめざし長年苦労されてきた多くの方々の努力を無駄にするものです。

4.税理士事務所の実態と納税者の能力に沿った税務援助事業を実施すべきである

日税連の第5回税理士実態調査報告書によると、税理士の顧問報酬は第4回調査から大幅に低下し、個人の月額報酬は1万円以下が23.4%から29.6%に増加、3万円以下の全てを合計すると82.1%から86.5%へと増加しています。個人決算報酬(年額)では5万円以下が37.8%から44.2%に増加し、実際には1〜2万円という金額も数多くあります。

税務援助を無制限に拡大することは、税理士事務所の職域を狭めるとともに報酬の低下をまねくことになりはしないでしょうか。報酬をほとんど支払うことができない納税者に対する税務援助は社会貢献の一環として必要(本来は行政サービスでその大半を担うべきであります)ではありますが、一定の報酬を支払う能力のある者については、積極的に税理士事務所に依頼するよう公報・宣伝活動を税理士会として強めることが必要ではないでしようか。

結果として会員の業務を侵害する可能性のある無制限な税務支援を行うのではなく、小規模納税者の権利や財産を擁護する立場に立ち、税務当局から独立した真の税務援助事業を税理士会・税理士は実施すべきであります。
以上
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